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こんなにも奥が深い、和のコートの世界 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.39

こんなにも奥が深い、和のコートの世界 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.39

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一着のコートがあれば、中に着るきものが訪問着であろうと紬であろうと、それを着まわせるということ。つまり大事なのは、気に入った形を知る、ということに尽きるのです。

つい鏡が見たくなる羽織や、自慢すぎて脱ぎたくなくなるコート

実際にまわりの話を聞いてみると、コートや羽織は「お下がり」や「いただきもの」という形で入手し、とりあえず、という感じで着ている人が多いようです。洋服のコートは色や形にこだわるのに、きもののコートをとりあえずで済ませていては勿体ない!もっと楽しまなくちゃ。

様々なコートの種類

こんなにも奥が深い、和のコートの世界
このたびコートの本を作るお手伝いをしました。その名も「和のコート集」。きものの上に羽織る、いわゆる和装コートに特化した写真集のような本です。

「世の中にはありきたりのコートが多く、それでは勿体ない」という熱い思いでコートを作り続けている和裁士の先生による作品集で、コートによって仕立ての難易度が★で表示してあります。

実際に撮影にも立ち会いましたが、こんなに種類があるなんてと驚くばかりでした。道中着、きもの衿、折衿、道行、被布衿、都衿、千代田衿。ちょっと並べただけでもこんなにあるんですよ。実はわたし、何を隠そう道行と道中着しか知らなかったんです。

本の中には「中に着るきものに格があっても、コートの衿型そのものに格はございません」とあります。

つまり、一着のコートがあれば、中に着るきものが訪問着であろうと紬であろうと、それを着まわせるということ。つまり大事なのは、気に入った形を知る、ということに尽きるのです。

衿のちょっとした形の変化で、コートの印象は大きく変わります。
脱ぎたくなくなるほどお気に入りのコートを作ろう!と思うのであれば、衿型をきちんと知っているほうが、より正確に自分の好みに近づけます。色や柄、素材などの生地選びはそれからなのです。

かつては「なんとなく四角い衿が真面目そうで苦手だから道中着にします」なんて言っていたわたしだったのに、今回この本に関わって考えが変わりました。四角い衿の真面目そうな道行コートでも、ちょっと衿型を変化させるだけで印象が全く違うのです。

夏のコートにも驚きました。透けている布をループにして花の形に作り、それをつなぎ合わせてみるだなんて、よくこんなこと思いついたなぁと感心しないでいられません。

フード付きのコートやドルマンスリーブのコートなど、文字情報だけだとおよそきもののコートとは思えない感じですが、実際に写真で見ると、これはアリだ!と驚くばかり。

和装コートの奥は、こんなにも深かったのか。

アンティークの古い紗のきものを盛夏用のコートに仕立て直したものを持っていたのですが、とうとう布の寿命が来てしまったので、次に作るとしたら夏のコートかな。誰も持っていないような素敵なコートになりますように。わくわく。

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