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まずは汚さない。”予防”が大事! 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.62

まずは汚さない。”予防”が大事! 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.62

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以前食事をご一緒した方が遠くの料理を取ろうとして、たもとがテーブルの上で台ふきんの代わりをしてしまう惨事に出くわしました。着慣れていないと袖の長さをつい忘れてしまうんですよね。

昨年10月18日のコラムはこちら!

2021.10.18

よみもの

あなたの家紋、知っていますか? 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.38

まずは汚さない。「予防」が大事!2

「染み抜きが大変じゃないですか?」

とよく聞かれますが、染み抜きの技術や知識うんぬんの前に、わたしはまず予防が大事と思っています。

汚さないように気を付ける!この意識があるかないかって大きいですよ。

わたしの場合、まず、きものを着る前に手を洗うようにしています。
手が汚れていると、白い帯や帯締め、帯揚げはもちろん、襦袢やきものの衿合わせをするときにも汚れは付着します。みなさん特に、化粧をしてからきものを着る場合のうっかりが多いみたいですね。

指先でファンデーションをちょっと押さえて、そのまま白地の帯をお太鼓にしたらギャー!とか、おはしょりの処理に手間取っていたら、衿に口紅が付いちゃった!ひぃー!
なんて、あら、いやね、夏はとっくに終わったのに怪談みたいになってしまったわ。

食事の際は、わたしはいつも手ぬぐいを使って汚れがつかないようにしています。
気を付ける箇所ってだいたい決まっていて、うっかり食べこぼしをするのは胸元と上前のひざ上あたり。ここをメインでガードするわけです。

以前食事をご一緒した方が遠くの料理を取ろうとして、たもとがテーブルの上で台ふきんの代わりをしてしまう惨事に出くわしました。これは袖を片手でちょっと抑えれば済む話なんですが、着慣れていないと袖の長さをつい忘れてしまうんですよね。

もし、うっかり汚してしまったら、まずは深呼吸です。慌てないことが大事。
目の前にあるおしぼりでゴシゴシ、なんて絶対にやっちゃダメですよ!!
きものに汚れを擦り込んでしまうだけでなく、おしぼりに含まれた塩素の成分で、地色が変色してしまうこともあるんです。

わたしは、きものをランク分けしています。

Aランクは、冠婚葬祭やお茶席に着るきもの。

これらは基本的にガード加工が施してあります。

Bランクは、お出かけ用のきもの。

汚れの程度によりますが、基本的に季節の終わりにプロにお願いすることが多いかな。予防をしていることもあって、あまり盛大に汚すことはありません。白い帯はガード加工をしているものが多いですね。

Cランクは、家で着るきもの。

綿や麻など洗濯機で洗っても差し支えないものなので、たとえ餡たっぷりの肉団子が転がっても驚きません。Tシャツなどの洋服と同じで、洗えばいいや、という感覚です。

先日、気づいたらきものの裾が汚れていたんです。
身に覚えがなかったので不思議に思ったのですが、原因を探ったら、なんと車に乗り込むところが雨と泥で汚れていました。

自分の行動や癖を知って、汚れやすい場所を分析しておくのもいいかもしれませんね。
わたしは交通機関に乗るとすぐに眠ってしまう癖があるので、袖には必ず手ぬぐいを入れておき、席に座ったらすぐに手ぬぐいを衿とあごではさむようにして、皮脂汚れがつかないように気を付けています。

せっかくの秋ですし、予防対策をしっかりして、きもので気軽にお出かけしましょうよ。

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記事に登場するアイテム

結城紬 染匠十代目・近江屋藤兵衛

染織工藝作家・浦野理一 手織り経節紬名古屋帯

紋紗道中着「薔薇」

紋紗羽織「斜取花文/薄萌葱色」

伊と幸・松岡姫 紋意匠色無地着尺「小花唐草紋」

手洗いできるシルクのスリップ

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