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訪問着とは?よくある疑問にお答えします。

「訪問着」を徹底攻略!~6つのお悩み実例・解決いたします〜

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幅広い場面で着用することができる訪問着ですが、マナーやルールを守って美しく着こなすことが大切です。今回は訪問着を着るときにみなさまが悩まれる疑問点を解決いたします。そもそも訪問着ってどんな着物?色留袖や付け下げとの違いは?帯の合わせ方やコーディネートは?など、はじめて訪問着を着る方から上級者にも役立つ情報をお届けします。

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ゲストとして参加する結婚式やパーティー、お茶事など、幅広い場面で着用できる「訪問着」。
お子様がいらっしゃる方でしたら春の入学式や卒業式の付き添いにも候補となりますし、秋のフォーマルなお席をはじめ、冬には新春の様々な行事に着用したいと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし着物には様々なルールやマナーがあり、訪問着においてもみなさま様々な疑問を抱えていらっしゃいます。
そこで今回は、訪問着についてのよくある6つの疑問について解説いたします!訪問着を着る際の疑問を解決して、美しく華やかに装ってみましょう。

初めてさんも上級者さんも知っておきたい訪問着の疑問Q&A

様々な場面で活躍する訪問着

様々な場面で活躍する訪問着ですが、場にふさわしい着こなしが求められる着物であり、正しいマナーが気になるものです。より美しく、そして楽しく訪問着を着るために。みなさまが悩む訪問着についての疑問を解決いたします。

Q1 訪問着ってどんな着物?

訪問着

A. 「絵羽模様」と呼ばれる、縫い目をまたいで柄があらわされた着物のことを指します。

訪問着は、「古典柄」と呼ばれる伝統文様のものから、モダンなムードただよう洋風デザインのものまでバリエーションに富んでおり、ご着用のシチュエーションに合わせて選ぶことができます。また年齢を限定することなく着用できる着物であり、既婚・未婚なども問いません。
柄の雰囲気や小物あわせ次第でぐっとフォーマルにも、少し抑えた印象にも装うことができます。必ずしもホテルでのパーティや式典といった正式な場面でなくとも、場の雰囲気やテーマ・周りの方との調和を考えつつ、幅広くご着用いただけます。

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Q2 訪問着に「紋」は入れるの?

染め抜きの日向紋

A. 必ずしも「紋」は入れるわけではありません。

訪問着には「紋の入ったもの」と「紋の入っていないもの」があり、その違いは「格の高さ」となってあらわれます。

「紋入りの訪問着」は「紋なしの訪問着」よりも格が高くなります。
現在では、様々な場面で着られるように紋を入れない方が多くなりましたため、普段から目にする訪問着は「紋なしの訪問着」が多いでしょう。

昨今の着物事情から鑑みて「紋入りの訪問着」を着用する場面としては、茶事のような正式なお茶会や初釜などの晴れやかなシーンが挙げられます。基本的には正装が求められるセレモニーやフォーマルなお席への着用がふさわしい着物であり、結婚式の披露宴もそのひとつではありますが、この場合は少し注意が必要です。新郎新婦のお母さまの立場であれば第一礼装である「黒留袖」が基本となり、近しい親族でも黒留袖・色留袖・振袖などが求められる場合が多くなります。お仕事関連であったり友人としてのお立場であれば「紋入りの訪問着」がふさわしい場合が多いですが、披露宴が行われる場所(ホテルなのかレストランなのか)や他の参加者の方々の装いなど、事前に確認をしておくのが良いでしょう。

一方「紋なしの訪問着」は、「紋ありの訪問着」よりもより幅広く、パーティやお茶会などをはじめ「きちんとした装いで臨みたい」シーンに多く着用することができます。セレモニーであるお子様の入学式・卒業式の付き添いには、紋入り・紋なしいずれの訪問着も着用することが可能ですし、ご友人の結婚式披露宴などにも重宝いたします。
「幅広い場面で訪問着を着用したい!」という方は、「紋なしの訪問着」を選ぶとよいでしょう。

Q3 訪問着と「色留袖」の違いは?

訪問着と「色留袖」の違い

A. 見分けるポイントは「肩部分」にあります。

訪問着と「色留袖」、一見どちらも同じ柄行きで、どう違うのか見分けがつかないことがあります。しかし、よく見てみると「肩部分」に大きな違いがあります。
訪問着は肩から袖にかけて流れるように柄があらわされているのに対し、色留袖は肩部分に柄がなく裾部分にのみあらわされています。

見た目で判断する場合には、

訪問着=上半身・下半身ともに模様が施されている
色留袖=下半身のみに模様が施されている

と覚えておくとよいでしょう。

また、着物の格が違うのもポイントです。
訪問着は基本的に「準礼装」「略礼装」の着物として比較的幅広いフォーマルシーンに着用いただけますが、「礼装」である色留袖は、主に各種式典や親族の立場で臨まれる結婚式など正装の場で着用されます。

また色留袖においては、「紋の数」によって格が上下することも覚えておきたいポイントです。色留袖には基本的には必ず紋を入れますが、「五つ紋」「三つ紋」「一つ紋」を選ぶことができます。

「五つ紋」の色留袖=黒留袖と同格の”第一礼装”
「三つ紋」の色留袖=「五つ紋」の色留袖に次ぐ”準礼装”
「一つ紋」の色留袖=「三つ紋」の色留袖に次ぐ”準礼装”

「比翼仕立て」と「訪問着仕立て」

さらに色留袖においては「仕立て方」も2種類あります。

◆比翼仕立て

黒留袖と同じ仕立て方。2枚の着物を重ねて着ているようにみせるため、着物の衿・袖口・振り・裾回し(八掛)部分だけに白羽二重の付け比翼をつける(本来はそれぞれ別の着物を重ねていたものが簡略化された)

◆訪問着仕立て

訪問着と同じ仕立て方。比翼はつけない。

色留袖をいずれの方法で仕立てるかも、現在ではある程度「紋の数」によって決まります(この限りでない場合も多々あります)。

「五つ紋」の色留袖=比翼仕立て
「三つ紋」の色留袖=比翼仕立て/訪問着仕立ていずれも選択可
「一つ紋」の色留袖=訪問着仕立て

色留袖を選ぶ時には、黒留袖などの第一礼装に寄せた装いとするのか、訪問着などの準礼装に寄せた装いとするのかによって小物あわせなども変わってきますので、ご自身の着用シーンと照らし合わせて選ぶと良いですね。

Q4 訪問着と「付下げ」の見分け方を教えて!

訪問着と付下げ

A. 見分けるポイントは「柄のあらわされ方」にあります。

色留袖に次いで、訪問着と見分けがつかない着物といえば「付下げ」ではないでしょうか。
付下げはもともと、訪問着の豪華な印象を控えるように作られた着物です。戦時中の「贅沢品はご法度」という流れによって豪華な見た目の訪問着の着用が禁止となってしまい、その代わりとして付下げが作られたと言われています。

その由来通り、付下げの見た目は訪問着よりも控えめで、訪問着の特徴であった「流れるような絵羽模様」はありません。訪問着と付下げを見分ける際には「絵羽模様があるか」に注目するとよいでしょう。

付下げの柄行き

着物の格としては、柄の雰囲気や帯合わせ次第では、訪問着と同格に装っていただけます。
同時に訪問着とは異なり、名古屋帯をあわせて格を落として着用することもできます。主役を引き立たせたい場面(お子様の卒業式や入学式、七五三、お客様をお迎えする亭主の立場など)にも重宝いたしますし、応用範囲が広いことから、昨今は着物雑誌などにおいても「現代女性の強い味方」として紹介されることが多い着物です。

お仕立て前の状態が「反物」の形状となっている点も、付下げの特徴として挙げられます。

訪問着のコーディネート

Q5 訪問着にはどんな帯を合わせるべき?

A. 「綴れ帯」など一部の帯をのぞき、基本的には「袋帯」をあわせましょう。

着物に格の違いがあるように、合わせる帯にも格の違いがあり、「帯の格」は「着物の格」と揃える必要があります。
訪問着の格は「準礼装」ですので、合わせる帯は「フォーマルな帯」が基本です。
具体的には「袋帯(二重太鼓)=フォーマル」「名古屋帯(一重太鼓)=カジュアル」となり、訪問着には「袋帯」を合わせます。

※二重太鼓…お太鼓(背中)部分の帯地を二重にして結ぶ
※一重太鼓…お太鼓(背中)部分の帯地を一重にして結ぶ

ではなぜ、基本的に一重太鼓の帯として作られる「綴れ帯」をあわせても良いのでしょうか。

「綴れ」とは数ある織り技法のひとつですが、「日に一寸(=一日で3.8cmほどしか織り進められない)」と言われるほどに職人さんの緻密な作業が必要とされる技法です。模様の色ごとに少しずつ織り進めなければならないため、かなりの時間をかけて織り上げられます。”最高峰の織物”として、動く国宝と呼ばれる京都・祇園祭の山鉾の装飾をはじめ、劇場の緞帳や袱紗などにも用いられています。現在織りあげられている袋帯よりもずっと古くよりの歴史があるため、宮中における園遊会に色留袖に綴れ帯で出席される方もいらっしゃいます。また織り地がしっかりと密で地厚な仕上がりとなることも、一重太鼓の帯でありながらフォーマルに使われる理由と言えます。
現在では「おしゃれ帯としての綴れ帯」も織りあげられていますから、訪問着にあわせてフォーマルに装う場合には、金糸銀糸が用いられた格調高い文様の綴れ帯を選ぶと良いでしょう。

様々な模様の訪問着があるのと同様、袋帯にも様々なものがございますから、ぜひ着用される訪問着の雰囲気や格にあわせて、楽しみにながら選んでくださいね。

Q6 訪問着を「大寄せ茶会」に着ていいの?

茶会

A. 基本的には、問題ありません。ご一緒される方との調和を重視してみましょう。

大勢の方が一同に会する大寄せ茶会。「正式な着物で臨まなければいけない…」と思われる方も多いと思われます。しかし実は、数多く開かれている大寄せ茶会には「気楽な着物でもよい」という暗黙の了解があります。

それでも会の趣旨によってはきちんとした装いがふさわしい場合もありますので、ぜひご一緒される方や先生のご意向を事前に伺い、調和を楽しむ選択肢のひとつとして装いを考えてみましょう。

まとめ ~訪問着を着る際の3つのポイント~

(1)紋の有無に注意しましょう

紋の有無に注意

訪問着には「紋が入ったもの」と「紋のないもの」があります。
「紋入りの訪問着」は「紋なしの訪問着」よりも格が高くなります。

セレモニー色の高いシーンではぜひ「紋入りの訪問着」の着用を考えたいですし、逆におしゃれ度の高いパーティなどには「紋なしの訪問着」のほうがふさわしい場合がございます。現代では「紋なしの訪問着」のほうが幅広いシーンに着用できることをふまえ、ご自身の着物ライフにあわせてチョイスしてみてください。

(2)合わせる小物はTPOを意識しましょう

小物はTPOを意識

着物の印象は合わせる小物によっても大きく変わるものです。
たとえば、お祝い事である結婚式や披露宴には、金糸銀糸が入った格の高いものを選びましょう。草履もつや感のある台に、金糸銀糸が使われた鼻緒のものを選ぶのがベストです。
逆におしゃれ度の高いパーティシーンなどでは、ご自身ならではの装いを思いきり楽しむために、訪問着の柄行きに合わせた小物コーディネートや、ご自身の好きな色やモチーフを取り入れていただくのもおすすめです。

(3)他の着物との違いを認識しましょう

礼装の種類

訪問着と間違いやすい「色留袖」と「付下げ」。見た目がよく似ていることから最初は混乱される方も多いことでしょう。
あらためてそれぞれの特徴をおさらいをしますと、格の高い順に下記のようになります。

色留袖=肩には模様がなく裾にのみ絵羽模様が施されている
訪問着=肩から袖・裾にかけて流れるような絵羽模様が施されている
付下げ=絵羽模様が施されておらず控えめな印象

紋の数やお仕立ての方法、帯あわせなどによっても格が上下しますから、迷う場合はぜひ着物に詳しい方や当日ご一緒される方に事前に聞いておくと安心です。

バリエーション豊富に創作されている「訪問着」のお楽しみ。
ぜひともこれらのポイントをおさえた上で、当日は自信を持って、最高の笑顔あふれる和姿をご満喫ください!

バリエーション豊富に創作されている「訪問着」のお楽しみ

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