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パリで着物に恋をした! 「WORLD KIMONO SNAPS」 ‐ FRANCE ‐

パリで着物に恋をした! 「WORLD KIMONO SNAPS」 ‐ FRANCE ‐

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パリ、ファッション、美食、自分らしさ…着物! フランス・パリでの生活を通じて、着物の素敵さ、着物を日常的に纏う事の素晴らしさについてお伝えいたします。

「ファッションの勉強がしたい」&「食べるのが好き(特にチーズとワイン)」という非常にシンプルな理由でパリに来てから、
気がつけば18年が経ちました。

2002年に渡仏した当初は着付けはできなかったのですが、「着物を持ってる?」「着物を着れる?」という多くのフランス人からの質問に、「着れるようになりたい」、むしろ「着れないのって恥ずかしい」と思うようになりました。
幸い我が家には着道楽であった祖母が残した着物がたくさんありましたので、一時帰国の際にパリに持って帰ることに決め、またその際に近所のおばさんに数回着付けを教えて貰った後は、自分で着付けの練習をしました。

とは言っても、1人でパリで着物を着る機会と勇気を持つことはなかなか難しかったのですが、
2011年の東日本大震災後、着物を着て被災地支援を行うNPO法人「パリ小町」を立ち上げたことで飛躍的に着物を着ることが増えました。
世界中の人たちが心を痛めた震災でしたが、フランス在住の多くの日本人も例外ではなく、
たくさんのコンサートやバザーが開催され、寄付金をが集められたのです。
最初の半年ほどは、それこそ1週間に1回ほどイベントがあり、
毎回10名ほどのメンバーが着物を着てコンサート会場での案内や募金箱を持って寄付金を集めたりしました。
その際に多くのフランス人が着物を褒めてくださり、また「こんな素晴らしい文化のある日本が酷い目に遭っているのは悲しいことだ。
寄付をすることによって何かの助けになれば」と温かい言葉もいただけることがたくさんあったのです。
もちろん最初は写真を撮られたりすることに少し気恥ずかしさがあったりしましたが、何よりも喜んでいただけることに私自身も嬉しくなりました。
もともと、ファッションを勉強したいと思ったのも、「人の見た目=被服」が人の意識を変えるものという考えがあってのことだった私。
纏うことによって人の反応が如実に変わる様を見れる着物は、ファッションの都パリで日本人の私が着るのにはぴったりだと感じてくるようになりました。
また素材や色だけではなく、ボリュームも考慮する必要がある洋服と違い、着物は着付けさえできてしまえば(それが、大変なんだ!と言う人もたくさんいるかと思いますが、着てれば慣れます!(断言))その日のテーマや色などでスタイリングできる着物は着回しもしやすい、と言うことに気がついたのです。
パリ小町も常時20名ほどのメンバーが居て、チャリティーイベント以外にも月1回メンバーのみで集まる「お茶会」(素敵なホテルのティーサロンでお茶など飲んだり、花見したりと色々ですが)があり、パリで着物を着ることにも全く抵抗がなくなりました。
古くはパリ万博の時代から日本文化好きの多いフランスですが、最近では日本の漫画の影響から着物に興味のある若者も多く毎年7月にパリ郊外で行われるオタク文化の祭典Japan Expoではコスプレだけでななくて浴衣や着物を着ているフランス人をたくさん見かけることができます。
また音楽フェスでセレブが羽織ったりしたことがきっかけで(もちろんなんちゃってKimonoもたくさんありますが)着物をおしゃれに着こなす人も多くなり、色んな人が色んな理由で着物に興味がある、と言うのをで肌で感じています。
街を歩くと褒めて貰うのは当たり前、時には有名な役者さんとバーで知り合い、奢ってもらった上、舞台に呼んで貰ったこともありました。
素敵な着物を着て素敵な気分でいて、褒められて良い目にも遭う。
そんな事が可能なのが、ファッションの都パリで着物を着るという事なのかなと思ったりもします。
デザイナー志望だったのちに紆余曲折あり、日仏間をつなぐファッションの仕事をして居た私。
でもファストファッションの流行に押され、買い手が減ったクリエーターさんとその作品に元気がなくなり、ファッションの仕事をするのが何と無く苦痛になって来て、今後の人生を考えた時、「ただのトレンドに興味がない」「素材が好き」「職人さんの手仕事が好き」そして「着て楽しい着物が本当に本当に好き」と感じている自分に気がついたのです。
そこで、じゃあ着物で何ができるだろうと考えたとき、日本人でパリのファッション業界で仕事をしている私だからこそ、「着物を生きたモードとして伝えることができるのでは」と思うようになりました。
そこから、さらにファッション業界のトップに食い込むべく、フランスのモードの最高峰、Institute Française de la Mode(フランス モード学院)でのファッションとラグジュアリーに特化した幹部向け経営学修士を取得したりもしました。
最終の面接時に祖母の着物を着て言って、面接官の皆んなが褒めてくれて合格を予感したのを覚えています。
(ちなみに審査員満場一致で合格しました。良い着物を残してくれた祖母に感謝!)

ここでは、パリで着物に恋をしたわたしのパリ生活を通じて、着物の素敵さ、着物を日常的に纏う事の素晴らしさについてお伝えできればと思っています。

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