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創業者・野口功造氏の名作が現代に甦る――「大羊居」創業100周年記念イベント

創業者・野口功造氏の名作が現代に甦る――「大羊居」創業100周年記念イベント

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来る11月26日から4日間、代官山ヒルサイドテラスにて東京染繍の名門「大羊居」の100周年を記念したイベントが開催されます。創業者・野口功造氏が遺した意匠を現代の感性で再構築した作品が並ぶ、貴重な機会をお見逃しなく!

2026.10.15

カルチャー

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初代・野口功造氏の精神をいまに伝える

「大羊居」創業100周年記念イベント

来る11月26日から4日間、代官山ヒルサイドテラスにて東京染繍の名門「大羊居」の100周年を記念したイベントが開催されます。

友人だった堀口大學※をして、「ご自身のポエジーに包んで、女人の容姿を創造する魔術師」と呼ばしめた創業者・野口功造氏について、

「庶民的で、大先生ぶらない人物だと聞いています。職人さんのところへ行って自らも一緒に学ぶなど、美術界・工芸界との交流も深く、仕事が好きで、貪るように現場の人と話して知識や技術を身に着けていくタイプだったようです」

創業者・能口功造氏

仕事も好きだが遊ぶのも大好きだったという功造氏。何事も一所懸命で、娘の友人たちとの仮装イベントに本気で乗り出すような一面もあったという

と教えてくれたのは、2024年から「大羊居染繡工房」主宰を務める里山睦美さん。

※堀口大學……明治から昭和にかけての詩人・歌人・フランス文学者。訳詩書は300点を超え、昭和の詩壇・文壇に多大な影響を与えた。1979年文化勲章受章。

「なんだってきものの柄になるんだよ」

功造氏の直系である野口家からも絶大なる信頼を得ている里山さんは、功造氏の作品についてこう語ります。

「こんな昔にこんな斬新!と驚きました。古びていない新しい感覚で着物をつくっていたんだな、と。友禅とは何か、着物らしさとはどういうものか……そういったイメージを覆されました。

小袖の見本帳など、何かをそのまま真似するのではなく、何でも着物の柄になるという姿勢で、モチーフをどのようにして品よく落とし込むか――そのスピリットは守り抜きたいと思っています。初代のものづくりへの姿勢を受け継ぎつつ、いまの私たちの感覚で面白い、美しいと思うものをつくりたいですね」

青花で下絵を白生地に写す里山さん

「今回のイベントでは、初代の作品を図案や写真、実物を見ながら再構築した作品を展示します。すごく大胆な柄が多く、どれも凄いなと思いますが、実際に着るには気後れしてしまうのでは?という想いから、デザインや色使いの良さはそのままに、振袖の意匠を染帯に活かすなど、“いま着られるカタチ”に生まれ変わらせて、初代の魅力を改めて紹介することができればと考えています」

2025.07.05

エッセイ

着物の醍醐味は「柄」と「色」の取り合わせ 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.3

大胆に、上品に。遊び心を活かしたリボーン

ここで、今回のイベントにてお目見えする作品から代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

初代振袖「松の浜辺」

まずは、本イベントのキービジュアルとなっている大胆な笠松模様の振袖から。

初代振袖「松の浜辺」

里山さん曰く、

「インパクトの大きいこの振袖は、昭和30年代の作品で、一目で作風が判る初代らしさが魅力です。笠松が裾から上へと立っていく意匠で、黒の使い方に目が奪われます。いい意味で大らかで、きちんとしていない良さがあります。私自身は、つい整えてしまいがちで……面白味がなくなってしまうのが課題でもあるので、この作品は本当に良いお手本です」

訪問着「書院観月」

次に、初代・功造氏の作品を再現した訪問着。日本建築の直線美を表した一枚です。

訪問着「書院観月

訪問着「羽衣協奏」

そして、その「書院観月」のデザインに触発されて、対照的な西洋建築の曲線美を表現することに挑んだ当代の訪問着がこちら。

訪問着「羽衣協奏」

初代の名作をただ復刻するのではなく、振袖を訪問着に、訪問着を付下げやコートに姿を変えて、大胆さや品格、さらには功造氏ならではの遊び心はそのままに、現代の女性が「着たい」と思える“新しさ”がプラスされてている点に注目です。

バッグ「ゴブラン」と「さえずり」

バッグ「ゴブラン」(写真左)と「さえずり」

バッグ「ゴブラン」(写真左)と「さえずり」

中には、里山さんが手掛けた新作のバッグも!
初代より受け継がれてきた大羊居の特徴あるデザインに、当代のテイストを加えて制作されました。

バックに用いられたモチーフは以下のふたつです。

ひとつは、功造氏が手掛けた訪問着「さえずり」をリボーンさせたもの。

初代訪問着「さえずり」

模様にシルエットを取り入れるのは大羊居ならではで、鳥もチューリップもぎゅっと小さくなって、細部まで繊細に仕上げられています。和洋どちらでも使える洒落たデザインが魅力です。

もうひとつは、戦前から伝わる見本裂。

見本裂「ゴブラン調松皮菱」

欧州の綴れ織に着想を得た見本裂「ゴブラン調松皮菱」は功造氏の代表作のひとつ

当時は、作品制作の度に上前部分だけの見本裂をつくっていたそう。その中から印象に残ったのが、里山さんたちが通称「ゴブラン」と呼んでいる写真の作品です。

松皮菱の中に牡丹や菊などが描かれており、古典柄とゴブラン織の意匠を組み合わせることでモダンな印象が生み出されています。

大羊居のものづくりを、ぜひ会場で

功造氏の精神を誰よりも継承する里山さんが、敬愛する初代の作品に現代の息吹を注ぎ込んだ新作は、ぜひ会場にて。

大羊居展会期

取材・文/椿屋
写真提供/株式会社大羊居

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