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パリの着物屋、チャレンジングなフォトシュート! 「WORLD KIMONO SNAPS」 – FRANCE –

オペラ好きの彼女のリクエストにあわせてヴェルディを聴きながらの撮影。ベルベットリボンを帯揚げ代わりに、またお太鼓の後ろに三重仮ひもを入れ、総絞りの兵児帯をお太鼓のサイドから流れるように垂らしました。

グローバル・オンライン・メディア「Brut.」インタビュー

日本のみなさま。
コロナ禍にもお変わりなくお過ごしでしょうか。
こちらはコンフィヌモン(外出制限)後の5月11日からお店を開けて、手探りの6月、そしてあっという間に7月8月のバケーションシーズンが来てしまいました。
(普段から夏休みになるとパリジャンはバカンスへ行きいなくなってしまうのですが、その分観光客が来るところ、もちろん2020年はそれもなく…本当に無人化したパリでした。)

そんなさなかに、国内外の情報を映像で伝えるグローバル・オンライン・メディアのBrut.から、

というシリーズの10人目としてインタビューを受ける機会がありました。

グローバル・オンライン・メディアからインタビューを受ける機会がありました。
撮影はなんと全てiPhoneで!

5時間ほどかけて、女性のインタビュアー兼カメラマンさんが撮影。

初めて見たエッフェル塔が「鉄骨」で日中はキラキラしないからがっかりしたこと…
仮住まいだった小さいアパートのこと…
ファッションの勉強のため、チーズが好きだからという理由でフランスを選んだこと…
そして渡仏して18年経ち、あえて洋服ではなく着物文化を伝えるためのお店をパリで開いたこと…

3分ほどの短いインタビューに編集されていましたが、さすがは有名メディア、とてもたくさんの人からの反響があり、「撮影で着ていたデニムの着物がほしい」などのお問い合わせもたくさんいただきました。

インタビューからつながる縁

Charly Hoによるチャリティ撮影

また、同シリーズに出演されていたベトナム人カメラマンのCharly Hoさんから連絡があり、彼がオーガナイズしたチャリティ撮影に出演させていただく機会にも恵まれました。

その際には、黒レースの綿着物にヴィンテージのシルクのショールを羽織り、洋服風の組み合わせで軽快なイメージを演出。帯からインスパイアされたというレザーのウエストバッグを帯がわりにつけています。

また舞踏ダンサーでありモデルでもある黒人美女Theresaからも、「とっても感動したので一緒にコラボレーションをしたい!」と連絡がありました。
彼女のイメージがコルセット着用のゴシック風だったので、どのようにアプローチしようかと考えているうちに再度11月の外出禁止状態となってしまい…(この件は後半に続きます)

外出規制下ではもちろんお店は開けられないので、ネットショップの強化や未完成だったフォトスタジオの工事などに力を入れていました。

「アジア女性の強さ」フォトシュート!

そんななか…
友人であるHikotoさんがメイクの勉強をはじめたということで、モデルの依頼がありました。家が近いこともあり、外出規制あけすぐの12月頭に撮影を受けたのです。

テーマは、「アジア女性の強さ」。

◆ ヘアメイク&撮影(私のiPhone12pro) by Hikotoさん
◆ 着物スタイリング&着付&モデル by 私

要は、2人でミニ撮影会を実行。
彼女から事前にもらっていたイメージボードがはっきりとした赤と紫を使うメイクだったので、似たような色目のコントラストも考えたのですが…

Hikotoさんのメイクスケッチ©2020 hikoto_paris
メイクスケッチ ©2020 hikoto_paris

強いメイクに主張のある色合わせは、アジア女性の「凛とした、それでいてしなやかな強さ」をうまくあらわすものではないと気づき、

・やわらかなクリーム色のちりめん地に陶器の柄の小紋
・白地に白虎の名古屋帯
・半襟は更紗の端切れ

というコーディネートで、シルクロードを彷彿とさせるオリエンタルな組み合わせにて臨みました。

シルクロードを彷彿とさせるオリエンタルな組み合わせとなりました。

Hikotoさんの非常に丁寧なベースメイクの上に、艶やかなかつ繊細なグラデーションのアイメイク。普段の私よりもぐっと大人な雰囲気のメイクアップに、不思議と身体に芯が吹き込まれたような、まさに生まれ変わったような気持ちになりました。

そもそもモデルではないので、ポージングしたりすることに違和感はあったのですが、結果としては「あれ、私結構美人に写ってる!」と素直に喜べるステキな写真となりました。

ヴェルディのオペラを聴きながら

もともと、コンセプトを考えてスタイリングするのは大好きです。
クリエーション熱が上がったまま「もっと撮影したい!」となり、件(くだん)の黒人美女Theresaに連絡しよう!となったのです。

彼女との打ち合わせの際に、羽にも見える暗めの色の梅模様の小紋に、黒の作り帯を見せたところ、すごく気に入ってもらえました。

当初の予定では、今までの彼女と違って露出は控えめに、なるべく伝統的な着付けをする予定でした。…が、Hikotoさんのメイク案がかなりグラフィカルだったので冒険心がムクムク。

白地に赤いビーズの刺繍襟に、小紋と茶臙脂(えんじ)の絽の着物を一つ前(着物と着物を2枚合わせて着る着方)にすると、お太鼓ではバランスが合わなくなりました。
そこで臙脂(えんじ)のベルベットリボンを帯揚げ代わりに、また急遽、お太鼓の後ろに三重仮ひもを入れて、総絞りの兵児帯をお太鼓のサイドから流れるように垂らしました。

Model by @theresafractale, Photo by Riyako Sukemoto, make-up by Hikoto Hair by Audrey Azede, Kimono Styling by Sono FUKUNISHI
Model by @theresafractale, Photo by Riyako Sukemoto, make-up by Hikoto Hair by Audrey Azede, Kimono Styling by Sono FUKUNISHI
Model by @theresafractale, Photo by Riyako Sukemoto, make-up by Hikoto Hair by Audrey Azede, Kimono Styling by Sono FUKUNISHI

なかなか変則的ではありますが、ダンサーである彼女の雰囲気に合う着付けとなりました。

オペラ好きの彼女のリクエストにあわせてヴェルディを聴きながらの撮影。
6時間を超える長丁場でしたが、私の私物であるビンテージキルトの長椅子や和傘なども用い、カメラマンが「いい!」と唸りながら撮影する、美しい熱のある作品に仕上がりました。

すっかり味をしめた私とHikotoさんは、今後も撮影をしていくことを決定。
月に1度くらいは撮影を行い、カレンダーなどが作れたら楽しいかも?などと考えています。

よりクリエイティブに、より楽しく

2020年は、みなさまもいろいろと大変なことがあったかと思います。
ただそのなかで見つけられたもの、再発見したものもあったのではないでしょうか。

1日2万人を超える感染者がいるフランス(1月末現在)は、まだ18時以降は外出禁止状態で決して楽観視はできない状況です。
今後の見通しも不透明ですが、とても優しくコアなお客様方に支えられている私のお店 『Comptoir de Kimono』。
「着物の窓口」の名前に負けないよう、よりお客様に添いつつ、よりクリエイティブに、楽しく日々を生きていけたらと思っています。

最終回によせて

パリに来て早19年、決して楽ではありませんでしたが、全ての苦労が肥やしとなり、今の私がいるのだなと感じています。

外国にいるからこそ日本人であることを意識させられ、またそれが着物を再発見するきっかけとなりました。フランスと日本の老舗メゾンを繋げるコラボレーション企画などもできあがりつつあり、海外にいることによって様々な地方の織り手さんとのつながりを創れる立場にもなって来ました。これからも、ライフワークと定めた「パリから着物文化を発信する活動」を続けてまいります。

早く元どおりの平和な日常が戻ってくることを願い、また引き続き,みなさまの着物ライフが自由かつ楽しいものでありますように祈りつつ。
パリから愛と希望を込めて。

「À très bientôt(ア トレ ビヤント)」また近いうちに!

福西 園

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