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繋がって行く渡米2日目の出逢い 「WORLD KIMONO SNAPS」 ‐ NEW YORK ‐

繋がって行く渡米2日目の出逢い 「WORLD KIMONO SNAPS」 ‐ NEW YORK ‐

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着物を用いた撮影がどのように実現していくのか、作品撮りを支えるたくさんの方々との出逢い、また作品に対する想いなどを綴ります。

前回ご紹介しました各撮影を、少しずつ細かくご紹介いたします。

5年前、家族はもちろん友達もゼロ、何のコネクションもないままニューヨークへ。
その渡米2日目に、友人の友人という遠い存在の人が「おもしろい人がいる」と会わせてくれたのがAyakamayさんというパフォーマンスアーティストの方でした。

「明日撮影があるけどメイクアップアーティストも来るし、紹介するからおいで」

現場を見せてもらうだけのつもりで行きましたが、その日の予定が急遽変更に。
彼女の「Mimikaki」という作品の写真を撮ることになり、着付けをさせてもらうことになりました。

前日にお会いしたときに着付けができることは話していたのですが、まさか渡米3日目で着付けをすことになるとは夢にも思わず、しかもこんなクリエイティブな撮影で私の「NY着付けライフ」がスタートするとは…少しも想像していませんでした。

その後も、彼女が着付けが必要な時にお手伝いさせてもらうことが増え、その年の12月、毎年マイアミで開催される「アートバーゼル」というアメリカ最大規模のアートフェアに同行することとなりました。

この「アートバーゼル」、マイアミ全体がアート一色になり、世界中からすばらしいアーティストやアート好きなリッチなバイヤーたちなどが集まり、とにかく盛り上がるアートフェアなのですが、「とにかく目立とう」とこの着物と紅いウィッグでマイアミ中のアート会場を渡り歩くことに。
当日は写真を求められ前に進めないほどでした。

アートフェアの期間中は、あちこちでソーシャライズのためのアフターパーティなどが開催されており、私も、そのパーティで着ようと渡米前に仕立てた訪問着を持っていっていました。

着物を着ているだけで、とにかくいろいろな方々に声をかけてもらい、そこから会話がはじまりつながって行く。
着物は世界をつなぐすばらしいコミュニケーションツールなのだと実感しました。
さらにこのマイアミの旅で着物を着たことで、世界中の人たちが集まる場所でこそ着物を着なくちゃ!と変な使命感のようなものを感じました。

その後、ニューヨークに戻ってからも、顔の広い彼女のおかげでいろんな人と出会うことができました。
フォトグラファー界のレジェンドと言われるWilliam Coupon氏もそのうちのひとりです。
彼女がWilliamに着物での写真を撮ってもらいに行くとのことで、着付けをさせてもらい、撮影も付き添うことに。

前回お伝えした通り、エロティックではない「着物アート」としての作品を撮りたいとイメージを膨らませていたところでした。
もともとモデルさんには余計なものを着せたくなく素肌に着物をはおるだけのイメージでしたが、それには最高のテクニックやセンスを持っているフォトグラファーでないとダメだ!と強く思っていました。

そんな時に彼と出逢い、イメージ通りのモデルさんと出会い、すばらしいヘアスタイリストの方にも協力してもらう形で撮影となりました。
着付けをしていなかったらこの出逢いはなかったかもしれません。

1着目の着物は日本のアンティークのお店で見つけた羽織です。
江戸時代のものだと言われました。
少し力を入れると縫い糸が切れてしまうほど古く繊細で、表は紫の地模様に裏地はあざやかな絞り染めが施されていました。(着ると見えない所のデザインをこだわるのが古い着物のステキなところですよね。)

2着目は祖母の着物です。
実家で見つけ私が着るには断然小さすぎるのですが、大好きな着物のひとつでニューヨークに持ってきていました。
振袖の袖を切ったのか実際のところは祖母に聞いても分かりませんでしたが、振袖のような豪華な刺繍と柄、後ろにひとつだけ紋があり、印象的な青の表生地にオレンジの裏地がお気に入りでした。
今でもアンティークの着物の色使いが大好き!
昔の方の色使いのセンスはモダンで本当にすばらしいと感じます。

きっとモデルも彼女でなければ私の求めているイメージの写真にならなかったでしょう。
Williamとの撮影はこれきりでしたが、思い通りに撮れた写真は今でも大切な作品のひとつであり、とても思い出深い撮影となりました。

それからも、NYで着物の縁がどんどん拡がっていきました。
長くなりますのでまた次回お伝えさせていただきますね。
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