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和髪を自分で結うために 「セルフ和髪のいろは」着物に合うヘアスタイルって?

和髪を自分で結うために 「セルフ和髪のいろは~一髪二化粧三衣装」vol.1

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せっかく着物を着るんですもの、少しでも着慣れてみられたいのが女心。仰々しくなく、かといって地味すぎず、どんな着物にも合う自然な髪が結えたら…私が自分で和髪を結おうと思ったのも、こんな理由からでした。和髪の基本構造から、「セルフ和髪」を丁寧に解説いたします!

人の印象の7割が髪型

着姿の美しさを構成する要素、といわれて何が思い浮かぶでしょうか。
着付け、メイク、コーディネート…
数々あるうちでも意外なほど大きく影響しているもの、それがヘアスタイルです。

心理学では、人の印象の7割が髪型で決まると言われています。
また「一髪二化粧三衣装」という言葉があるように、女性の美は髪に宿ると言っても過言ではありません。

せっかく着物を着るんですもの、少しでも着慣れてみられたいのが女心というもの。
仰々しくなく、かといって地味すぎず、どんな着物にも合う自然な髪が結えたら…
私が自分で和髪を結おうと思ったのも、こんな理由からでした。

和髪を自分で結うこと

和髪を自分で結うこと

着物の時の髪型とは不思議なもので、洋服の時と同じようなヘアアレンジだと何故かしっくりこないことが多いのです。
着付けも完璧なはずなのに、なぜか着慣れてみえない。
理由は、着物のもつ見た目の質量感に対してヘアスタイルが軽すぎるのだと思います。
やはり、日本髪のようにしっとりとした重みを持たせたヘアが、着物には必要なのだと感じます。

着物雑誌のモデルさんが結っているような、あの丸くて髪の面が美しい髪型は「和髪」 と呼ばれています(厳密にいうと少々違うのですが、便宜上「和髪」とします)。

実は、この和髪をきれいに結える美容師さんは少ないのだそうです。
銀座や六本木などの繁華街や、伝統文化が息づいている街には比較的いらっしゃるそうですが、難しい部類のヘアセットになるらしく、昔、突然依頼をした美容師さんから「練習が必要なのよ!」と言われたことを覚えています。

運良く結える美容師さんと出会えたとしても…
イメージがうまく伝わらなくて想像と違う仕上がりになってしまった、なんてことも、あるある!な話なのではないでしょうか。

和髪を結いはじめた当初は失敗の連続

かくして自力で練習をしはじめたわけですが、結いはじめた当初はもちろん失敗の連続。
ピンで留めるべきところを確実に留められていなくて崩れてきたり、ヘアピンを使いすぎて頭皮が痛かったり、整えた髪の面を保つのに力を入れすぎて毛タボが見えてしまったり。

それらをクリアしながら様々なアレンジを加えられる美容師さんたちは、やはりプロフェッショナルですね!
…と思うのと同時に、「他人に結ってもらう」のと「自力で結う」のでは、できることに限りがあるということも学んだのでした。
安定して自力で結える和髪の結い方にたどり着くまで時間はかかったものの、諦めずにやり続けて今に至ります。

今回こちらのコラムでは、あくまで「自分で結う」ことを目的としたシンプルな和髪スタイルをご紹介いたします。
難しいポイントをできるかぎりそぎ落とし、きれいに仕上げるコツを詰め込みましたので、みなさまの和髪への入口にしていただけましたらうれしいです。

和髪の基本構造

では、そもそも和髪とは、どういった構造になっているのでしょう。
中がどうなっているのかが分からないことには、結えません。

和髪の基本構造

和髪はこのように、土台を中心として「髪で毛タボを包んでいくこと」で作られています。
土台をのぞくと、 大きく上部(トップ)と下部(襟足)に作業を分けることができます。
毛タボを包めるだけの長さが必要なので、基本的にはセミロングくらいがやりやすいと思います。

「土台の位置」や「毛タボの量」、「毛先をまとめる位置」でシルエットを変化させることができ、 見た目の印象も変えることができます。

衿足の膨らんだ部分、抱き合わせ

こちらのような、衿足の膨らんだ部分の整え方のことを「抱き合わせ」と言います。
毛タボを包むときに、左右から髪の面を抱き合わせるようにして作っていくのでそう呼ばれているのですが…これが難しい!

次回からご紹介する手法では、この「抱き合わせ」は作らずに仕上げます。
しかし、和髪の雰囲気をぐっと上げてくれるポイントでもあるので、手が慣れてきましたらトライしていただきたい部分でもあります(抱き合わせのやり方は、後日別の回であらためてご紹介したいと思います)。

まずは、先ほど基本構造で解説した上部の仕上げをマスターしていきましょう。

必要な道具

セルフ和髪に必要な道具

今回必要な道具は以下の通りです。

①くし リングコームと呼ばれるタイプのものが良いです。
100円均一でも手に入ります。
②整髪剤 ハードタイプのスプレーが良いです。
私はVO5のスーパーキープ無香料タイプを愛用しています。
③毛タボ 梳き毛とも呼ばれます。
大きめのドラッグストア、または楽天やAmazonなどで入手できます。
だいたい大きくひとつかみ分(10~15g程度)あると良いです。
プロ仕様品ですとカラーが豊富ですので、ご自身の髪色に合わせて選べますよ。
④ヘアピン 波型のアメリカピンが留めやすいです。
玉は有りでも無しでも良いです。
10本以上ご用意ください。
⑤Uピン大 オニピンとも呼ばれます。5本以上ご用意ください。
⑥Uピン小 ネジピンとも呼ばれます。5本以上ご用意ください。
Uピンは大小あると便利です(⑤⑥)。
⑦ヘアゴム1個 太すぎないもの。髪の細い方はシリコンゴムでも結構です。
⑧ダッカールピン ブロッキングした毛束を取り分けておくのに使います。
邪魔にならないようにできれば良いので、ヘアゴム等でも代用OK。
※コテ 巻かなくでもできますが、事前に巻いておくと多少やりやすくなります。
必要な方はご用意ください。
30mm前後の太さが扱いやすいです。

道具を揃えられましたら、 次回からは、実際に結う手順を解説していきます。
どうぞお楽しみに!

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すーこのセルフ和髪

実際に簡易版の和髪を結っていきましょう。できる限り難しいポイントをそぎ落とした手法となります。ごくごくシンプルに襟足をすっきりさせたスタイルは、普段着物から礼装にも合わせられる万能ヘア。 和髪らしさのひとつでもある「髪の面のツヤ」が、きっと着姿をグレードアップしてくれますよ。

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