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アートを纏う、オリエンタルな着物スタイル feat. サヘル・ローズ 「きもの、着てみませんか?」vol.11-1

アートを纏う、オリエンタルな着物スタイル feat. サヘル・ローズ 「きもの、着てみませんか?」vol.11-1

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着物スタイリスト・薬真寺香さんによるスタイリング連載の第11弾。今回ご登場いただいたのは、タレント、俳優、さらには映画監督としてもご活躍のサヘル・ローズさん。オリエンタルな優しさに包まれるコーディネートをご提案します。

2025.04.12

インタビュー

きもの、着てみませんか?

ペルシャの風香る装い

サヘル・ローズさんはイランで生まれ、イランの孤児院で育った後に8歳のときに養母とともに来日。高校時代から芸能活動を始め、タレント、俳優としてのキャリアを築いてきました。

芸能活動の傍ら、里親関連、親と子の在り方、平和についてなど様々なテーマで、日本全国での講演を行なっているサヘルさん。国内外の子どもたちや難民の支援を続けています。

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

2024年には自らが監督を務めた映画『花束』を公開。エグゼクティブ・プロデューサーに岩井俊二氏を招き、児童養護施設で育った8人の若者たちの多様な姿を描きました。

薬真寺さんも、様々な事情により児童養護施設などで家族と離れて暮らす子どもたちに七五三や十三詣り、成人式など日本の伝統的な慶びを届ける活動を5年ほど続けています。そんなご縁から繋がったサヘルさんと薬真寺さん。

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

今回はアート、そしてオリエンタルなムードを纏う着物スタイルなのだそう。都会の街並みにしっくりと馴染みつつも、サヘルさんの内面を映し出す、薬真寺さんのスタイリングとは?

2025.07.18

ライフスタイル

イチゴイニシアチブの七五三

まるで万華鏡……キリム柄やイタリアの景色を感じさせる総刺繍

まず最初に纏っていただいたのは、汕頭スワトウ刺繍で描かれたオリエンタルな柄が印象的な紬。

「異なる種類の刺繍が複雑に重なり、響き合って描かれた美術品のような紬です。牧歌的なムードと洗練された品の良さが同居しているところに、サヘルさんに抱くイメージと近いものを感じました」(薬真寺)

「ところどころに覗く汕頭スワトウ刺繍はレースのような繊細さ。茶や深緑、濃青など落ち着いた色味で構成されているため、全体としては甘くなりすぎず、シックに仕上がっています」(薬真寺)

この着物を見た瞬間にサヘルさんも「私の好きな世界観!」と声を上げられました。

「万華鏡のようなお着物ですね。ペルシャのキリムの柄にもすごく近いと思ったり、先日訪れたイタリアを思い出したり。光によって色の見え方が変わりますし、柄も見方によって変わるのも素敵です」(サヘルさん)

合わせた帯は洛風林の手織り本袋帯。こちらはどのような点を意識してセレクトされたのでしょうか?

「エキゾチックで、躍動的な絵柄が織り出された味わい豊かな袋帯。一見かなり派手ですが、柔らかくて優しいオフホワイトの地色の効果でコーディネートしやすくなっていると感じました。

今回はコートを羽織り、スカーフをあしらうスタイリング。合わせる帯留も大きめなので、全体のバランスを鑑みて、帯の幅をやや広めに出しています。」(薬真寺)

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物
俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

帯の柄には、サヘルさんにとって驚きがあったようです。

「とても中東らしさのある帯で、こういうものに出会ったことがなかったので驚きました。いろんな発想で作られるものがあるのだな、と感じられて嬉しかったです」(サヘルさん)

『HERALBONY』のスカーフで彩る、秋の着物スタイル

今回薬真寺さんがスタイリングに取り入れたのは、鮮やかな存在感で目を惹く『HERALBONY』のスカーフとバッグ。

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

『HERALBONY』は「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、障害のある作家たちとともに新たな文化や価値観の創出を目指す、岩手県発のクリエイティブカンパニー。作家たちが描くアート作品をIPライセンスとして管理し、正当なロイヤリティを支払うことで持続可能なビジネスモデルを構築しています。

「大小2サイズのバッグはいずれも数箇所に切り込みが入っていて、好みに合わせてスカーフを覗かせることができる仕様。着物好きとしては、帯揚げやアンティーク古布をあしらうのもいいなと感じます」(薬真寺)

映画監督サヘル・ローズさん、スタイリスト薬真寺 香さん

「首元から肌寒さを感じやすい和装には、出先でバッグにつけたスカーフを外せば防寒アイテムに早変わりするのも頼もしい。

スマホケースに好きな絵や写真を飾るような感覚で、気軽に印象を変えられるこのバッグは、着物でも洋服でも活躍するアイテムを探している方にうってつけだなと感じました。」(薬真寺)

衿元に合わせたスカーフは『りんごのブーケ』(Yuh Mitani)、バッグにあしらったスカーフは『青春のバラード』(Keisuke Mori)。HERALBONYが誇る、異彩を放つ作家陣の筆遣いを忠実に再現するため、シルク素材100%にこだわって製作されています。

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

「たとえば、工房や織元の”ものづくりに対する理念”や”ものを生み出す工程”に惹かれて、着物や帯を手にすることってありますよね。デザインが好みなのは大前提なんだけど、想いに胸打たれ、より一層身に付けたくなる、という。今回『HERALBONY』のアイテムを取り入れたのはそういった理由もあります。

デザイン面で言うと、明らかに何柄と断定し難いのでコーディネートに取り入れやすいと感じました。解釈に幅があると、着物や帯の個性と絡めてストーリーを展開することができるので。88cm×88cmという汎用性の高いサイズ感も嬉しいポイント」(薬真寺)

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物
俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

「着物って、優しい」サヘルさんがうっとりした柄合わせ

続いてのコーディネートは、唐織御召の訪問着。美しいグラデーションに目を奪われる、永治屋清左衛門の逸品です。

「上質感を醸す光沢、織りで表現された柄とグラデーションが芸術的な美しさ。ダークな色味を基調としているのでカッコよく纏えるのも◎。内に秘めた強さを感じさせる静かな迫力に惹かれ、ぜひサヘルさんに着てほしい!と思いました」(薬真寺)

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

「これまでに着させていただいたお着物は明るい色は花柄が多かったのですが、今日のコーディネートを見たときに『私の心をわかってくれている!』と思いました。

うちなる自分を表現してくださっているので、とても新鮮に感じられて。私はダイビングが好きなのですが、海に潜るときの感覚や、深い海の中での光の揺らぎを感じました」(サヘルさん)

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

チラリと覗く八掛にも、ひと工夫が
着物:【永治屋清左衛門】工芸唐織御召訪問着「桐花鳳凰紋」

「合わせたのはHERALBONYコンビレザートートに、シルクスカーフ『ヴェネチアのフルーツ船』(Hiroshi Yoshida)。着物のグラデーションとのバランスを見て、スカーフの折り方や長さを調整しました」(薬真寺)

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

サヘルさんは袋帯にも、嬉しい気持ちが溢れたようです。

「帯の色を見たときに、ペルシャの色だ、と思いました。紫というのは、ペルシャでは貴族の色。派手なわけではないけれど、華やかさと上品さを兼ね備えた雰囲気が気に入りました」(サヘルさん)

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

「ペルシャでの意味合いは意識していなかったのですが、この色がサヘルさんという人を体現しているように感じました。底抜けの優しさ、愛をもって投げかける厳しい言葉、限りのない包容力。そういう印象をそっくり表してくれているような」(薬真寺)

「織り出されているのは『かに牡丹文』。富貴、高貴さの象徴とされる牡丹を蟹の形に文様化したもので、品格の中にユニークな印象が滲むところが好きなポイントです。

また、鮮やかなピスタチオカラーが非常に効果的で、この色が入ることによって唯一無二の存在感を高めつつ、着物にも、バッグに合わせたスカーフにも馴染みやすくなったと感じます」(薬真寺)

俳優・映画監督サヘル・ローズさんが纏う、アートな着物

袖口からチラリと覗く襦袢もスカーフや着物とのバランスを意識してセレクト。半衿は肌馴染みがよくこなれたニュアンスが出せるオフホワイトに
着物:【永治屋清左衛門】工芸唐織御召訪問着「桐花鳳凰紋」
帯:【龍村平蔵製】錦織両面本袋帯「かに牡丹文」

着物や帯、それぞれの良さを引き出し合う着こなしに、サヘルさんもうっとり。

「柄と柄なのに、お互いに邪魔をしないってすごいですよね。どんなものにも調和して、着ている人に寄り添ってくれる。着物って、優しいんだなと感じました」(サヘルさん)

俳優・映画監督サヘル・ローズさん、スタイリスト薬真寺 香さん

撮影中、薬真寺さんの額についた綿毛をそっと払うサヘルさん。自然に滲み出る優しさをとらえた一枚!

次回はインタビュー前編を公開予定。

サヘルさんからみたイランの民族衣装と着物についてのお話などを深掘りします。

スカーフ・バッグ:HERALBONY
LOOK1
シルクスカーフ『りんごのブーケ』(Yuh Mitani)
スカーフコンビレザーミニバッグ
シルクスカーフ『青春のバラード』(Keisuke Mori)
LOOK2
スカーフコンビレザートート
シルクスカーフ『ヴェネチアのフルーツ船』(Hiroshi Yoshida)

撮影協力/Shinzone表参道本店

構成・文/山本梨央 dejane_rio
撮影/坂本陽 minami.camera
ヘアメイク/尾口佳奈
ディレクション・スタイリング・着付け/薬真寺 香 ___mameka_

※かんざし、コート、襦袢、半衿、帯留、帯締め、帯揚げはスタイリスト私物

2023.02.15

インタビュー

イチゴイニシアチブ主宰 市ケ坪さゆりさん

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