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流れにのって 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.11

流れにのって 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.11

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陽の光はやわらかであたたかく、空は夕方までも明るく、大気の寒さは優しく、ほのかに感じる春の存在に心踊ります。立春を過ぎると、本格的に運気の流れも変わってくるようです。ふわりと良い流れにのれるよう着物を纏うとしたら、流れを意識して柄on柄コーディネートで再現してみましょう。

流れにのって

寒さが徐々に和らぎ、陽の光の中に春の気配をほのかに感じます。街中やお店でも軽やかで明るい色味に目を引かれます。ふと気づくと、歩きながらも鼻が梅の香りを探しています。

少しづつでも確実に、”ニューノーマル”な生活が日常となり、個人レベルでは明るい面やポジティブなことも感じられる反面、社会レベルの色々な変化に驚きやショックを受けています。
今まで認識していた変化は実は変化ではなく、誤差だったのかもしれません。

何事も変化していくことを知っているはずなのに、当たり前が当たり前でなくなることに固定観念が抵抗しています。”自分の常識は他人の非常識”という言葉があるように、当たり前という概念すら捨て去ってもいいのかもしれません。

そんな中でも例年通り季節の移ろいを五感で感じられると、穏やかで優しい気持ちになれます。

今年の節分は「2月2日」、3日でないのは124年ぶりの1897年(明治30年)以来、よって立春も1日早い「2月3日」とのことで、貴重なタイミングのようです。
そして運気の流れが変わる2月上旬を迎えました。

次々と変化の波が大小関わらず訪れていますが、抵抗になるものを全て置いておき覚悟を決めたら、思い切って波に乗って、ふわっと流れに身を任せ、あとはなるように楽しもうと思っています。みなさまはいかがでしょう。

昨今の変化の波にしなやかに対応し、運気の流れにのれるようなコーディネートを柄on柄で再現してみましょう。

柄を取り入れるコーディネートのコツ Part.2

以前(『豊潤のススメ』参照)、コーディネートのなかで「柄と柄を合わせること」が一番難しくそして一番楽しく、着物の醍醐味のひとつだとお伝えし、以下をおすすめしました。
合わせる柄の大きさのメリハリで、奥行きや立体感が生まれます。

大きな柄の着物 に 小さな柄の帯
小さな柄の着物 に 大きな柄の帯

今回は着物や帯の柄ゆきから「流れ」を意識したコーディネートを行います。
お手持ちの着物や帯で、流れや動きを感じられるものがありましたら取り入れてみましょう。お持ちでない方も、どんな柄にそれらを感じるか想像してみましょう。

流れや動きを感じる柄の着物 に 流れや動きを感じる柄の帯

着物の柄と帯の柄で全体の流れをつなげられると、躍動感ある縦ラインが強調されスタイルアップがかないます。

流れのある柄の着物は持っていても、流れのある柄の帯はなかなかみつけられないとお伺いすることがあります。実際流れのある柄の帯はたくさんあるのですが、単品では地味に見えてしまい、他の華やかな帯のなかで埋もれてしまっていることもよくあります。

今回ご紹介する流れのある帯も、一見どちらも地味な印象です。
色無地、紬、江戸小紋でも活躍してくれますが、柄on柄コーディネートになりますと一気に存在感が増し、着物の良さを引き立ててくれ、調和美を再現するすばらしい味方となってくれます。
目にする機会がありましたら、お手にとって流れのあるコーディネートを想像してみてください。いつものコーディネートに広がりを与えてくれるでしょう。

ゆたやかでは、松柄の小紋のゆたやかな流れを感じて
すこやかでは、幾何学の小紋のすこやかな流れを感じて
のびやかでは、乱菊の小紋ののびやかな流れを感じて

みなさま自由に想像して、楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート ゆたやか

ゆたやか前後横

・デフォルメされた松柄の小紋
・波柄の袋帯
・香染色の縮緬の帯揚げ
・香染色の左右で色が違う冠組の帯締め

ゆたやかな流れにのって

着物コーディネート すこやか

すこやか前後横

・たたき染の幾何学の小紋
・植物柄の染の袋帯
・地紋入りの黒の帯揚げ
・黒の三分紐
・石の帯留め

すこやかな流れにのって

着物コーディネート のびやか

のびやか前後横

・乱菊の型染めの小紋
・幾何学柄の染の袋帯
・グレーの縮緬の帯揚げ
・薄黄色の冠組の帯締め

のびやかな流れにのって

流れのある柄帯の魅力

流れのある柄帯

以前(『陽恋しい向寒』参照)、主役級とも言える大柄帯の魅力をお伝えしました。今回は、流れのある柄帯の名脇役な存在をご紹介します。

先のコーディネートで一見地味な流れのある柄帯が、柄の着物との調和美を奏でる際に大切な存在であるとご覧いただけましたでしょうか。色や質感だけでなく、動きや流れまで調和美に取り入れられると、より柄on柄コーディネートが楽しくなります。

大きな柄やはっきりとした柄の小紋にさらに柄の帯を着用するとなると、苦手とされる方、戸惑う方もいらっしゃるようです。柄の着物に無地の帯、無地の着物に柄の帯、どちらもどなたにとってもコーディネートしやすいです。無地には無地の良さがあります。

しかし柄の着物に無地感が強い帯を合わせると、せっかくの縦ラインに区切りができてしまい、コーディネートによっては柄の着物の良さが活かしきれないこともあります。

柄の着物を活かすとしたら、流れのある柄帯を取り入れていただくと、自然と縦ラインが強調され、躍動感が生まれスタイルアップにつながります。

色々な印象で柄の着物に変化をつけ、お召しになってみたい場合、流れのある柄帯をお持ちですと一層コーディネートの幅が広がります。

流れのある柄帯はどのような柄かと言うと、個々の感じ方にもよります。
よってぱっと見た時のご自身の印象で構いません。
有機的な曲線や直線でも、羅列もしくは整列された柄でも、柄自体に動きのある波や植物の場合もあります。名脇役なので、華やか過ぎず地味過ぎずの存在感でしょう。

ご自身のお眼鏡にかなう”流れのある柄帯”との出会いがありますように。

柄on柄コーディネートも味方にし、”自分らしい”美しい装いに変化と進化を。

センスを磨くには Part.18

センスを磨くには

以前(『口説かれ着物の纏い方』参照)、センスを磨くにはの初回において、コツはないけれど、3つおすすめをしました。

1.想像力を養うこと
2.一般的な概念や型に囚われないこと
3.自分を知ること

今回3に関して、もう一歩踏み込んで触れていきたいと思います。

”ありのままの自分”、”自己肯定” などに関する内容の記事や本が世の中にたくさんあります。
実際それらを読むと、そのまんまでいいのだととても癒されます。
一方で誰しもが社会的立場や役割があり、それらを全うして生きています。
社会や他者からの視点や評価、それらの期待に応えようとする姿も自分自身です。

自分視点、他者視点のどちらにおいても、もう少しまたはもっと心地よい自分になりたいと思ったら、以下3つを感じてもらうことをお勧めします。特にこのような変化が激しい時期にはより感じられるかと思われます。

既存の価値観
固定観念
先入観

これらは誰しもが無意識に持っている思考のクセのようなものです。
良い悪いの判断をせず、自己否定することもなく、ただただ自分が持っているこれらは何だろうと少し意識を巡らせてみてください。日常のありとあらゆる場面で、違和感や抵抗感を感じた時がチャンスです。そう感じた時に自分が持っているこれらを意識化できるからです。

世の中の変化が激しい中これらが邪魔をしてしまい、思うようにいかないことがあります。そういう時には思い切って手放してみる、ゼロベースにしてみるのもいいかもしれません。風の時代(『モノクロームな大寒』参照)がきっと味方になってくれます。

そうすると見えなかったものが見えるようになったり、聞こえなかったものが聞こえるようになったりします。
世界が新鮮になり、新たな可能性を見つけられることもあります。

変化を恐れず、進化を遂げていきましょう。

着物コーディネート・帯姿
着物コーディネート・前帯
着物コーディネート・横から

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