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着物の解体を通して和裁技術の奥深さを知る 京都きもの市場 大阪梅田店 2周年イベントレポート

着物の解体を通して和裁技術の奥深さを知る 京都きもの市場 大阪梅田店 2周年イベントレポート

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伝統的な技術を継承した和裁士さんの手でひと針、ひと針、美しく仕立て上げられた着物は、一体どのような工程を経て完成しているのでしょうか? 京都きもの市場 大阪梅田店ではオープン2周年を記念して、和裁士さんによる仕立て上がり着物の解体体験イベントを開催しました。 今回はあっという間に満席となった人気イベントの模様をレポートいたします。

京都きもの市場 大阪梅田店はおかげさまで2周年!着物解体イベントが行われたのは2周年記念イベント期間中の2月9日(日)。
会場には2周年ということで数字の「2」にちなんだお得なセールや、ベテランバイヤー竹中さんによる選りすぐりのハイクラス中古品、
ネット店長さんからのお祝い企画も催されており、賑やかな雰囲気に包まれていました。

スペシャルラインナップとして、西陣御召を手がける京都のブランド「萬次郎」さんのコーナーも登場!
御召ならではのシャリ感ある風合いと、粋なデザインが融合したステキな着物がずらりと並べられており、思わず目を奪われてしまいます!

和裁士さんにお話が聞ける貴重なチャンス!
今回の着物解体イベントでは、日頃あまり表に出ていらっしゃらない和裁士さんに、直接会ってお話を聞くことができる貴重な機会ということで、
応募が定員枠を大幅に超えて、キャンセル待ちがでるほどの人気となったそうです。

イベントでは和裁士さんに自由に質問をしていただけるよう、あえて15名様という少人数制で企画をされたということでした。
どんなお話が聞けるのか楽しみです!
今回、講師を務めてくださったのは「株式会社たけなか和裁」の和裁士・竹中志織(しおり)さん。
和裁士歴は9年目で、お父様が営まれる和裁の会社「たけなか和裁」の和裁士として、日々その腕を磨かれています。
志織さんのお母様も和裁士さんだったそう!
ちなみに和裁士とは、正式には「和裁技能士」と呼ばれる国家資格を有する人のこと。

和裁技能士になるためには学校などで4~5年間勉強をし、技能検定2級および1級の資格を取得しなければならない大変難しい国家資格です。

今は若手の技術継承者が少なくなっており、縫い手が減ってきているのだそうですが、「たけなか和装」さんでは若い和裁士さんも沢山活躍されているとのことで、
これからの着物文化を支えてくださる頼もしい味方です。

いよいよイベントスタート。袷着物を分解していきます。

「今回の講座は、着物を完全にバラバラにするのではなく、着物の構造を知っていただくのが狙いです。そこで着物を部分的にほどきながら、中身がどうなっているのかを見ていただき、着物の縫製のポイントとなる特徴的な部分を順にご説明していきますね」と先生。

着物が作られた流れや構造を知っておくと、着物にトラブルが起こった時にも慌てず自分で応急処置ができそうですね!

着物は全部で幾つのパーツでできている!?
「ではここでクイズです!合わせ着物は全部でいくつのパーツでできているか、お分かりになりますか?」と先生から質問が飛び出しました。
会場のモニター映像では着物の表地のパーツが映し出されており、見ごろ、袖、おくみ、衿…と表地だけでも8つのパーツに分かれていることがわかります。

「裏は何枚かしら…?」「表が8枚ってことは、裏も8枚で16枚かな?」

参加者の皆さんも日頃あまり考えたことがない質問に戸惑いつつ、頭を捻っていらっしゃいます。

そして正解は…

「着物のパーツは全部で24枚あるんです。
裏は八掛が2つ、見ごろも4つに細かく分かれていて、芯も2枚入ります。
そこで表は8枚、裏は14枚、芯が2枚あるのでパーツは全部で24枚になります」と先生。
着物って本当にたくさんのパーツからできているんですね!
丁寧な手仕事の裏側には秘密がいっぱい!
先生によると、着物は傷みやすい部分は特に丁寧に仕事がされているのだそう。
裾まわりは傷みやすいため、衿にも使われている綿素材の布を入れてしっかりと裾とじがされていました。

「裾はとても複雑な構造になっていて、裾を作るだけでも4段階ほどの工程がありすごく手間がかかります。
衿や脇など負荷がかかる部分は綿の生地を中に入れることでサポートし、丈夫で着やすくなるように考えられているんです」。

見えない裏側にこそこだわり、着物が長持ちして安心して着られるよう細やかな工夫が凝らされていることが、解体を通してだんだんとわかってきました。

袖の丸みは袂がゴロゴロしないようにスッキリと!

そして優し気な印象が際立つ袂の丸みも、もちろん全て手仕事です。

丸みを出すために金属製の丸いプレートとコテを使い、生地に丸みのクセをつけていきます。
縫った部分を引っ張ってギャザーで丸みをつけるわけではなく、袂の丸み部分がゴロゴロしないよう、きっちりと折りたたんである裏側の技術は美しいの一言!!

またいつでも仕立て替えやお直しができるよう、生地にダーツを入れたり丸くカットするのでなく、角をそのまま織り畳んで始末してあるのも和裁士さんの技を感じます。

技術を駆使した手縫いだからこそ、世代を超えて受け継ぐことができる。

縫い糸も常時数十種類が用意されており、仕立てる着物にぴったりとあう色糸を和裁士が厳選。
糸の劣化を防ぐため、沢山ストックしすぎないように注意しているのだそう。

和裁で使用する手縫い針はとても細く、着物を解いても生地に針穴が残らないため、仕立て直したり、洗い張りに出すことができるのも魅力。

和裁士さんが心を込めて仕立てた着物には、物を大切に、親から子へと長く継承できるように工夫されてきた、日本の和装の歴史や思いが込められているのですね。

今回の解体では、着物の裏側に隠されていた知恵や工夫を実際に見て触れることができ、
私も祖母や母から受け継いだ着物に、今まで以上に愛おしい気持ちが芽生えてきました。
今回は貴重な学びをありがとうございました!
ライター / HARARI

祖母の代からの着物好きが高じて、20代の頃に着付けの師範資格を取得。
着物を着て京都の寺社仏閣へお出かけするのが楽しみ。
ライフスタイル誌やウェブメディアの編集&ライティング、着物通の著名人インタビューなども手がける。

大阪梅田店では毎月様々なイベントを開催!
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