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島田史子さん × 西川喜優先生 日本舞踊披露&トークショー 「和と粋の世界へ繋がる扉」

島田史子さん × 西川喜優先生 日本舞踊披露&トークショー 「和と粋の世界へ繋がる扉」

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着物で楽しむエリア最大級展示販売会「有頂天きもので舞い上がれ in 横浜」。お楽しみイベントとして、和粋伝承人・島田史子さんと、正派西川流・西川喜優先生のトークショーが開催されました。

九州エリアの方、お待たせしました!島田史子さん・西川喜優先生の登壇は6月10日(土)!

和の伝統に触れる特別な機会

日本の伝統文化や粋の心、いつまでも大切にしたい和のこころ…

「和と粋の世界へ繋がる扉」と冠された、実に華やかなトークショーの様子をお届けいたします。


レポータ- / 手弱女 安里(たおやめ あんり)

職人の手技に恋して十数年。洋の東西を問わず、逸品との出会いを求めて、気の向くまま、心のままに、美術館、展示会、劇場、工房等を訪問させていただいております。
着物美人を目指して日々、奮闘中。

手弱女 安里(たおやめ あんり)

西川喜優先生の優美な舞踊から

西川先生踊り

西川喜優先生の踊りのご披露からはじまったトークショー。

『端唄 さのさ』は芸妓さんがお座敷で踊る演目とのこと。喜優先生のお召しものも、演目に合わせた古典柄でのコーディネートです。

喜優先生の踊りがはじまった瞬間から……会場のみなが一様に、そのたおやかで優雅な世界にぐっと引き込まれました。

西川先生踊り

3歳から、お母様であり師である西川喜代枝先生より日本舞踊を習いはじめた喜優先生。13歳にて正派西川流四世家元より「西川喜優」の名を許され、師範名取となりました。

6歳より長唄を、また人間国宝・堅田喜三久氏のもとで邦楽囃子を学ばれ、その他にも地唄舞、お能(観世流)なども学んでいらっしゃいます。

西川先生踊り
西川先生踊り

雑誌『美しいキモノ』では5年間、着物モデルを務められたという喜優先生。

日本舞踊のエッセンスを詰め込んだ「艶(つや)しぐさ」の講座なども開催されておられ、とにもかくにも……お美しい!

美しい西川先生

和粋伝承人 島田史子さん ~人生の学校は歌舞伎座~

そしていよいよ……

スぺシャルゲスト、和粋伝承人・島田史子さんの登場です!

実は、喜優先生と史子さんは10年以上前からのお知り合い。仕事をご一緒するのは今回がはじめてとのことですが、リラックスした雰囲気でトークショーがスタートいたしました。

島田史子さん

まずは、島田史子さんのご紹介から。

歌舞伎役者9世・澤村宗十郎さんの番頭を23年間務め上げたあと、美容業界に転身なさった史子さん。

「私にとって、人生の学校は歌舞伎座でした」

その歌舞伎界に恩返しがしたい、学んだ「和」と「粋」の精神をみなさまにもお伝えし、日本の伝統文化や芸術に触れるきっかけを作りたい、みなさまとともに楽しんでいきたい――

そんな想いから、2010年東銀座に『まゆ月』を設立されました。

島田史子さん

『まゆ月』では和と粋の世界へ繋がる扉として『和遊粋美人塾』という活動と、エステサロン『銀座 まゆ月』を開設していらっしゃいます。

聞き慣れない”和粋伝承人”の由来については……

「歌舞伎の世界で学んだことをお伝えするにあたり、肩書きのようなものが必要だということになり、あれこれ考えてみました。その際、歌舞伎界の方に言われたのが”◯◯コーディネーター”のような横書きのネーミングはやめてね、ということ。

そこで、澤村宗十郎を最もよくあらわしている言葉「粋(いき、すい)」という漢字を用いて”和粋伝承人”とすることにいたしました」

質問コーナー

トークショーは、会場のお客様からの質問にお応えする形式で進行されました。

お二人の様子

暑い季節の着物の下着類について、何か対策をしていますか?

喜優先生「我々は踊るので、いつも暑いんです。夏は襦袢を夏用にし、肌襦袢は”化粧襦袢”と言われるものを選びます。袖がないので涼しいんです。あとは生地も、通気性のあるものを選びます」

史子さん「あまりしていないですが、襦袢は、奈良県で作られている蚊帳の素材の麻の肌襦袢を使います」

蚊帳の素材の麻の肌襦袢!気になりますね。

ここで当日のお召し物のコーディネートの話題に。

喜優先生の古典柄に対して史子さんは、石畳風の柄のお着物に光沢のある『西陣・まいづる』の帯合わせでモダンな印象。

お互いが引き立つように、と、昨日のうちに打ち合わせをなさったそうです。

島田史子さん

日本舞踊に学ぶ

たおやかな所作の基本は踊りにあり。

続いては喜優先生に、踊りの際の着付けや所作について教えていただきました。

西川先生

・扇子は使っても使わなくても常時挟んでいる
・帯は重なりをずらして幅広にし、ぐっと下げ落とす(衣装の場合は帯を斜めに結ぶことも)
・綺麗に見えるよう、着物の丈は長めに誂える(裾の痛みが早いのが難点)

真似できれば、ぐっとこなれた印象となりそうですね!

また、雨の日の着物でのお出かけの際、階段など段差のある場所で裾が汚れたらどうしよう……と途方に暮れた経験がある方、いらっしゃることと思います。

西川先生
西川先生

そんな時には……

「着物の裾を脇の方向にはさむように引き上げて、かがむと良いですよ」

と喜優先生。お能でよく見る動きです。膝を上手に使うことで、動きがよりエレガントになります。

そして、傘についた水滴を切る時の所作も教えていただきました。

西川先生

・傘は斜めに持つ
・膝を使う
・(上下に)チョンチョンと切る

いかなるシーンでも気を抜かない…それでいてしなやかに。和美人の秘訣ですね。

「きれいな所作は自分の姿勢に無理をさせ、身体への気配りがいかに巡っているのかで成り立っているのですよ」と喜優先生。

例えば振り返る時のしぐさでは、きれいに見えるように、倍反ってみせるそうです。

そして、美しい着姿の絶対条件とも言える「肩」と「肩甲骨」。そのポイントは、

・胸まわりが開き、肩が正しい位置にあること
・肩甲骨が閉じた状態でストンと落ちていること
・背中の真ん中を下げる意識を持つこと

まさに鍛錬の賜物……少しずつでも平時から見習いたいと、身が引き締まります。

着物を引き立てる肌とコスメ

美しい着姿を引き立てるもの、それは美しい肌と髪。着物の際のお化粧は、

①マットにする
②後から光を足す

と良いそう。また髪は額縁の役割を果たしますから、お気に入りの着物を纏う際にはぜひとも、ヘアスタイルまで意識を巡らせたいものです。

島田史子さん

歌舞伎界に精通している島田史子さんは、役者さんと、数々のコラボ商品を手掛けていらっしゃいます。

こちらは、松本幸四郎さんプロデュースの『擽紅(らくべに)』。

擽紅(らくべに)

これひとつで、アイメイク・チーク・リップのメイクができるという優れもの!

いつものメイクに加えるだけでも、ほんのりと色気を感じさせる艶やかな仕上がりになります。バックに忍ばせるにもちょうどよい大きさですね。

美しいポーズ ― 目の錯覚を使う  

優雅でたおやかな日本舞踊の動きには、実は「目の錯覚」がたくさん使われているそう。

例えば、手を挙げる所作。
洋服を着ている時の感覚で手を挙げると、どうしても肌が見えてしまいます。

西川先生

一方、円を描くように手を挙げると実際には高さはそれほど変わっていなくても、手が上がっているように見えるそうです!試してみたいですね。

最後に、素敵なポーズの作り方、なかでも「手先」の使い方についてお伺いしました。

西川先生

・襟を持つ
・帯を持つ
・袂(たもと)を見せる

花街の方がよくなさる袂を持つポーズ。美しく見えるのはもちろんですが、「手の内はお見せしませんよ」という意味もあるとか。

会場には、喜優先生のお弟子さんはじめ、たくさんの素敵な装いの方々がお越しでいらっしゃいました!

西川先生
お客様と
お客様と

島田史子さん、西川喜優先生、ありがとうございました!


西川喜優先生と島田史子さんのトークショー

西川喜優先生と島田史子さんのトークショー「和と粋の世界へ繋がる扉」はこの後、広島、博多でも開催されるそう!

和と粋を感じることのできるめったとない機会……

ぜひお近くの会場に足を運んでみてくださいね!

撮影/TADEAI 久野藍

九州エリアの方、お待たせしました!島田史子さん・西川喜優先生の登壇は6月10日(土)!

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