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秋の染織展 銀座店イベント 杉村織物に学ぶ 小機屋のコダワリ

秋の染織展 銀座店イベント 杉村織物に学ぶ 小機屋のコダワリ

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2019年9月20日~23日、京都きもの市場 銀座店では「秋の染織展」を開催。各種イベントを行いましたが、今回はその中から、京都西陣の老舗帯屋・杉村織物のこだわりを語る会の模様をお届けします。

天保七年(1836年)の創始より連綿と受け継がれ、「伝統は新しい創造から生まれる」という思いで、
「すくい織」「櫛織」などの手仕事にこだわったものづくりを続けている杉村織物。
今回は、永く受け継がれている、杉村さんの伝統技術について、学ばせていただきました。
レポーター/池田千恵里

趣味は書くこと!という着物愛好家。国内外において着物PRの経験を持つ。英国駐在時には着物でのお出掛けを常とし、自身の着姿をSNSやYouTube 等でも発信。また、ロンドンで着物ファッションショーを開催するなど、和装のPRに務めている。

秋の染織展と題して、これからの季節に相応しいお品が揃った銀座店。

織物としては、西陣で手機のすくいを中心に帯作りを続けてらっしゃる、「杉村織物」さんが紹介されていました。

杉村さんといえば洒落帯!

私にとっては、着物上級者がこなれた感じでさりげなく締める、謂わゆる “手仕事の良い帯” のつくり手さんというイメージです。

今回はその杉村織物さんから、谷岡浩幸さんが来店し、代名詞とも言える「すくい帯」についてや、手仕事の魅力について、語って下さるとのこと。

この日はコアな杉村さんファンも参加されるとあって、準備万端に整えてらっしゃいました。

お話しは、西陣織、小袖、お太鼓結びとは?からスタート。

続いて、現在の杉村は6代目である杉村昌哉さんとご両親の三人で営まれていて、お三人とも伝統工芸士として、それぞれに独創的な作品を生み出していると紹介。

そしてご本人についても。谷岡さんは織歴なんと50年!

昭和の大横綱、千代の富士の化粧まわしを織った経験もあるそうです。

長さが7mと長いうえに、横綱の場合は、太刀持ち役と露払い役の力士の分と、3本セットで織らないといけないため、毎日朝8時から夜の9時まで、ひたすら織っていたそうです。

織り終えてはまた次の注文が入りと、光栄ながら、大変だったそうですよ!

続いて「すくい織り」の説明。

「すくい織り」とは、経糸というキャンバスに、多様な素材(太い糸や細い糸、紬糸や金糸)の緯糸を用いて、多様な技法(櫛織、平織、つづれ織など)により織りあげた織物のこと。

織物の原点とも言え、作り手の感性が、緯糸によって表現される、芸術的価値の高い織物なのだそうです。

一本一本が独創性あふれる作品となるため、自ずと少量多品種になるそう。

帯好きにはたまらないですね!

お着物をお召しのこちらのお客様は、杉村さんの帯を締めてらっしゃいました。

お嫁入りした帯が里帰り!

こういう機会は嬉しいでしょうね!

因みに机上の帯は「西陣絣」という人気のシリーズで、売れるたびに色を変えて織り続けているそうです。

杉村さんの手機の写真や、杼(ひ)という緯糸を通す道具も見せていただきました。
そして緯糸に用いる様々な糸も、実際に手に取り、拝見させていただきましたよ!
太さも風合いも全く異なり、それぞれに個性的!

和紙糸

真綿糸

中国の大乗糸(野蚕)

インドネシアのアタカス(野蚕)

シルクモール糸(いわゆるビロード)

生糸

セリシンを除き、染色した生糸(セリシンというたんぱく質を取り除いてからでないと、糸は染まらないそうです)

お色や太さは勿論のこと、このような異素材を自由に組み合わせることで、豊かな表情を生み出してゆく!
織り手の個性が発揮されるというのも納得です。
こちらはカラフルなシルクモール糸を使ったもの。
独特の豊かな艶が目を惹きます。
こちらも櫛織地にシルクモール糸で描かれたもの。
京都府知事賞、日本染織意匠保護協会会長賞、西陣伝統産業協会会長賞の3部門を受賞している帯だそう!

手織ならではの味のある曲線と立体感が本当に素敵!
変わり種!
インドネシアのジャワバティックのアンティーク生地を織り込んだという帯!

アイデアは無限に広がりますね!

手機ならでは!

バイヤス織で締めやすく、縦縞柄で合わせやすい、九寸名古屋帯。

ニュアンスのある縦縞も。

パステルカラーがアクセントに!

せっかくですのでもう少し!
どれもこれも表情豊かで、手織の良さに満ち満ちていました。

とっても軽いのにもびっくり!

勉強不足が身に染みる今日この頃ですが、お陰様でまた知識を増やすことができました。

職人さんのディープなお話しに付いてゆくのが難しい私ですが、丁寧に根気強く教え下さって、有り難い限りでした。

さすが化粧廻しを何本も織られた谷岡さんですね!


思いは込もっていても軽い帯!

皆さん締めてみて下さい!

by 谷岡さん (*^^*)

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