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「本当に着たいキモノ」はここにある!Lady Chloaの魅力を大阪梅田店からレポート

「本当に着たいキモノ」はここにある!Lady Chloaの魅力を大阪梅田店からレポート

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現代的でハイセンスなデザインと伝統技術に裏打ちされた確かな品質により、多くの着物ファンを魅了し続けているブランド「Lady Chloa」。 先日大阪梅田店で開催された企画展にて、プロデューサーのTAKA NISHIKAWA氏にお話を伺いました。ブランドを貫くコンセプトや、試行錯誤の末に生まれたこだわりの商品の数々をご紹介します。

現代的でハイセンスなデザインと伝統技術に裏打ちされた確かな品質により、
多くの着物ファンを魅了し続けているブランド「Lady Chloa」。先日大阪梅田店で開催された企画展にて、プロデューサーのTAKA NISHIKAWA氏にお話を伺いました。
ブランドを貫くコンセプトやこだわりの商品をご紹介します。

「自分が着たいと思えるキモノがなかったんです。
だから、自分で作ろうと思って」

ブランドを立ち上げたきっかけを、Lady ChloaのプロデューサーであるTAKA NISHIKAWA氏はこのように語ります。

NISHIKAWA氏は、18歳の頃からモデルとして世界中を飛び回っておられました。
国際的な舞台でさまざまなハイブランドの衣装を着こなす中、「日本人の自分が本当に着たい着物とは何か?」と考える機会が増えていったそうです。
そのようにして20年ほど温めてきた「自分が着たい着物」のアイディアを、ついに実現したのがLady Chloaというブランドなのだとか。

実際、取材時のNISHIKAWA氏のお召し物は本当に素敵で、お会いして早々に「それ、どこで手に入りますか?」と訊いてしまうほど。
もちろん、Lady Chloaのお品物です。

展示会場にNISHIKAWA氏の羽織と同じ反物があったので、近くで見せていただきました。
クロコダイル柄の紋紗です。
この絶妙なニュアンスは、職人の方との度重なる試行錯誤の末にできあがったものだそうです。
ところどころに糸の「たまり」をつくることで、趣のある表情をつくり出しているとのことでした。
上の3つの反物は、実はすべて同じ紋紗のデザイン違いです。
同じ織り方でもかなり印象が異なりますね。
Lady Chloaといえば、その現代的で素敵なデザインに目が行きがちですが、
今回の取材でとりわけ印象的だったのは、「着やすさへのこだわり」です。
着物には伝統的に「女性を守るシンボル」が多く取り入れられていますが、Lady Chloaでは、その伝統をさらに発展させて、
「シンボルだけではなく機能性の面でも女性を守る」という考えのもと、新たな商品開発に取り組んでおられます。

たとえばこちらの帯にも、機能性へのこだわりがたくさん詰め込まれています。
まず、帯を持ち上げてみると、その軽さにびっくりします!

こちらの帯は、従来であれば夏向きとされる素材でつくられています。
ただし、その夏向きの布を表裏の両面ともに用いているのがこの帯のポイント。
2枚重ねにすることで、重量や厚みを減らしつつも透け感を減らすことに成功しているのです。

裏面にはクロコダイル柄があしらわれています。
軽くて締めやすいばかりでなく、一年中使えるのも嬉しいところ。
素材の工夫によって生み出された絶妙な質感のおかげで、春夏には涼しく、そして秋冬に巻いても寒々しくならずに済むのです。
さらに、表裏に同じ織り方の布を使うことで帯の伸び率が両面同じになり、途中で帯がゆるむのを防ぐ効果もあるのだとか。

すごいのは素材だけではありません。
デザイン面においても「年中使えること」が意識されています。
例えばこの帯の表面なら、菊をモチーフにしつつも花火のようにも見えるよう、工夫した描き方がなされているのです。

近年、世界中のハイブランドで「機能性」がトレンドになっています。
その流れをいち早く取り入れているところは、さすが元モデル。
常にアンテナを張っていらっしゃると感じました。
機能性つながりでご紹介したいのが、こちらのストール。
なんと「夜道で光る機能」がついています!

白い馬の部分が、ライトに反射して光るそうです。
言われなければ気づかない、さりげない機能性が素敵ですね。

Lady Chloaには、馬のモチーフがよく描かれます。
これは、女性を守る「騎士」のモチーフなのだとか。
見えないところでさりげなく持ち主を守りたい、そんな願いが込められているとのことでした。

Lady Chloaでは、「動き」を計算に入れたデザインも積極的に取り入れているそうです。
例えばこちらは、お茶の葉がモチーフなのですが、よく見ると……
ふちどりがあるところと、ないところがあります。

こちらは、NISHIKAWA氏がかつてお茶畑を訪れた際に見た、印象的な光景を再現しているそうです。
お茶の葉がトタン屋根に干してあるところに太陽の光が降り注ぎ、木漏れ日のような光が差し込んでくるーーその柔らかな立体感を再現するために、
ふちどりの有無を使い分けているということでした。

この細やかな工夫は、実際に着物を着て動いたときにより効果を表すそうで、柔和な光沢が体のラインをより美しく見せてくれるとのことでした。

また、立ったり座ったりしてもシワがつきにくい素材を採用されているそう。
ここにも機能性へのこだわりが垣間見えます。
春に向けて、こんなコーディネートも素敵ですね。
帯は、先ほどご紹介したもののお色違いです。
たんぽぽのようにも見えるデザインです。
こちらのコーディネートで、たいへんかわいらしいアクセントになっていた帯締め。
会場には、他にもさまざまなお色違いが揃っていました。
近くで見せていただくと、さらに心奪われてしまいました。
どのお色にも、なんともハッピーになれそうな可愛らしいモチーフがついているのです。
鮮やかな色合いのリバーシブル組紐は、京都の老舗「渡敬」製。
その先についたモチーフも全てハンドメイドで、それらを結びつける金具に至るまで厳選されたものを使用しているのだそうです。

シーズンごとに新たなモチーフがリリースされ、紐の色合いも毎回変わるので、同じものを手に入れるのは難しいとのことでした。
コレクター精神をくすぐられるこの帯紐、実際に、何本もコレクションしている方が大勢いらっしゃるそうです。
先ほどのお茶の葉と同様に、NISHIKAWA氏の観察眼が活かされているのがこちらの帯。
ヨーロッパの教会で見たステンドグラスが描かれています。

円の中、中央にある柱状の部分にご注目ください。
立体感を出すための白い部分が、まっすぐでなく微妙に角度をつけて織りこまれているのがお分かりでしょうか。

これは、何度も試作を重ねた結果生まれた表現方法だとか。
まるで絵画のような効果が、織りの技術で見事に実現されていることに感服です。

ここまで見てきたように、Lady Chloaが提案する「新しいキモノ」は、TAKA NISHIKAWA氏のハイセンスなデザインと、
それを実現する職人の技術とが融合して生まれています。

今までにないものをつくるにあたって、職人の方々に理解を得るのは大変だったのではないですか?
そう尋ねると、NISHIKAWA氏はこんなエピソードを語ってくれました。

「はじめの頃、『着物って、縦糸と横糸からできてるんやで。わかっとるか?』って言われたことがあります。
5回くらい言われたかな(笑)
実はブランドを始める直前まで、着物が一枚の反物からできていることすら知らなかったんですよ」

これは一見笑い話のようで、その実、Lady Chloaの魅力をわかりやすくあらわしているエピソードではないでしょうか。
NISHIKAWA氏が着物界における既存の常識にとらわれず、常に理想の完成形を追い求めてきたこと、そして、職人の方々がその新しさを理解し、理想を実現するために技術をさらにアップデートさせてきたこと、その両方がよく伝わってくるからです。

伝統と革新の融合。
これからの時代に求められる理想のチームワークが、Lady Chloaというブランドにおいて実現されていると感じました。

さて、このようなLady Chloaのお着物ですが、プロデューサーとして「こんな人に、こんなシチュエーションで纏ってほしい」という理想はありますか?
と尋ねてみたところ、次のような素敵なお答えが返ってきました。

「新しい自分を切り拓くきっかけとして、Lady Chloaのキモノを使ってもらえたら嬉しいですね。
だから、普段あまり着ないような色や柄にもチャレンジしてほしい。
『私ってこんな色も似合うんだ』という経験が、『私ってこんなこともできるんだ』という自信につながっていくと思うんです。
『変身アイテム』のような立ち位置で、お客様を応援できたらいいなと考えています」

今回の取材を通して、Lady Chloaというブランドをますます魅力的に感じました。
取材のあと、私もいくつか試着させていただいたのですが、NISHIKAWA氏の言葉通り、まったく新たな自分を見つけることができました。

ぜひ皆様も、実際に商品をご覧になり、できればご試着もたくさんしてみてください。
伝統的な衣装である着物を通じて、たくさんの方が、ご自分の新たな一面を発見されることを願っています。

レポーター / 瀬良万葉

関西在住のフリーライター。
着物を着ることも、街ゆく人々の着物姿を見ることも大好き。
海外留学中に着物生活をしたことがきっかけで「ふだん着物」に目覚めた。
伝統的な装い方だけでなく新しい着こなしにも興味があり、最近では好みの洋服地でみずから着物を仕立て、さまざまなコーディネートを楽しんでいる。

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