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世界遺産の西本願寺で宮川町・とし夏菜さんのスペシャルな撮影会に密着! 「令和の芸舞妓図鑑」特別編

世界遺産の西本願寺で宮川町・とし夏菜さんのスペシャルな撮影会に密着! 「令和の芸舞妓図鑑」特別編

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京都・五花街の芸舞妓さんたちの写真を撮ることをライフワークとする小見直人さんによる特別な撮影会が行われました。モデルは「令和の芸舞妓図鑑」vol.1を彩った宮川町の芸妓、とし夏菜さん。2024年新春に相応しい「令和の芸舞妓図鑑」特別編として、最高のロケーションでの撮影風景と、おふたりの対談をお届けします。

よみもの

「令和の芸舞妓図鑑」

究極のロケーションで最高の一枚を

書院廊下の撮影風景

秋晴れの某日。

シンボルの大銀杏が見事に黄葉する西本願寺で、小見さんは愛機であるSONYのα7Ⅲを手に、とし夏菜さんと対峙していました。

2023.09.15

よみもの

花街イチのカメラ上手! 宮川町・とし夏菜さん 「令和の芸舞妓図鑑」vol.1

その場所は、国宝(通常非公開)である書院『飛雲閣』の庭園

書院廊下の撮影風景

豪壮華麗な書院造様式の代表格として知られる西本願寺の書院は、天井から床まで隙のない絢爛さを誇ります。

書院での撮影風景

煌びやかな空間にとし夏菜さんが立つだけで恐ろしく画になってしまうため、レンズ越しにその風景を見た小見さんが、

「このロケーションで(上手に)撮れなかったら、趣味でもカメラなんて辞めたらいいですよね!」

と笑ったほど。

撮影:小見直人

撮影:小見直人

黒髪を舞うとし夏菜さん

荘厳な襖絵や天井画が迫力ある『鴻の間』にて 撮影:小見直人

黒髪を舞うとし夏菜さん

「せっかくの黒紋付。国宝の空間に相応しいポーズを」と、衿替前の限られた期間だけ座敷で舞うことができる『黒髪』をお願いした小見さん。この曲は十回忌や大きな祝いの場でも披露される演目で、2023年祇園甲部歌舞練場の杮落し公演でも舞われました 撮影:小見直人

この日のとし夏菜さんの衣装は、宝尽くしの黒留袖に亀甲柄の帯を合わせた正装

「自分の(黒留袖を)出すのは久しぶりで、着付けするときに時間がかかりました」と、こっそり教えてくれました。

着姿

撮影:小見直人

着姿

撮影:小見直人

とし夏菜さん

撮影:小見直人

とし夏菜さん

撮影:小見直人

ひと言、ふた言。端的な指示を出すだけで、あとはひたすらシャッターを切る音だけが廊下に響きます。

場の力に背中を押されるように、撮影は順調に進んでいきます。

とし夏菜さん

撮影:小見直人

2023.11.15

よみもの

動物を愛し、芸に邁進 先斗町・あや野さん「令和の芸舞妓図鑑」vol.3

庭の前での夏菜さんが小見さんを撮る様子

宮川町のSNS担当として知られるとし夏菜さんが庭園をバックに小見さんを撮るお楽しみタイム。「もう少し背筋伸ばしてもらえます?」と言われた小見さんが慌てて姿勢を正す一幕も

自他共に認める“夏菜推しごと”

※推しごと……「推し」と「仕事」からくる造語。推しへの応援活動が仕事同然で、生きていくために必要不可欠なもの、の意

西本願寺での撮影を終えた後は、京都きもの市場 京都店に場所を移し、仲の良さが伝わるトークが繰り広げられました。

舞妓として、バーのソムリエとして、同じタイミングで花街デビューを果たしたふたり。話は、出会いのときまで遡ります。

トーク風景

小見さん:同期ですよね(笑)

夏菜さん:そうどすね(笑)

小見さん:最初に会ったときのこと覚えてます?

夏菜さん:ん~?

小見さん:覚えてないんですね(笑) 僕が「祖母に見せるのでお写真撮らせてください!」ってガラケーで撮影させてもらったんですよ。

夏菜さん:あぁ、お写真は撮らはったような……すんまへん、覚えてなくて(笑)

とし夏菜さん

小見さん:あれからずっと僕は夏菜さんのファンです。夏菜さん、夏菜さんって10年くらい言い続けてたら、いまやすっかり町公認の“とし夏菜贔屓”になりました(笑)

バイトちゃんにも「”いい夏菜さん”ありますよ」って写真を見せられるくらいネタとして有名になってます。そのおかげか、夏菜さんとも仲良くさせてもらって、カメラを始めたときも、こんないい被写体がいるじゃないか!と、ちゃんと花代をつけて撮らせてもらいました。

夏菜さん:オタク気質ですよね。ワインオタクでカメラオタク(笑)ハマらはったらドーン!

小見さん:たしかに。でも、最初に夏菜さんを撮らせてもらって、いっぱいダメ出しされたから(笑)ここまで続けてこられたと思いますよ。

一同:(笑)

強靭な意志と覚悟で飛び込んだ芸の世界

とし夏菜さん

もともと、「日本人特有の口腹別子(くちはらべつこ)な性質が苦手どした」と苦笑するとし夏菜さん。

※口腹別子……1978~89年までラジオ大阪で放送された深夜番組「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」から生まれたプライベートスラングのひとつで、「口で言ってることと本音が異なる人」を指す

興味の鉾先は海外に向けられ、幼少期から熱中したフルートで高校へ進学し、在学中にはオーストラリアへの短期留学を果たします。

そこでホストマザーから言われた「自分の国をよく知って、もっと愛国心を持ちなさい」という言葉。

それが頭の片隅に残っていたときに、日本語教室に掲示されていた芸舞妓のポスターが目に留まります。それを見て「真の日本人(=舞妓)になろう!」と決意したというから、小見さんが「異色の経歴」と評するのも納得です。

2023.01.30

よみもの

是枝裕和監督が描く花街の文化 Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』〈前編〉

とし夏菜さんヨリ

「両親に言うたら『蝶々夫人になりたいのか!』と大反対されました。説得に一年かかって、ついには勝手に調べた問い合わせ先に連絡して、面接してもらって、一週間後には京都へ来てました(笑) 

縁あってうちを引き受けてくれることになる屋形(やかた)のお母さんが『あんたの親は説得したげる』って言うてくれはって、『世界一の笛吹きにさせます!』って両親に約束してくれたことは、一生忘れしまへん

仕込みになったら、ふつうは舞から習うんどすけど、うちは笛からお稽古させてもらいました

2023.02.27

インタビュー

小紋屋主人と現役芸妓も納得! Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』〈後編〉

とし夏菜さん

「これまでたくさん周りの人たちから大切な言葉をもらいました。

お母さんからは『出る杭は打たれるから出過ぎなさい。そしたら打たれへんようになる』って言うてもらったり、舞妓時代に先代(12代目)の團十郎お父さまのお座敷でフルートを吹かせてもろたときには、『認めてもらえる日が来るから、それまで辞めないでくれ』とエールをもらったり

あのときのおかげですって言えないまま、亡くならはったのは悔しおす」

とし夏菜さん

「これまで辞めたいと思ったこともあります。その話をしたときに、実家の母から『あんたが決めた道やろ。私は関係ない』って言われたんどす。その言葉を聞いて、絶対に辞められへんって思いました。そう考えると、いまの自分があるのは、これまで出会ったたくさんの人たちのおかげどす」

とし夏菜さん

2023.10.15

よみもの

初秋の光雲寺から、初夏の水族館まで 祇園甲部・亜佐子さん 「令和の芸舞妓図鑑」vol.2

妹たちの成長を見守る姉心とその人柄

いまや芸妓として妹たち(舞妓)を導いていく役割も担うとし夏菜さん。稽古に励む彼女たちに対しての想いも、並々ならぬものがありました。

「自分自身の経験から、娘さんを屋形に預けてくださる親御さんには『帰りたいと泣き言を言ったときに帰っておいでと言ったら諦めることを覚えてしまうので、それだけは止めてください』ってお伝えするようにしています。やりたいって言うたことは、頑張ってやり遂げてほしい。そのためやったら、頭を下げるのは苦でも何でもありません」

そう話すとし夏菜さんの瞳は、一段と輝いて見えました。

とし夏菜さん

平和が一番どす。笑顔で幸せなのが何より。出来るかぎり、無駄なことは省いてあげたい」と、にっこり。

そんな彼女の在り方に対して、小見さんは「今日『はじめまして』でも、丁寧に分け隔てなく優しく接することができる人。誰にでもそうあろうとしてくれるから、みんなに慕われているんだと思います」と絶賛。

夏菜さんへのサプライズ

実は対談後、誕生日が近いとし夏菜さんへのサプライズが行われました。ケーキとプレゼントをもらってご満悦のとし夏菜さん。

「夏菜さんは、誰もが知るスヌーピー好き。他の人と被らないようにリサーチして、奮発しました(笑)」

と、祝われる当人よりもうれしそうな顔で笑う小見さんの様子を見ていた撮影クルーは、心の中で「これぞ推し活!」と微笑ましい気持ちになったのでした。

ご満悦のとし夏菜さん

バカラのスヌーピーをセレクトした小見さん

ご満悦のとし夏菜さん

きものと編集部からはクリスマス柄の帯揚げを

撮影/スタジオヒサフジ

2023.01.30

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2023.02.27

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