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茶道のお稽古・お茶席で着る着物セレクト!選び方の3つのポイント

茶道のお稽古・お茶席で着る着物セレクト!選び方の3つのポイント

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着物を着るようになったきっかけとして多くの人が挙げるもののひとつが、茶道などの和のお稽古です。また、着物を好きになり、着る機会を増やすために習い事としてはじめる人も多いようです。そんな茶道の場面における着物の選び方について、3つのポイントをご紹介します。茶道の場面で着用する着物の種類別に着こなしや注意点についても解説していきます。

着物を着るようになったきっかけとして多くの人が挙げるもののひとつが「和のお稽古」。
また、先に着物を好きになり、着る機会を増やすためにはじめる人も多いようです。
そんな「和のお稽古」における着物の選び方について、代表的な「茶道」における具体例から、どのようなポイントがあるのかをみてみましょう。

茶道の着物の選び方と種類

数ある和のお稽古の中でも、着物を着るお稽古ごととして最も代表的なのが茶道ではないでしょうか。茶道での着物の選び方を知っておくと、他のシーンでも、その場にふさわしい着物を選びやすくなります。

茶道での着物は、お茶事・お茶会等の「お茶席の着物」と「普段のお稽古」の着物に分けられます。どちらの場合でも「染めの着物」を基本に考えます。染めの着物は「やわらかもの・たれもの」と呼ばれるとおりしなやかに身体に沿いその動きが美しいためですが、「織りの着物」はハリがあるため所作が美しく見えづらかったり、袖で道具を倒してしまったりということがあります。しかし時には、侘びを旨とする茶道の空間に自然な布の風合いを感じられる織りの着物も似合うため、茶席の趣向から織りの着物でも差し支えないと判断できる場合は着用しても良いでしょう。また普段のお稽古であれば、織りの着物でも良いとされる先生が多いようです。
では実際に茶道のお稽古やお茶会で着用する着物はどのようなものが良いのでしょうか?
着物の種類ごとに、マナーや注意点をご紹介します。

①色無地

お茶席での着物として最も着用の機会があり、まず一枚用意すると良いのは「一つ紋付きの色無地」です。紋を、最も格の高い「染抜き日向紋」とすると、お茶事から気軽なお茶席まで幅広く着用することができます。亭主側は格の高い帯であらたまった雰囲気に、おめでたい席には金糸銀糸を用いた帯や吉祥文様の帯で祝福の気持ちをあらわして、献茶式等厳かな場面では落ち着いた雰囲気の帯で控えめに、一般の方も出入りするお呈茶等では季節の染帯で軽やかに…と、帯の格や文様で様々に装うことができます。

一色の色のみで全身を包む色無地ですから、色は顔写りの良いものを選びたいものです。

地紋は、極端に大柄だったり浮き立ってしまったりするものを避けた方が、お茶席には品良く馴染みます。
地紋のない縮緬地のものも絹そのものの美しさが引き立ちます。

もしも何枚か持つのであれば、寒い時期はしぼ高のもの、暖かい時期にはさらりとした質感のものを選ぶなど、着物の生地だけでも季節感を演出できます。

②江戸小紋

なお、江戸小紋のうち「三役」と呼ばれる「鮫・行儀・角通し」で、遠目に無地に見えるような細かなものについては、色無地に準じるものとして着用できると言われています。
その他の江戸小紋では「霰・万筋・菊菱」等も、紋を入れて着用することができます。

③訪問着・付け下げ

茶道を嗜む中で着用の機会が次に多いのは「訪問着」や「付下げ」です。
柄付けがたっぷりと華やかな雰囲気の訪問着は、初釜の他、ホテル等大きな会場や晴れやかな趣向のお茶席に華やぎを添えることができます。

大寄せの茶会、社中だけの気軽な茶会等では、小紋も着用することができます。
この場合、普段のお稽古とは異なるよそ行き感のあるものが好まれます。

④色留袖・振袖

「色留袖」や「振袖」も、お茶席で着用することがあります。
しかし、色留袖については、お家元での初釜等かなり格式の高い場面がふさわしく、多くの方にはむしろあまり着用の機会がないといえるでしょう。
振袖は、初釜等のおめでたい席や、立礼のお茶席を華やかに演出したい際に、とても良いものです。
袖や帯結びがどうしても場所をとってしまうため、茶席の広さと集まる人数等を考えて先生に相談し、良いお返事があれば是非着用してください。

⑤小紋

普段の茶道のお稽古は、先生が良いとされる着物であれば、何でも着用することができます。
定番といえるのは「小紋」と「織の名古屋帯」です。
小紋は、極端にくだけたものや色遣いの強すぎるものを避けると良いでしょう。
特に使い勝手が良いのは「飛び柄の小紋」です。様々な帯との帯合わせを楽しむことができます。
格の高いお点前の日は格が高めの名古屋帯を合わせる等、お稽古の内容から装いを考えるのも、楽しくまた勉強になるものです。

⑥浴衣

夏場の浴衣については、元はあくまで湯上がり着。
本来は茶室に相応しくないことを心に留めたうえで、先生が許すのであれば、着用しても良いでしょう。
その場合でも、白足袋は必需品です。
綿コーマ地や白地のいかにも浴衣らしいものよりは、綿紅梅や絹紅梅等の上質な記事で品良く見える柄のものがおすすめです。

茶道の席での帯合わせと小物選びのポイントは?

帯合わせについては着物との調和が大切ですが、茶道での帯選びで覚えておきたいこととして、初釜やお祝いの席を除くと「金銀糸をあまり多く使っていないもの」が好まれる傾向があります。そのため、絹糸を中心にふっくらと織り上げた「唐織(からおり)」の帯は、特にお茶席でも好まれます。
また、小物選びにも注意が必要です。
茶道での装いは、どのシーンでも半襟と足袋は清廉さをあらわす真っ白なものとし、お道具を傷つけるおそれのある簪(かんざし)・帯留めは身に付けません。

茶道以外の着物選び

華道や香道も茶道と並ぶ和のお稽古の代表です。
茶道と比べると着物を着る機会は多くないようですが、着物選びのポイントをしっかり押さえておけば、場にふさわしい着物の装いができます。

華道の着物選び

華道では「良い作品に活け上げること」が目的であり、所作が主役ではないことから、着物を着る機会はそれほど多くないようです。
また水や花材で服を濡らしたり汚したりすることもある上に、大きな作品では動きやすさも求められるため、着慣れない方が着物を着てやることではない、という面もあります。

そんな華道でも、やはり行事の際の着物姿は良いものです。
花展の受付やパーティ・お免状授与式等の場面では、その華やかな場に彩りを添えることのできる着物姿が喜ばれます。
「紋付きの色無地・訪問着・付下げ」等がふさわしいでしょう。
作品を邪魔しない、強すぎない色合いの着物が好まれます。
花材と着物の重なりが気になるのであれば、色無地か、草花ではない柄の訪問着、付下げを持っておくと便利です。
逆に、花展等の趣向に合った色柄の着物があれば、それもまたお洒落で良いと考える先生もいらっしゃいます。

普段のお稽古や行事の活け込みの日は、水や汚れが気にならない格好で。
割烹着や前掛け、茶道の水屋着の他、たすきで袖をまとめるだけでも動きやすさが異なります。
着物自体も、大島等水に強いものや、洗える着物、ガード加工を施した着物を候補にしても良いでしょう。

香道の着物選び

茶道、華道と比べると身近ではない印象があるものの、雅な世界が広がり、和歌や物語等の深い教養を身につけることができる「香道」。
茶道に次いで着物が似合う和のお稽古といえるでしょう。

香道での着物の選び方は、おおむね茶道と同様に考えることができます。
ただ、茶道が武家から始まり、明治に入るまで男性の世界であったの対し、香道は公家文化から起こっており、江戸時代には既に女性にも広まっていた等の歴史の違いのせいでしょうか、茶道以上に華やかめ、京風、関西寄りの装いがしっくりくる、という声が聞かれます。
具体的には、着物の色選びは「澄んだ綺麗な色合い」、文様は「古典文様」、帯の織りも「公家装束に由来する二陪織物や格の高い唐織り・綴れ織」等が使いやすいでしょう。

香道で絶対に気を付けなくてはならないのは、お香を邪魔しないように、香りのついていない着物を身につけること。
香席やお稽古で着用する着物には、匂い袋は使わないようにし、虫除けも香りのないものを選びます。

まとめ ~着物選びで気を付けるべきポイント3つ~

(1) 一般論よりも社中の調和を大切に

これまで述べてきたことはあくまで一般論。
異なる考えの先生もいらっしゃり、一般論より厳しいことも、緩やかなこともあります。
また行事によっては、みなで服装の方針を立てることもあります。
一番に大切にすべきことは、先生の考えや社中の方との調和、その時その場との調和です。
特に、自分がもてなす側の立場の場合は、どのような装いがふさわしいか先生や先輩に確認しましょう。

(2) お稽古に集中する

着物の選び方のポイントでもあり、着てからのポイントでもありますが、あくまでお稽古が主役。
着物を気にしてお稽古そのものに集中できないのは本末転倒ですし、そのような所作は美しいものではありません。
動きやすい寸法の合った着物を選ぶ、水を使うのであれば割烹着や水屋着を用意する、汚れが目立たない色柄や洗える着物を選ぶ、必要に応じてガード加工をかけておく等、自分が集中できる着物を選び、必要なものを用意し、お稽古に集中することが大切です。(着物は多少汚したりしてしまっても、専門のお店に持って行けばどうにかなることも多いものです。前もって近くのお店を頭に入れておき、安心しておくのも一つの方法です。)

(3) 若々しさ・かわいらしさを大切に

和のお稽古の先生方のご意見を聞いていると、生徒さんに対して、もっと明るい色や可愛らしい柄の着物を着れば良いのに、と感じている先生が多いようです。
これは、洋服の感覚の延長で着物の装いを選びがちであることに原因があるようです。
また明るい色柄に気恥ずかしさを感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。
そんなに方には、帯や帯揚げ・帯締めだけでも意識して若々しいものを選ぶのがおすすめです。
「若い」は20~30代には限りません。
茶道・華道・香道では「青年部」という名の組織が50歳くらいまでのことが多いことからも分かるように、多くの方は自分で思っている以上に、先生方、先輩方から「若い方」と思われています。
また年齢にかかわらず、お稽古をつけていただくという立場を考えると、先生よりもかわいらしい(かわいげのある)装いというのは好ましいものです。
日本人の豊かな感性に育まれてきた色使いや文様の優しさ、かわいらしさ、これらは着物選びの醍醐味。これらを身にまとうことも含めて、和のお稽古を楽しんでください。

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