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あなたの家紋、知っていますか? 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.38

あなたの家紋、知っていますか? 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.38

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自分で自由に選べず、生まれながらに決まっているのが家紋……と思っていたのですが、最近では、「私紋(わたくしもん)」と呼んで、自分で好きな家紋を選ぶ人も増えているようです。

せっかくだもの、裾模様のきものでお出かけ 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.14

大勢が集まる華やかなパーティーやイべントは難しくとも、小規模のイべントや個人的な外出は歓迎されるムードになっています。せっかくだもの、という気持ちをもっと大きくしてみませんか。そう、裾模様のきものの出番です!

知らない家紋がいっぱい

あなたの家紋、知っていますか?

中世ヨーロッパには「紋章」というものがあって、王冠や植物、動物などの図案と幾何学模様を組み合わせたデザインが特徴です。見る人が見れば、その血筋や、どの辺に暮らした一族かまでわかるらしいですよ。

同じように日本にも「家紋」があります。とはいえこちらはヨーロッパの紋章ほど細かく設定されておらず、あちこちに同じ家紋の人がいます。自分で自由に選べず、生まれながらに決まっているのが家紋……と思っていたのですが、最近では、「私紋(わたくしもん)」と呼んで、自分で好きな家紋を選ぶ人も増えているようです。

きもの友達のMさんは自分の家の家紋を知らず、実家に聞いてもわからなかったのだとか。それなら自分で家紋を決めよう!とたくさん描かれた紋帳の中から吟味してひとつを選びました。桜という文字が名前に入っている知人は桜の家紋にしていますし、憧れの歌舞伎役者にちなんだ家紋できものを誂えた人も知っています。

実は最近、絽の色無地を誂えたのですが、入れた紋は「蔦」。これはわたしの実家の家紋です。嫁ぎ先の家紋は「丸に違い鷹の羽」なのですが、実家の紋のほうがなんとなくたおやかで好きなんですよね。まぁ実家に住んでいるということもあるし、嫁ぎ先からこれで紋付を作りなさいと頂いているものもないし、まぁいいか、という感じ。

それにわたしが住んでいる地方では「女紋」と言って実家の紋を使う風習があるのです。もしも姑や舅から「家紋がうちのと違うぞ」なんて言われたら、「嫁ぐ前に誂えた」もしくは「女紋の風習」で乗り切ろうと思っています。まぁそんなこと言うような義父母じゃないですけどね。

よほどのお家柄で家紋にうるさい親戚でもいれば別ですが、そうでなければあまり気にしなくてもいいように思います。リサイクルの色無地を着て茶会に出た人が「あら、あなたのおうちの家紋、それだった?」と聞かれたそうですが「ええ、女紋と言って、母の実家の家紋なんですよ、と言ったら納得していたわ。別のきものはまた別の家紋なんだけどね」と茶目っ気たっぷりに微笑んでいました。

あるやんごとなき一族のお嬢様が嫁ぐにあたり、手持ちのきものというきものに入った紋をすべて色抜きして嫁ぎ先の家紋に描き変えた、という家紋職人さんの話を聞いたことがあります。

家紋を単なるマークとせず、本来の意味で正しく使う生き方も素敵。また、家紋に深い意味を持たせず、堂々と私紋と言える時代もまた、身軽で良いもののように思います。

京都きもの市場 大島紬VS結城紬

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