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お手軽に体験可能な「草木染め」とは?自宅で出来るおすすめ方法

お手軽に体験可能な「草木染め」とは?自宅で出来るおすすめ方法

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大自然の恵みを色彩として楽しむことができる「草木染め」。染色方法のひとつである草木染めは、実は自宅でも行うことができます。草木染めの魅力からその染色方法についてご紹介いたします。

お手軽に体験可能な「草木染め」とは?自宅で出来るおすすめ方法

草木染めとは

みなさまは「草木染め」についてご存じでしょうか。

草木染めは染色方法のひとつで、実は自宅でも行うことができます。

今回は、草木染めの魅力や染色方法についてご紹介いたします。

2020.03.17

まなぶ

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草木染めとは?

草木染めとは、植物や野菜、果実などを原料とした染色方法のこと。その歴史はどのようなものなのでしょうか。

草木染めの歴史は紀元前3000年!?

草木染めの歴史は紀元前3000年

草木染めの起源は古く、原始的な手法での染色は中国では紀元前3000年頃、ヨーロッパやインドでは紀元前2500年頃から行われていたと言われております。

日本では、縄文時代(紀元前1400年頃)から植物や貝紫などで染色が行われてきたとされ、飛鳥時代に入ると、中国や朝鮮の染色技術が入ってきたことにより急激に染色技法が発達します。

その後、明治時代に化学染料が輸入されたことで草木染めの文化は廃れ、植物染料による染色は減少しました。しかし、第一次世界大戦により化学染料の輸入が途絶えたことをきっかけとして、再度植物染料の評価が国内で上がります。

昭和時代に入ると、民藝運動(※1)の高まりとともに、植物染料などが日本各地で行われるようになりました。そして徐々に草木染めの評価が上がり、現在では環境に配慮した染色技法として関心を集めています。

※1…民藝運動とは日常的な暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に「用の美」を見出し、活用する日本独自の運動。

出典:草木染めとは?|ののはな草木染アカデミー

草木染め名前の由来

草木染め名前の由来

「草木染め」は呼称であり、昭和5年(1930年)に作家で染織家の山崎 斌(やまざきあきら)氏が化学染料による染色と区別するために命名したとされ、実際の正式名称は、「天然染料染色法」です。
草木染めは、時代が経つにつれて様々な植物での染色方法が確立され、日々進化を続けています。

出典:草木染めとは?|ののはな草木染アカデミー

草木染めの魅力

歴史ある草木染めには、他の染色技法とは異なる魅力があります。ここからは、草木染めの魅力についてみてみましょう。

草木染めは環境に優しい染色方法

草木染めは環境に優しい染色方法

草木染めの最大の魅力は、環境に優しい染色方法という点です。

現在、多くの衣服は化学染料で染められており、これらが世界中で普及をしている理由としては大きく3つの点が考えられます。

「簡単かつ効率的に扱える」
「安定して同じ色に染め上がる」
「長期保存が可能」

大量生産・大量消費の時代である現代にとって、化学染料が持つこれらの点は魅力的でありかつ大きな利益に繋がるものです。

ただし便利な反面、化学染料は人体と地球環境に悪影響も与えています。

化学染料は適切な処理で廃棄をすれば悪影響はありませんが、地球環境への配慮が欠けている企業などが、化学染料として使用した化学物質を河川に放流していることなどが環境問題となる事例が出てきています。

対して、植物染料を使った草木染めは、人と地球環境に優しい染色方法です。

そんな植物染料で染色された衣服は「エシカルファッション」として世界中で注目をされています。

エシカルファッションとは直訳すると「倫理的・道徳的なファッション」を意味し、人と地球環境に配慮して作られたファッションのこと。ぜひみなさまも、植物染料である草木染めのものを選択して、人体や地球環境に優しい社会を目指してみませんか。

草木染めの特徴とは

草木染めとは

着物には、大きく分けて「染めの着物」と「織りの着物」があります。

「織りの着物」は、糸を染色してから織り上げて生地にしたもので、主として紬(つむぎ)着物を指し、真綿(まわた)から紡がれる紬糸で織られます。普段着として着られることが多く、友人との軽いお食事やショッピングなどカジュアルなおでかけの時に着る着物というのが一般的です。

対して「染めの着物」は、白生地に後から色柄を染めた着物のことを指し、振袖や訪問着などはこれらに分類され、フォーマルな場面にも適したものが多くあります。

着物における草木染めは主に糸染め段階でなされることが多く、紬着物として織り上げられた草木染めの着物は、カジュアルシーンでの着用に適しています。

おすすめの草木染めの方法

「家で染め物をするなんて難しい」とお考えの方も多いかと思います。しかし、草木染めは思ったより気軽にトライしてみることができます。

今回は、自宅でもできる草木染めの方法についてご紹介します。ぜひお時間がある時に、自宅で草木染めにトライされてはいかがでしょうか。

草木染の方法

草木染の方法

まず準備しなければならないのは、染めるための植物です。

草木染めで使用できる身近な植物では、玉ねぎの皮があります。普段だったら処分してしまう玉ねぎの皮を活用できるため、エコにも繋がりますね。他にも、草木染めでおすすめの植物について後にご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

染めるための植物が準備できたら次は、染める布を準備しましょう。

準備する染める布の繊維には、化学繊維と天然繊維の2種類があります。天然繊維の方が染まりやすいため、草木染めをする際には天然繊維のものがおすすめです。

それでは、天然繊維の布を使用した染色方法をご紹介いたします。

まずは、牛乳(または豆乳)と水を1対1でボウルに入れ、そこに布を漬け込みます。そして、20〜30分ほど経ったらボウルから布を取り出して水気を絞り、すすがずにそのまま乾燥させます。

続いて、植物から染料をつくっていきましょう。
まずは、採取した植物の汚れを水で洗い流してから、植物を洗濯ネットに入れます。そして、染める布の重さの30倍の水を鍋やボールに注ぎ、その中に先ほど植物を入れた洗濯ネットを漬けます。鍋やボールで1時間ほど煮て、煮汁を木綿布でこしたら染料の完成です。

染料ができたら、媒染剤をつくりましょう。
媒染とは、植物の色と染める布の繊維を結びつける工程のことを指します。媒染剤を使用することで、布に染料が付着します。媒染剤は、40~50℃で1Lのお湯を作り、2gの割合でミョウバンを入れて溶かしてつくります。使用する媒染剤の量の目安は、布の重さの約30倍となっております。

最後に、 染色と媒染を使って草木染めの布を完成させましょう。
染料を火にかけ40°くらいになったら布を入れ、時々混ぜながら20分ほど煮ます。この染色中の温度は、60°くらいまで上げます(扱いに注意してください)。

20分経過後布を水洗いし、染料を洗い絞ります。染め上がったら水で布をよく洗い、先ほどミョウバンでつくった媒染剤に20分ほどつけます。媒染剤につけ終わったら、よく水洗いし日陰で干してください。乾いたらあて布をしアイロン(中温)をかけ、色を固定させたら、草木染めの布の完成です。

草木染めは1日あればできるので、休日などを活用して染め物をしてみてはいかがでしょうか。

おすすめの植物

草木染めでおすすめの植物

草木染めを行うのにおすすめの植物はこちらです。

手に入りやすい草木染めの材料 玉ねぎの皮、紅茶、コーヒー、ピーナッツの皮、ヨモギ、タンポポ
伝統的な草木染めの材料 茜(アカネ)、紫根(シコン)、刈安(カリヤス)、蘇芳(スオウ)、ウコン(ターメリック)、ヤマモモ(シブキ)、キハダ、紅花、桜

手に入りやすい草木染めの材料として、玉ねぎやピーナツの皮は、普段捨てる部分を活用できるためとりわけおすすめです。

伝統的な草木染めの材料としては、茜や紫根、ウコンなどが挙げられますが、これらは古くから着物の染めの材料として使用されていました。草木染めは染め方・染める時間などによって染まる色が異なりますので、ぜひオリジナルの染色をしてみてはいかがでしょうか。

草木染めの着物

草木染め 着物

今回ご紹介をした草木染めは、化学染料などと異なり均一に染められないからこそ「世界にひとつだけの染め物ができる」という魅力があります。

そんな草木染め、ぜひ今回ご紹介した染色方法にてお家でトライしてみてください。

また着物ファンのみなさまには、草木染めの着物もおすすめです。ぜひお気に入りの草木染めの着物を探してみてはいかがでしょうか。

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