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祈りの心をきものに込めて 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.49

祈りの心をきものに込めて 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.49

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おめでとうの気持ちを込めた装いは、誰が見てもほほえましく喜ばしいもの。ぜひ「お気に入り」を身に着けて、喜ばしい日を晴れやかに過ごしてもらいたいものです。

人生の主演女優兼スタイリスト

それにしても、誰が最初に言い出したのかしら。小柄な人に大柄のきものはNGだなんて。着たいと思うものを、体系や年齢を理由にして諦めるなんてもったい話。フォーマルの場はともかく、お洒落着としてのきものはファッションなんですから、着たいものを着たいように着る、でいいと思うんですよね。

祈りの心をきものに込めて2

先月は長男と次男、それぞれの卒業式がありました。

着て行ったきものは、ピスタチオのジェラードのような柔らかな地色に、扇が品良く描かれた京友禅の付下げ。扇子は末広とも呼ばれます。末広がりに子どもたちの未来が輝くようにとの願いを込めました。

袋帯は波に花の柄。いろんな波を乗り越えて、たくさんの花を咲かせてくれるといいな。

帯留めは、母が昔からお祝い事のときに使っているベッ甲の末広。実は、三年前から借りたままになっていました。

長く使っていくうちにいつの間にか三分紐を通す部分が欠けてしまい、修理に出そうと思いつつもそのまま忘れることを繰り返していたんです。

このたびようやく浅草のベッ甲屋さんに修理をお願いし、完全な形で使用することができました。もうこれからはセロテープを裏から貼ってごまかさずに済みます。

今回ベッ甲の帯留めの紐を通す部分に「コキ」という名称があると初めて知ったのですが、元からあった「コキ」と今回新しくついた「コキ」、大きさも形も同じですが、品質に大きな差があったのです。

新しいコキはつるりとなめらかで、触ったことのないあたたかな安定感がありました。小さなコキに触れて、「あ、このお店のベッ甲のかんざしが欲しい」と思えるほどの引力でした。

なめらかな手触りのベッ甲のかんざしが髪から地肌にするりと触れたとき、反抗期vs.更年期とも言われたこの数年間が労われて、やわらかく癒される気持ちになりました。

これから先、お祝い事のたびにわたしはきものを着て、このかんざしをして、大事な人たちの幸せを祈っていこう。

とはいえ、着るもので祈りに差が出るわけではありません。でも、吉祥文様などの柄はモチーフとしてわかりやすく、洋服よりもきもののほうが、より伝わりやすいように思います。

ましてや誰かのお祝いの日の、おめでとうの気持ちを込めた装いは、誰が見てもほほえましく喜ばしいもの。ぜひ「お気に入り」を身に着けて、喜ばしい日を晴れやかに過ごしてもらいたいものです。

祈りといえばもうひとつ。
黄色と水色をコーデに入れて、世界平和を祈るのはどうでしょう。

前回の記事で「国花」について触れましたが、ウクライナの国の花はヒマワリ。青空の下に咲くヒマワリは、ウクライナの国旗と同じ色です。

わたしは最近ずっと藍染の糸(青と水色)とクサギの糸(黄色)で織られたマフラーを首に巻いていました。マフラーの季節ではなくなってしまったので、次は水色の帯締めと黄色い帯揚げをして、ウクライナの人たちがこれ以上傷つかないことを祈っています。

ウクライナカラーで装う!

ひまわり柄、ひまわり色も!

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