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たとう紙とは?着物を長持ちさせる使い方を解説!

たとう紙とは?着物を長持ちさせる使い方を解説!

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着物を美しく保管するために必要不可欠なアイテムが「たとう紙」。着物をお持ちの方の必需品ですね。今回は、たとう紙の役割と正しい使い方についてご紹介。これから着物をご購入予定の方もぜひご参考にされてください。

2021.03.03

まなぶ

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たとう紙は、着物をお持ちの方にとって欠かせないアイテムのひとつ。大切な着物を美しい状態で保管し、長持ちさせるために役立つのがたとう紙です。

今回は、そんなたとう紙にフォーカスして、その役割や使い方をご紹介いたします。

着物をお持ちの方は保管方法を見直して、美しく長持ちさせるきっかけになるかもしれません。そしてこれから着物をご購入予定の方は、内容をご参考にしていただいて、お気に入りとなる着物を大切に保管しましょう。

たとう紙とは?

そもそも「たとう紙」とはどのようなものなのでしょうか。

着物を包んで保管する「紙」

たとう紙とは?

たとう紙とは、古くからモノを包むための紙を意味した言葉として使われており、漢字では「畳紙」と表記します。

主な使われ方は、着物をたとう紙で”包むようにして保管”することです。呼び方や漢字での表記は地域によって異なります。

たとう紙は、「畳紙」「帖紙」「多当紙」などと表記することもあり、「たとうし」「たとうがみ」「たたみがみ」と実は呼ばれ方もさまざま。「文庫紙(ぶんこし、ぶんこがみ)」と呼ばれることもあります。

また「たとう紙」という呼び名が、「懐紙」や「衣装敷」を指す場合もあるようです。

たとう紙の歴史

たとう紙は着物と同じく古い歴史があり、平安時代頃には使われていたとされています。

しかし、当時のたとう紙は物を包むための役割ではなく、上流階級の人々の歌や文を書くためのものとして使われていました。現代のように、衣服を包むために用いられるようになったのは江戸時代後期の1,800年頃からであるとされています。

たとう紙の素材と役割

では、たとう紙にはどのような役割があるのでしょうか

たとう紙に使用されている素材を元に、たとう紙の4つの役割について解説いたします。

たとう紙の素材

たとう紙の素材

たとう紙は和紙で作られることが多いですが、和紙と言ってもその素材はさまざま。

代表的な素材としては、楮(こうぞ)・雁皮(がんぴ)・三椏(みつまた)などの木が挙げられ、繊維同士の結合が強く、ノートなどに使用されてペンで書くことができる洋紙と比べると、張りが強い特徴があります。

また、楮や雁皮、三俣からできた和紙は、洋紙と比べると繊維同士に隙間が多く通気性が高い紙質であるため、着物の保管に向いていると言えます。

たとう紙の持つ4つの役割

たとう紙の持つ4つの役割

通気性が良く丈夫なたとう紙が着物の保管に使用されるのには、次のような役割があるためです。

1.着物を除湿してカビの発生を防ぐ
2.着物をホコリから守る
3.着物にシワがつくことを防ぐ
4.タンスから出し入れしやすくする

1.着物を除湿してカビの発生を防ぐ

たとう紙の一つ目の役割は、着物から湿気を取り除き、カビの発生を防ぐことです。

着物は湿気に弱く、洋服と同じ保管方法ではカビが発生してしまう可能性があり、定期的に風通しをするなどして除湿する必要があります。しかし、毎日着物を取り出して風通しをするのは時間も手間もかかりますし、着物を広げるスペースも必要です。

通気性が高く除湿効果の高いたとう紙で着物を包んで保管することで、着物に湿気が溜まりにくくなります。たとう紙なしで保管すると、収納した場所の湿度が上がり着物にカビが発生するリスクが高くなりますので、大切な着物を収納するときにはたとう紙で包みましょう。

2.着物をホコリや汚れから守る

たとう紙の二つ目の役割は、着物をホコリや汚れから守ることです。

タンスや収納ケースに入れたとしても、知らず知らずのうちにホコリや汚れが付いてしまうため、着物はそのまま入れるのではなく、たとう紙で包んでおきましょう。着物にホコリや汚れが付着した状態で放置してしまうと、その臭いがうつってしまったり、虫食いの原因になったりする可能性がありますので要注意です。

3.着物にシワがつくことを防ぐ

たとう紙の三つ目の役割は、着物にシワがつくことを防ぐことです。

着物をそのままの状態で重ねると、シワがつきやすく次回着用するときには大切な着物がシワだらけ、なんてことにもなりかねません。

着物を一着ずつ丁寧にたとう紙に包んで収納すると、シワがつきにくくなり着物同士を重ねて保管することも可能です。たとう紙を使用することでより美しい状態で着物をキープすることができます。

4.タンスから出し入れしやすくする

たとう紙の四つ目の役割は、タンスから出し入れしやすくすることです。

着物を取り出すときに崩れてしまう経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。たとう紙で包むことによって崩れにくく、重ねて保管している着物であっても簡単に取り出せます。

また、たとう紙で包んでおくと、取り出す時だけでなく、保管中も着物を畳んだ状態をキープできるので、形崩れの防止にも役立ちます。

たとう紙の選び方

たとう紙には、さまざまな種類があり、お持ちの着物や、使い方に合ったものを選ぶことが大切です。たとう紙を選ぶときには、紙質とサイズに注目してみましょう。

紙質別にたとう紙を選ぶ

紙質別にたとう紙を選ぶ

たとう紙の紙質の代表的なものとして、3つの種類があります。
ここでは、代表的な「厚口の和紙」「中性紙」「クラフト紙」の3種類の特徴をご紹介しますので、参考にしてみてください。

厚口の和紙

美濃和紙などを代表として、伝統的な製紙方法で作られたものが「厚口の和紙」です。

厚口の和紙は楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)といった天然素材を原料として作られるものが一般的で、1枚で数千円という値段がつくこともある高級品です。

他のたとう紙と比べて吸湿性と耐久性がより高くなっているため、おおよそ3年は取り替える必要がなく使い続けることができます。着物を着る機会が少なく長期間の保存がしたい方や、高級な礼服などを保管する場合には、厚口の和紙製のたとう紙を選ぶと良いでしょう。

中性紙

「中性紙」は中性か弱アルカリ性の紙で作られていて、耐久性と通気性、費用の全てにバランスが取れています。

和紙に比べて安価であるため、たとう紙としてよく使用されますが、除湿効果は薄いため定期的に風通しをする必要があります。1年に1回程度のペースで紙を取り替えることができ、同時に風通しができるという方は、価格をおさえられる中性紙のたとう紙がおすすめです。

クラフト紙

「クラフト紙」は、パルプ紙と呼ばれる非常に安価な洋紙です。

安さが最大の魅力ではありますが、通気性や除湿効果はあまり期待できないため、クラフト紙のたとう紙を使うのであれば、別途除湿アイテムなどを用意することをおすすめします。

着物を大量に持っていて費用をできるだけおさえたい方にはクラフト紙のたとう紙もおすすめですが、使用する場合には年に2~3回を目安に「風通し」をして湿気を逃すことを行いましょう。

サイズ別のたとう紙

たとう紙には、約45cmのものから約87cmのものまでいくつかのサイズがあります。
それぞれのサイズが、どのような着物を包む時に適しているかについて解説しますので、参考にしてみてください。

二つ折り大サイズ

二つ折り大サイズのたとう紙は、長さが約87cmにもなる特大サイズのたとう紙です。
男性用の着物や、身長の高い女性用の着物などの大きな着物を包むのに適したサイズです。

二つ折りサイズ

二つ折りサイズのたとう紙は、長さが約83cmになるサイズの一般的なたとう紙です。
身長が165cm程度の女性用着物であれば、このサイズのたとう紙で包むことができます。
また、二つ折りサイズは市販されているたとう紙の中で最もポピュラーなサイズですので、どのサイズが良いか分からない場合にはこちらを選ぶと良いでしょう。

三つ折りサイズ

三つ折りサイズのたとう紙は、長さ約64cmのたとう紙です。
着物を三つ折りにして包む際や羽織を包む際、また帯や長襦袢などを包む際に使用します。

三つ折り小サイズ

三つ折り小サイズのたとう紙は、長さ約55cmのたとう紙となります。
短い羽織や、小さめの着物を三つ折りにして包む際、また子ども向けの着物を保管する際などに使うことが多いです。その他、長襦袢や袋帯などの保管に使う場合もあります。

四つ折りサイズ

四つ折りサイズのたとう紙は、約45cmの最小サイズのたとう紙となります。
こちらは、名古屋帯などを保管する場合や、着物を四つ折りにして保管する際に使用することが多いです。

たとう紙の使い方

たとう紙は着物を紙で包むだけなので、使い方は簡単です。以下の手順で着物を包みましょう。

1.着物をたとう紙の中央に置く
2.たとう紙の左右を内側に折り、内紐を結ぶ
3.たとう紙の下側を折り上げ、上側を被せる
4.たとう紙の紐を結ぶ

また、たとう紙を使う際には次のポイントを意識しておきましょう。

陰干しして湿気を取る

着物を定期的に陰干して風通しする方は多いと思いますが、同時にたとう紙も陰干しをすることが二つ目のポイントです。

たとう紙を陰干しすることで吸湿力が回復するため、より長く着物を良い状態で保つことにつながります。保管する前や風通しさせるタイミングで、一日程度を目安にたとう紙を陰干ししましょう。

着物用ブラシでホコリや汚れを払う

着物用ブラシでホコリや汚れを払う

着物を長持ちさせるためには、たとう紙で着物を包む前に、着物の表面についているホコリや汚れをブラシで落とすことも大切です。

たとう紙で包んでいたとしても、着物についたホコリや汚れに虫が寄ってきて虫食いの原因になる可能性もあります。そのため、たとう紙で着物を包む際には着物用ブラシでホコリや汚れを払うことを徹底しましょう。

たとう紙の交換時期は?

最後に、たとう紙の交換時期についてご紹介します。たとう紙の使用日数・状態を確認して判断しましょう。

1. 理想は、1年を目安に交換する

半年から1年を目安に交換する

高級和紙など素材によって交換の頻度は異なりますが、和紙のたとう紙であれば、1年に1回交換をすることが理想ではあります。

たとう紙の大きな役割のひとつとして、湿気を除去してカビを防ぐという役割がありますが、この吸湿性は長くても2年で失われると言われています。交換する頻度が高ければ高いほどカビ発生のリスクを抑えることができますので、1年を一つの基準として、たとう紙を交換してみてください。

2. たとう紙の状態を確認して交換する

たとう紙の状態を確認して交換する

たとう紙の状態に応じて交換をすることも重要です。地域や時期の関係で、たとう紙の耐久期間が変化することも考えられます。たとう紙が茶色に変色していたり斑点状のシミができていたりすれば、たとう紙の性能が劣化している証拠ですので、すぐに新しいものに交換するようにしましょう。

「着物を購入してから一度もたとう紙を変えたことがない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、同じたとう紙を使い続けることは、着物にトラブルを引き起こす要因になりかねません。

ぜひこの機会にタンスの中を覗き、たとう紙の状態を確認してみてください。

たとう紙を交換するのに適した季節

たとう紙には交換に適した時期があります。それは、湿気を吸収して湿度が上がる梅雨明けや、台風が発生し湿度が上がりやすい夏の終わり頃。

湿度が高い日本では、タンスの中に入れているだけでも湿気が溜まってしまいますので、梅雨明けや秋口に、素材にあったタイミングでたとう紙を交換するように意識してみてください。

まとめ

今回は、たとう紙の役割と選び方、使い方についてご紹介しました。

着物を長持ちさせるという面で、たとう紙は非常に重要なアイテム。着物をお持ちの方はぜひ本記事を参考に、お気に入りの大切な着物を、ぜひとも良い状態にて長く保管されてくださいね。

2020.04.23

まなぶ

着物や浴衣の最適な収納・保管方法とは?より美しく保管するために必要なお手入れとは?
ITEM
記事に登場するアイテム

[きもの用] 美濃和紙 たとう紙5枚組 窓付き・なか紙入り 87cm

[おび用] 美濃和紙 たとう紙5枚組 窓付き・なか紙入り 64cm

[きもの用] たとう紙3枚組 なか紙入り 83cm

[帯用] たとう紙10枚組 なか紙入り 長さ64cm

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