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ゆるまない、ゆるがない、冠組 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.17

ゆるまない、ゆるがない、冠組 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.17

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きゅっと締めたらもうゆるまないのに、ゆるぎ。一度手にしたら離せないほどの安定感や安心感で、この信頼はゆるがないのに、ゆるぎ。かんむり組とゆるぎ組は同じもの。呼び方はどっちでもいいので、まず一度、その抜群の締まり心地を試してみてください。

「かんむり組」と書いて「ゆるぎ組」と読む

お菓子のラッピングに使われていた紐や、チロリアンテープなど、紐状のものを見ればすぐに帯締めの代わりにならないかと目を光らせていた時代がありました。二十代前半だった当時は、見た目さえ帯締めっぽくなっていたらいい、という感じでしたね。
その後、たまたま気に入った色を見つけたという理由で、ワゴンの格安帯締めに手を出します。それでも、帯締めってこんなもの、と特になにも思うところはありませんでした。

出会いは突然にやってきます。これなんて読むかわかる?と聞かれたのが始まりでした。「かんむり組」と書いて「ゆるぎ組」と読むというのも衝撃でしたが、何よりの驚きはその締まり具合です。きゅぅっと締まって、ゆるまない。その代わり、解こうとするとほろりと解ける。いい帯締めはきちっと締まってゆるまないこと、どんなに重たげで難解な帯結びでも、いい帯締めはしっかりとホールドしてくれるということも知りました。

そもそも冠組とは、装束の冠の緒に取り付けられた紐の組み方。お雛様(男雛)の冠についていて、あごで蝶々に結んである紫色の紐を思い出していただくとわかりやすいかしら。シンプルで表裏がないように見えますが、実は半分に割れているように見えるほうが表側です。

それにしてもなんで「ゆるぎ」と読むんでしょうね。いろいろ本を読んだりして調べているのですが、さっぱりつかめずです。前に伺った組紐屋さんも首をかしげて「うちでは皆、かんむり組と呼んでいます」とおっしゃっていたことを思い出しました。つまり、「かつて冠に使われていた組紐に、いつの間にやらゆるぎというあだ名がついた」ということのようです。
きゅっと締めたらもうゆるまないのに、ゆるぎ。一度手にしたら離せないほどの安定感や安心感で、この信頼はゆるがないのに、ゆるぎ。こちらをご覧になった方は覚えておいてくださいね。かんむり組とゆるぎ組は同じもの。呼び方はどっちでもいいので、まず一度、その抜群の締まり心地を試してみてください。

色がたくさんあって1本に絞り切れない!とお悩みのあなたに、わたしからひとつアドバイスしますと、(首を横にゆっくり振りながら微笑むように)「2本になさい」です。1本はなじみのいい白もしくは白っぽいグレー。これはコーデがごちゃついたときの救世主になります。もう1本は口紅やアイシャドウなどのコスメ、もしくはピアスやリングなど気軽なジュエリーを選ぶ感覚で、「これ好き!!」と胸がわくわくしてときめく色です。

冠組帯締め・龍工房

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