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林宗平工房「本塩沢の歴史と魅力」 プレミアム銀座イベント

お話し下さったのは、新潟県南魚沼市にある塩沢の名門、林宗平工房の三代目、林秀和氏。このたびの東日本伝統工芸展でも入選され、銀座店のみなさんからは、“越後を背負って立つ男”と紹介されるほどの方。なんとも頼もしい!越後上布や塩沢紬のお話しもして下さいました。名門工房らしい、上質な織物の数々を拝見しながらの学び、みなさまにもシェアさせていただきますね!

林宗平工房の三代目・林秀和氏

今回のイベントでお話し下さったのは、新潟県南魚沼市にある塩沢の名門、林宗平工房の三代目、林秀和氏。

東日本伝統工芸展にて受賞

この度の東日本伝統工芸展でも受賞され、銀座店の皆さんからは、“越後を背負って立つ男”と紹介されるほどの方。なんとも頼もしい!
ひさしぶりのイベントにワクワクしながら、雪国で生まれた織物の魅力をたっぷりと伺ってきました。

レポーター/池田千恵里

趣味は書くこと!という着物愛好家。
国内外において着物PRの経験を持つ。
国駐在時には着物でのお出掛けを常とし、自身の着姿をSNSやYouTube 等でも発信。
また、ロンドンで着物ファッションショーを開催するなど、和装のPRに務めている。

池田千恵里

このたび入選されたという作品がこちら。

淡い生成りの生地に井桁絣の古代越後上布

銀座店にお持ち下さったので、実際に見せていただくことができました。
まさか実物を拝見できるとは!淡い生成りの生地に井桁絣が美しい、古代越後上布です。

今回は「本塩沢の歴史と魅力」というタイトルでしたが、せっかくですのでと、越後上布や塩沢紬のお話しもして下さいました。

塩沢の名門工房らしい上質な織物の数々

塩沢の名門工房らしい、上質な織物の数々を拝見しながらの学び、みなさまにもシェアさせていただきますね!

まずは店長から、「こうして人数を限らせていただいてではありますが、久しぶりにイベントを開催することができて大変うれしく思います。
衛生面でのご協力もありがとうございます!」とのごあいさつがありました。

銀座店店長のごあいさつ
withコロナ時代の催しのありかたとは

withコロナ時代にあっても、こうした催しを楽しめるよう、衛生面にはそれぞれが気を遣ってゆきたいですね!

林秀和氏の講演がスタート

「みなさん国の重要無形文化財に指定されている7つの織物をご存知ですか?」

と、スタート。

「越後上布、小千谷縮、結城紬、久留米絣、喜如嘉の芭蕉布、宮古上布、久米島紬…」

なかでも、越後上布(新潟県)と宮古上布(沖縄県)は「北の越後・南の宮古」と言われ、日本二大上布と称されるそうです。
越後上布は、小千谷縮とともに染織では初の重要無形文化財に指定され、最高級の夏着物だとのこと。

三代上布のひとつ・越後上布
ユネスコ無形文化遺産にも登録

ユネスコ無形文化遺産にも登録されているそうです。

越後上布には「重要無形文化財」「古代越後上布」「越後上布」という糸や織機の異なる3種類があるそうですが、作り手の減少などにより、どれも年々織られる数が減っているそうです。
特に重要無形文化財に関しては、昨年は産地全体でたったの22反だそう…

「今回持って来られなかったかわりに、とっておきのお品を持って来ました!」と。
それがこちら。

美しいキモノ最新号に掲載されている越後本麻上布
美しいキモノ最新夏号

最新の「美しいキモノ 夏号」に載った越後上布だそうです。
通常ですと、雑誌に掲載されるとすぐに百貨店などに出てしまうそうですが、今回はコロナで催事などもなかったため、珍しく手元にあったとのこと。

素敵な逸品に、みなさんからワッ!と歓声が!

こちらのページですね。
涼感たっぷりの夏織物

7月と8月の盛夏だけに着ることのできる夏織物、なんとも涼感たっぷりですね!
糸作りから織り上がるまで、最短でも2年はかかるそうです。

苧麻という植物の皮から作る糸で織りあげられる越後上布

越後上布は麻の中でも苧麻(ちょま)という植物の皮から作る糸で織るそうです。
苧麻からは特に細い糸が取れるので、薄くて軽い最上の布が織れるのだとか。

糸になるまでの各段階を拝見

糸になるまでの各段階も見せていただきました。

こちらが原料である苧麻の皮の不要な部分を取り除き乾燥させた「青苧(あおそ)」と呼ばれるもの。

苧麻の皮の不要な部分をとりのぞいた青苧
苧麻糸

青苧を手の爪で細かく裂いてできた苧麻糸。

苧麻糸どうしを撚り上げた糸。

雪晒し後の白い糸

雪晒し(ゆきざらし)という、織った布を雪原に広げて太陽に晒すという工程を経て白くなった糸。
太陽光と雪によって発生するオゾンという物質で不純物が取り除かれ、漂白されるのだそう。
雪に晒すことで糸が白くなるなんて不思議!
越後上布は、雪なくしては生まれない、新潟の風土が生んだ織物なんですね!

こちらがその雪晒しの作業。1週間から10日ほど繰り返すそう。

伝統の雪晒し
本塩沢についてのお話

続いて本塩沢についてお話し下さいました。
「よく塩沢紬と間違われますが、同じ新潟県塩沢地方の織物ではあるけれど、塩沢紬は紬、本塩沢はお召、全くの別ものです!両方とも絹織物ですが、糸の取り方が違います。」と林氏。

塩沢紬は真綿から紡いだ糸で織る

塩沢紬は真綿から紡いだ糸で織っているので空気をたくさん含んであたたかく、袷の着物に向いているとのこと。

こちらがその塩沢紬。
落ち着いた風合いとやわらかさが特徴だそうです。

落ち着いた風合いの塩沢紬
繭から直接繰り出した生糸を用いる本塩沢

一方の本塩沢はというと、繭から直接繰り出だした生糸を使っているそうです。
緯糸に通常の約3倍、2000回以上の撚りをかけた強撚糸(きょうねんし)を使い、”しぼ”と呼ばれる独特な風合いを生み出しているのが本塩沢の特徴とのこと。
しぼのデコボコによって肌に触れる面が少なくなり、風の通る、サラリとした肌触りの良い生地になるのだとか。
単衣に最高!と言われるのは、このしぼのおかげなんですね!

「単衣には裏地がつかないので丈夫でないといけない。本塩沢は“丈夫で長持ち親子三代”と言われるほどなんです。」と林氏

強撚糸は撚りが戻らないように糊付けをしてあるため、織り上げた後に、ぬるま湯でもんで糊を落とす「湯もみ」という作業をするそうです。
湯もみの際、強撚糸の撚りが戻ることで、しぼが生まれるのだそう。

生地は縮むのを想定して、通常より幅広に織るそうです。こちらが湯もみによって縮んだ生地。

撚りが戻らないように糊付けをしてある強撚糸
しぼのある地風

この“しぼ”のある地風は塩沢で初めて作られたんだそうですよ!

独特の手触りはずっと触っていたくなる気持ちよさで、ご参加のみなさまからもこれは着てみたくなりますね!とのお声があがっていました。
「伸びちぢみするストレッチジーンズが流行っていますが、我々は昔から本塩沢というストレッチ素材を織っているんです。
肌触りもいいですが、立ったり座ったりの動作も楽なんです。」と林氏。

独特の手触りのある本塩沢
林宗平工房では通常より500本多い経糸を用いる

塩沢には経糸の本数の規程がないので、各工房、経糸の本数の違いが風合いの違いになってくるそうです。
林宗平工房さんでは、通常より経糸の本数が500本ほど多いそうですよ!

本塩沢というと蚊絣のイメージでしたが、今回カラフルでお洒落なお柄を拝見させていただき、びっくりしました。

本塩沢にもカラフルなものが!
従来のイメージとは異なるカラーの本塩沢

ある所にはあるんですね!

越後上布と本塩沢を学ぶ

今回は、越後上布という最高級の麻着物と、しぼによる独特な風合いが魅力の本塩沢を、実際に見て触れながら学ばせていただきました。
貴重なお品を何種類も見比べることができたのも、織元さんだからこそ!
雪国で育まれた伝統織物の魅力をたっぷりと味わうことができました。どうもありがとうございました。

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