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探してみよう！持っていて、うきうきする日傘「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.97

探してみよう！持っていて、うきうきする日傘「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.97

2025.07.01

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日傘選びは、アクセサリーを選ぶときと似ていて、自分の浴衣や夏物のコーディネートに合わせた無難なものよりも、持っていたら嬉しくなる！元気が出る！という日傘にばかり目が行ってしまうんです。

高性能の日傘で準備は万全のはずが……
日傘で元気と色柄をプラス！
この夏は、自慢の日傘を見つけよう

高性能の日傘を買ったんです。UV加工がしてあって、外側の色が白なので太陽光をはねのけ、内側が黒なので日陰になって涼しい。外に出て日傘をさしたら、炎天下なのにまるで木陰にいるみたいでした。しかも、折りたたみで晴雨兼用です。

雨が降って傘が濡れたら、先日野球を見に行ったときに入口でもらった、布同士がくっつくタオルに包んでハンドバッグに入れるんだ～。これで万全、紫外線も雨も怖くないぞ。欲を言えば、もうちょっと、持っていてうきうきするような日傘ならもっといいんだけどな。

ところが、想定外の出来事が起こりました。ご存知でしたか？電車の中に置き忘れてしまうものランキングにいつも傘が上位ランクインしているということを。駅に問い合わせましたが、届いておらず、きっと誰かが拾ってそのまま持ち帰ってしまったのでしょうとのことでした。

電車に置き忘れたわたしの日傘を拾った方へ。いいでしょう、それ。簡単に木陰が手に入るんですよ。大事に使ってくださいね……。

日傘選びは、アクセサリーを選ぶときと似ていて、自分の浴衣や夏物のコーディネートに合わせた無難なものよりも、持っていたら嬉しくなる！元気が出る！という日傘にばかり目が行ってしまうんです。

これは、わたし自身の夏のきものがシンプルな色柄のものばかり多く持っているからかもしれません。一番面積の大きいきものがシンプルなので、帯や日傘で色柄をプラスしたくなる感じです。

そんな話をしていたら、友人が「日傘手作りキット」を買ってみたと言うではありませんか。型紙に合わせて布を裁ち、骨に縫い付けていくのだそうです。

ということは、ガード加工済みのきものを解いて作れば、雨を弾くということじゃないですか。つまり晴雨兼用の傘になる！しかもそのキットにはUVスプレーも入っているんですって。なんと気が利いているわぁ。

古い黒留袖で、大胆な柄が楽しめる日傘を作るのも素敵だし、昔ながらの紺白の浴衣や紗合わせのきもので作るのもいいですね。

友人に、その後どんな日傘を作ったのか聞いたら、

「いざ自分のきものを切って日傘にするとなったら、はさみを入れるのがなんだか勿体なくってしまって。結局リサイクルショップで日傘にするきものを探しているところ」

と教えてくれました。

「絽のきもので作ろうと思ったんだけど、意外と夏物って少ないのよ。完成するころには夏が終わってしまうかもしれない」

と笑っています。

皆さんの自慢の日傘はどんなものですか？この夏、素敵な日傘と、素敵な日傘をさすひとに出会うのが楽しみです。

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。