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着物は自宅で洗えるの?洗濯手順や注意点を解説!

着物は自宅で洗えるの?洗濯手順や注意点を解説!

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着物はものによっては自宅でも洗うことができますが、ポイントをおさえて正しい方法で洗うことが大切です。今回は着物の洗い方と注意点をご紹介します。そして自宅で洗うことが難しい着物とクリーニングに出したほうが良い場合の見分け方についても解説していきます。

着物に汗や皮脂などの汚れがついたままの状態にしておくと、着物が劣化したりシミができる原因にもなるので、こまめなお手入れが大切です。
ですが、毎回クリーニングに出すのは手間も費用もかかるため、自宅でお手入れをする方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。
着物は、素材によっては自宅で洗濯することができます。
今回は、自宅での着物の洗い方と着物の洗濯に必要なものについて徹底的に解説していきます。
どんな着物が家で洗うことができるのか、そして着物をクリーニングに出した際の相場についてもご紹介しますので、ご自宅の着物のお手入れ方法を決める参考にしてみてください。

着物を自宅で洗濯する前にチェックするべきこと

着物を洗う前に、自宅で洗濯できる素材かどうか、そしてどんな洗濯方法が適しているのかを必ず確認しましょう。
素材に合わない方法で洗濯をすると、かえって着物を傷めてしまう可能性があります。
次の3つのポイントをチェックして、お持ちの着物が自宅で洗えるものなのかを判断しましょう。

着物の素材をチェック

着物は主に絹・麻・木綿・ウール・ポリエステルの5つの素材のいずれかから作られています。
このうち、「木綿」と「ポリエステル」のものは自宅での洗濯が可能です。
「麻」のものも基本的には可能なのですが、事前に水通しがされているのか、縫い糸は何を用いているのか、アイロンは使わないなどの注意点がございます。
また「絹」「ウール」のものは自宅での洗濯は難しいため、クリーニングに出すことをおすすめします。

着物の素材をチェック

取り扱い絵表示をチェック

仕立てた状態で販売されているプレタ着物の場合、洗濯用の取り扱い絵表示が取り付けられているものもあります。
取り扱い絵表示には、それぞれの衣類に適した「洗濯の仕方」「漂白の仕方」「乾燥の仕方」「アイロンのかけかた」「クリーニングの種類」の5点が記載されています。

まずは「家庭洗濯」のマークがあるかを確認しましょう。
家庭での洗濯ができない着物には家庭洗濯のマークにバツ印が入っていますし、可能な着物には、それぞれの項目に適切な温度や方法が記載してあります。
着物はデリケートな衣服ですので、自宅で洗濯をする場合は必ず取り扱い絵表示の記載に従いましょう。

取り扱い表示をチェック

汚れやすい部分をチェック

着物は洋服よりも複雑な作りになっているため、見つけづらい汚れや、洗いにくい部分がたくさんあります。
汚れがひどい部分は重点的に洗う必要があるので、次にご紹介する「汚れやすい部分」を確認してから洗濯をするようにしましょう。
ただし、頑固な汚れを自宅で落とそうとすると着物へのダメージが強くなりますので、汚れがひどい場合はクリーニングに出すようにしてください。

汚れやすい部分をチェック

掛け襟(かけえり)

首や顔周りに触れることの多い掛け襟は、化粧品や汗といった汚れが付着しやすい部分です。
着物の中でも最も汚れやすい部分ですので、見落としがないようにしっかりと確認しておきましょう。

袖口(そでぐち)

手首の出口である袖口は、動きの多い手の周りの汗や皮脂などの汚れが付着しやすい部分です。
他人からも見えやすい汚れとなりますので、袖口の汚れは落としておきたいですね。

前身頃(まえみごろ)

前身頃は飲食物の汚れが付きやすい部分の一つです。
水分や油分が飛びはねて付着する可能性があるので、見落としがないよう確認しましょう。

裾(すそ)

着物の裾は地面に非常に近いこともあって、砂や泥などの汚れが付着します。
特に雨の日や雨上がりの日にはしっかり確認しましょう。

裏地

裏地は体に近い部分ですので、汗や皮脂などが付着しやすくなります。
見えづらい汚れも付着していることがありますので、どこが汚れているのか念入りにチェックしておくと、洗い残し防止につながります。

着物を洗濯する際に用意するもの

着物の洗濯は難しい、特別な道具が必要そう…と思っている方も多いのですが、実は自宅にあるものだけでも可能です。
次のものを準備しておきましょう。

中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)

まず一つ目に用意するものは中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)です。
中性洗剤はアルカリ性の洗剤と比べると洗浄力が弱く、着物などの繊細な衣類を洗うことに適しています。
洗浄力が強すぎる洗剤を使用すると色落ちしたりゴワついたりすることもあるので、必ず洗剤の成分を確認して、中性洗剤を使用するようにしてください。

中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)

洗濯桶

手洗いをする場合には、大きめの洗濯桶があるとスムーズです。
湯船などで代用することもできますが、水の入れ替えなどの手間を考えると、桶が一つあると便利です。

着物用ハンガー

着物用ハンガーは、洗濯後に着物を乾かす際に使います。
着物の型崩れ防止のためにも、一般的なハンガーではなく、着物用ハンガーを準備するのがおすすめです。
洗濯の際以外にも、年に数回行う風通しなどでも使用できますし、着用後にささっとかけておいたり着物ファンの必需品ですね。

洗濯ネット

洗濯機で着物を洗う場合は、必ず洗濯ネットを用意するようにしてください。
洗濯ネットに入れることで、着物へのダメージを抑える効果があります。
また、後述しますが脱水の際に洗濯機を使う場合にも洗濯ネットが必要です。
洗濯ネットのサイズは、着物をたたんだ状態でぴったり入るサイズがベストですので参考にしてください。

着物の洗濯方法手順

ここからは実際に着物を洗う手順をご紹介します。
着物を洗うときには、必ず「一着ずつ」にしましょう。
複数の着物を同時に洗ってしまうことは色落ちや色移りの原因となります。
今回は着物を手洗いする方法と、洗濯機を使った洗い方の2種類をご紹介します。

着物の洗い方〜手洗い編〜

手洗いでは以下のものを使用します。

● 中性洗剤
● 桶
● 着物用ハンガー

ステップ1. 色落ちしないか確認する

まずは中性洗剤の原液を着物の目立たないところに少しだけ塗布して5分ほど待ちます。
洗剤を付けた部分を白い布で軽く叩き、度色移りがないかチェックしてください。
色落ちが激しい場合、その着物を自宅で洗うことは難しくなるので、この時点で中断しクリーニング店などに依頼するようにしましょう。

ステップ2.シミ抜きをする

着物全体を洗う前にシミ抜きを行います。
シミの種類によって落とし方が変わるので、適切な方法で行いましょう。
ファンデーション、日焼け止め、口紅、食べこぼしなどの油性の汚れは、クレンジングオイルで落とすことができます。
汗などの水溶性の汚れは中性洗剤で落とすことができます。
少量をシミにつけてタオルなどでたたきましょう。
この時点で落ちないシミがついている場合は、自宅で洗濯しても汚れが残ってしまう可能性があるので、クリーニングに出すことを検討しましょう。

ステップ3.つけ置きする

ステップ1,2が完了したら、桶に水をはり、中性洗剤を溶かして着物を10分程度つけ置きします。
水の量は着物が浸かる程度で、洗剤の量は商品に記載された分量を目安にしましょう。
高温のお湯は着物の色落ちの原因になる可能性があるので、取り扱い絵表示に記載してある水温を守り、温度が高くなりすぎないよう注意してください。

ステップ4.押し洗いをする

つけ置きした着物を押し洗いします。
着物を傷める原因になるこすり洗いやもみ洗いはNGです。
着物を優しく押しながら、全体の汚れをとっていきます。

ステップ5.着物をすすぐ

押し洗いが終わったら汚れた水を捨て、着物を押しながら水気を取り除きます。
そして新しいきれいな水を使って、2~3回程度すすぎます。
着物をすすいでいるときに、洗剤の泡が出なくなったときがすすぎ完了の合図です。
着物は水分を含むと思ったよりも重くなりますので、持ち上げるときには着物全体を抱えるように持ちましょう。

ステップ6.水切りと脱水をする

着物の中に残った水分を取り除きます。
水切りの方法は、洗濯機で脱水をする方法とタオルで水気を取る方法の2つがあります。
洗濯機を使用する場合は、着物を折りたたんだ状態で洗濯ネットに入れて、洗濯機の最も弱いモードで1分程脱水をしましょう。
タオルを使用する場合は、着物全体をタオルで包み、着物を押すようにして水切りをしましょう。
洗濯機と比較するとタオルを使った手作業の方が着物へのダメージは少なくなりますので、時間があるときはタオルの使用がおすすめです。

ステップ7.陰干しをする

ある程度水分を取ったら、着物用ハンガーに吊るして陰干しで乾かしていきます。
吊るす際には、着物の糸が切れない程度にシワを伸ばしておきましょう。
日光に当たってしまうと着物の色ヤケの原因になるので、必ず風通しの良い日陰に干しましょう。

ステップ8.アイロンをかける

着物が乾いたら、仕上げにアイロンを行います。
着物に必ず当て布をして中低温でアイロンをかけるようにしてください。
シワを伸ばす際には、刺繍や金箔模様のある部分にはアイロンをかけないこと、木綿以外の着物にはスチームを使用しないことの2点に注意をしてください。
またアイロンをかけた後の着物は、再度着物ハンガーに吊るして熱が冷めるのを待ってから収納してください。

着物の洗い方〜洗濯機編〜

洗濯機を使用する場合は、以下のものを使用します。

● 中性洗剤
● 洗濯ネット
● 着物用ハンガー

着物の洗い方〜洗濯機編〜

ステップ1. 色落ちしないか確認する

まずは中性洗剤の原液を着物の目立たないところに少しだけ塗布して5分ほど待ちます。
洗剤を付けた部分を白い布で軽く叩き、度色移りがないかチェックしてください。
色落ちが激しい場合、その着物を自宅で洗うことは難しくなるので、この時点で中断しクリーニング店などに依頼するようにしましょう。

ステップ2.シミ抜きをする

着物全体を洗う前にシミ抜きを行います。
シミの種類によって落とし方が変わるので、適切な方法で行いましょう。
ファンデーション、日焼け止め、口紅、食べこぼしなどの油性の汚れは、クレンジングオイルで落とすことができます。
汗などの水溶性の汚れは中性洗剤で落とすことができます。
少量をシミにつけてタオルなどでたたきましょう。
この時点で落ちないシミがついている場合は、自宅で洗濯しても汚れが残ってしまう可能性があるので、クリーニングに出すことを検討しましょう。

ステップ3.洗濯ネットに入れて洗う

着物を折りたたんだ状態で洗濯機に入れて洗濯します。
洗濯コースは取り扱い絵表示に記載されているもの、または、手洗いコースに設定しましょう。
脱水は、洗濯機の最も弱いモードで1分程を目安にします。

ステップ4.陰干しをする

ある程度水分を取ったら、着物用ハンガーに吊るして陰干しで乾かしていきます。
吊るす際には、着物の糸が切れない程度にシワを伸ばしておきましょう。
日光に当たってしまうと着物の色ヤケの原因になるので、必ず風通しの良い日陰に干しましょう。

ステップ5.アイロンをかける

着物が乾いたら、仕上げにアイロンを行います。
着物に必ず当て布をして中低温でアイロンをかけるようにしてください。
シワを伸ばす際には、刺繍や金箔模様のある部分にはアイロンをかけないこと、木綿以外の着物にはスチームを使用しないことの2点に注意をしてください。
またアイロンをかけた後の着物は、再度着物ハンガーに吊るして熱が冷めるのを待ってから収納してください。

着物をクリーニングに出した時の相場

ここまで自宅での着物の洗い方について解説してきましたが、専門のクリーニング屋さんに任せてしまうのも手段の一つです。
こちらでは「絹」の着物をクリーニングに出した時の相場と、クリーニングのメリットについて解説していきますので、自宅での洗濯を比較しながらご自身に合った方を選びましょう。

着物をクリーニングする相場は?

着物をクリーニングする場合、相場は1着6,000円〜10,000円を目安にしましょう。
丸洗いを依頼するのか、シミ抜きもしてもらうのか、また着物の種類や素材によっても値段は前後しますが安ければ2,000円程度からクリーニングをしてくれるような業者もあります。
また、着物だけでなく襦袢や帯などもまとめてクリーニングに出せるお店もありますので、ご自宅で洗濯することが難しい場合は利用してみても良いかもしれませんね。

着物をクリーニングする場合は?

着物をクリーニングに出すメリットとは?

自宅で洗うよりも費用がかかるクリーニングですが、利用するメリットは次の3つがあります。
お手入れの時間がとれずに汚れたまま放置してしまうことが着物にとっては一番ダメージが大きいので、状況に合わせてクリーニングを利用するのも一つの手段です。

プロに任せられる

自宅での洗濯は、色落ちや糸のほつれなどリスクがつきものですので、高級な着物を自分で洗うのは少し不安ですよね。
クリーニングに依頼すれば、プロの高い技術で汚れを落としてもらえるため、美しい状態を維持したまま手元に戻ってきます。
また、頑固な汚れも落とすことができるので、自宅での洗濯が不安な場合や汚れがひどい場合はプロであるクリーニングにお任せすることをおすすめします。

どんな素材の着物も依頼できる

自宅では「木綿」と「ポリエステル」素材以外の着物の洗濯は難しいですが、クリーニングでは基本的にどんな着物もOKです。
「絹」や「ウール」、「麻」などの素材の着物を持っている方は、自宅での洗濯はリスクもありますので、クリーニング業者に依頼して安心して綺麗にしてもらうようにしましょう。

手間がかからない

自宅での着物の洗濯はやはり手間と時間がかかります。
また少しでも雑に扱ってしまうと着物の傷みの原因になってしまいます。
これを一括でお任せできるのがクリーニングの強みです。
クリーニングにさえ出せば安心して綺麗な状態で戻ってくるので、時間を優先したい人や手間を省きたい人にはクリーニングがおすすめです。

安価なクリーニングには要注意!

先程も少しだけご紹介しましたが、中には安価で着物のクリーニングを請け負う場合があります。
費用はできるだけおさえたいところですが、安ければ安いほど良いという考えは危険ですので、お店選びは慎重に行うようにしてください。
クリーニング業者の中には、何度も同じ洗浄液を用いて洗うなどでコスト削減をしている場合もあります。
着物のクリーニング業者を選ぶ際には、値段だけではなく、どのような洗濯、仕上げをしてもらえるのかというところや実績、口コミなどを考慮しましょう。

まとめ

自宅での着物の洗い方と洗濯の際のチェックポイントについて解説いたしました。
着物の洗い方が、想像していたよりも簡単だったという方も多いのではないでしょうか。
軽い汚れがついた場合や、短い期間で何度も着物を着る機会がある方などは、自宅での洗濯に挑戦してみるのも良いですね。

ただし、案外簡単なものとは言えど注意すべきポイントもいくつかありますので、自宅での洗濯を考えている方は、今回ご紹介した着物の洗い方やチェックポイントを参考にしてみてください。
高価な着物に万が一のことがあってはと思われる方は、安心してクリーニングを任せられる業者を選定してクリーニングに出すようにしましょう。

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