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特別展『聖徳太子と法隆寺』 東京国立博物館 「きものでミュージアム」vol.2

特別展『聖徳太子と法隆寺』 東京国立博物館 「きものでミュージアム」vol.2

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芸術の秋目前!東京国立博物館(トーハク)にて開催中の特別展『聖徳太子と法隆寺』は、聖徳太子その人と太子信仰の世界に迫る必見の展覧会。9月5日までと会期終了が迫っておりますが、ぜひにとおすすめいたします。コラム最後に読者プレゼントも。どうぞお見逃しなく!

聖徳太子1400年遠忌記念 特別展『聖徳太子と法隆寺』

今回ご紹介いたしますのは、こちら。
会期が9月5日までと終了間近ではございますが、すべりこみでも、ぜひともみなさまに足を運んでいただきたい圧巻の展示内容でした!

記事最後のチケットプレゼントは、会期の兼ね合いで応募期間が短くなります。どうぞお見逃しなく。

※本コラム内の写真につきまして、撮影および掲載の許諾を得て使用しております。
特別展「聖徳太子と法隆寺」ポスタービジュアル
聖徳太子1400年遠忌記念 特別展『聖徳太子と法隆寺』

法隆寺1400年の祈りと美ー太子信仰の至宝が一堂に
(公式サイトより)

奈良・斑鳩の地に悠久の歴史を刻む法隆寺は、推古天皇15年(607)、聖徳太子によって創建されたと伝えられます。太子は仏教の真理を深く追究し、また冠位十二階や憲法十七条などの制度を整えることで、後世に続くこの国の文化的な基盤を築き上げました。聖徳太子を敬う人々の心は、その没後に信仰として発展し、こんにちもなお日本人の間に連綿と受け継がれています。

令和3年(2021)は聖徳太子の1400年遠忌にあたり、これを記念して特別展『聖徳太子と法隆寺』を開催します。会場では、法隆寺において護り伝えられてきた寺宝を中心に、太子の肖像や遺品と伝わる宝物、また飛鳥時代以来の貴重な文化財を通じて、太子その人と太子信仰の世界に迫ります。

法隆寺(広報用画像より借用)
法隆寺

100年に一度!の展覧会

特別展『聖徳太子と法隆寺』は、100年に一度の大規模展覧会といわれています。

出品目録を見ると、前期・後期を合わせて全部で193点、うち国宝が24点、重要文化財が82点!という充実の内容。
私の美術鑑賞は西洋絵画好きから始まったので、実は仏教美術の展覧会へ行くようになったのはここ数年なのですが、きもの好きになったことの影響か、日本文化にも興味を持つようになりました。

そのため仏教美術の基礎知識に欠けるところがあるのですが…それでもこの展覧会の概要を知った時、これは必見!と確信いたしました。

そして鑑賞後に思いましたのは、たとえ深い知識がなくとも、どこかで見たことのあるあの作品や法隆寺から滅多に出ることのない仏像や宝物など、とにもかくにも圧倒的な展示品の数々に、きっとみなさまも感動されるだろうということでした。

展覧会の構成

平成館入場口前。

会場は第1会場と第2会場に分かれ、以下の5章から構成されています。

第1章 聖徳太子と仏法興隆(1)
第2章 法隆寺の創建(1)
第3章 法隆寺東院とその宝物(2)
第4章 聖徳太子と仏の姿(1)
第5章 法隆寺金堂と五重塔(2)

※(1)は第1会場、(2)は第2会場の展示です。

いざ会場へ

昭和世代の人にとって、聖徳太子といってまず思い浮かぶのは「旧1万円札」の肖像ではないでしょうか。

『聖徳太子二王子像(模本)』狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代 天保13年(1842)東京国立博物館蔵、通期展示
『聖徳太子二王子像(模本)』狩野〈晴川院〉養信筆 江戸時代 天保13年(1842)東京国立博物館蔵、通期展示

『聖徳太子二王子像(模本)』は、旧1万円札の聖徳太子の肖像の原画となったもので、原本は皇室の御物となっています。

今回展示の模本は、江戸時代に描かれたもの。現本より鮮やかな彩色です。

この人物が本当に太子なのかどうか議論はあるようですが、多くの人がまず思い浮かべるのはこの像ではないでしょうか。今回の展覧会では様々な太子像が観られますので、比較してみるのも楽しいかもしれません。

『菩薩立像』の優しい微笑みに癒される。
『菩薩立像』の優しい微笑みに癒されて
『如来坐像』と並んで
『如来坐像』と並んで
国宝『竜首水瓶』の前で
国宝『竜首水瓶』の前で

布と糸に魅せられる

次にご紹介いたしますのは、国宝『天寿国繡帳』。(※すでに公開は終了しています)

聖徳太子が亡くなられた後、橘妃(橘大郎女:たちばなのおおいらつめ、聖徳太子の妃)の願いを受け、推古天皇の命によって作られたという帷(とばり=カーテン)の断片です。

太子が往生したという「天寿国」のありさまが緻密な刺繍によってあらわされており、飛鳥時代の仏教思想を知る上でも極めて重要な作品です。

何よりもまず、この時代の布製品が残っていることに感動。近寄ってじっと見ると、絹布の地紋が美しく、刺繍のステッチも細やか、退色しているとはいえ色遣いにハッとさせられます。

『天寿国繡帳』
『天寿国繡帳』 ※公開終了
『天寿国繡帳断片』
『天寿国繡帳断片』

そして『天寿国繡帳断片』も大切に保管されています。
1400年の時の流れに、おのずと誰しもが想い馳せる空間ではないでしょうか。

また、とても精巧な「唐組の組紐」と「金具」を組み合わせた作品が『金銅装唐組垂飾』。

私は帯締めで有名な『有職組紐 道明』の組紐教室に通っているのですが、ちょうど唐組をお稽古しているところなので、とても興味深く拝見しました。残念ながらこちらは内覧会でも撮影禁止でしたので、道明が『金銅装唐組垂飾』を制作した復元品のお写真をお借りしました。

かの時代にすでに、このように精巧な組紐が作られていたことに感動いたします。

『金銅装唐組垂飾(幡垂飾)の道明復元模造』2
有職組紐 道明 制作『金銅装唐組垂飾(幡垂飾)』復元模造 提供:道明
『金銅装唐組垂飾(幡垂飾)の道明復元模造』1
有職組紐 道明 制作『金銅装唐組垂飾(幡垂飾)』復元模造  提供:道明
有職組紐 道明

江戸時代より東京・上野で組紐を製作し続ける「道明」。道明が取り組むのは、日本で脈々と受け継がれてきた、組紐の長い歴史の上に立脚したものづくり。

聖徳太子がいっぱい

平安時代になると、聖徳太子は観音菩薩の生まれ変わりとされ、その姿は信仰の対象として普及していきました。

今回の特別展には、聖徳太子の絵や木像が多数展示されています。これほど数多く聖徳太子像が作られているとは知りませんでした。
2歳像や16歳像など様々な年齢のものが存在しますし、旧1万円札の聖徳太子とは随分印象が違います。

『聖徳太子立像(二歳像)』
『聖徳太子立像(二歳像)』
『聖徳太子立像(孝養像)』
『聖徳太子立像(孝養像)』
『聖徳太子像(孝養像)』
『聖徳太子像(孝養像)』
『聖徳太子四天王図』
『聖徳太子四天王図』

なかでも両脇に2人ずつ侍者を従えた姿の国宝『聖徳太子および侍者像』には、ぐっと惹き込まれます。

国宝 『聖徳太子および侍者像』
国宝『聖徳太子および侍者像』
国宝『聖徳太子および侍者像』のうち聖徳太子
国宝『聖徳太子および侍者像』のうち聖徳太子  平安時代 保安2年(1121) 奈良・法隆寺蔵、通期展示

冠を戴き、笏(しゃく)をとる聖徳太子の威厳に満ちた姿とは対照的な侍者の姿もおもしろいですね。

それぞれの絵や像の表情、また服装や髪型などを比較するのも興味深く拝見いたしました。

圧巻の第5章

『法隆寺金堂と五重塔』と題された第5章は、とにかく圧巻でした!金堂と五重塔ゆかりの仏像を中心に、その荘厳な世界が繰り広げられています。

第2会場-手前の2体は『四天王像 広目天・多聞天』
手前の2体が『四天王像 広目天・多聞天』

『日本書紀』によると、法隆寺最初の伽藍は670年に焼失したとされ、その後再建されたのが現在の西院伽藍です。その金堂は、7世紀後半に建てられた世界最古の木造建築。五重塔は仏舎利を祀った建築で、内部には釈迦の生涯などをあらわした塔本塑像(とうほんそぞう)が安置されています。

金堂の内陣、四隅を守護するのは日本最古の四天王像。そのうち今回は、通常、内陣の後方に位置することから拝観できない『広目天』『多聞天』の両像が公開されていますのも必見ポイント。(上写真参照)

こちら2体は国宝に指定されていますが、ほかにも国宝や重要文化財のオンパレードで目がくらむようでした。

国宝『薬師如来坐像』
国宝『薬師如来坐像』飛鳥時代 7世紀 奈良・法隆寺蔵 通期展示
『阿弥陀如来および両脇侍像(伝橘夫人念持仏)』
『阿弥陀如来および両脇侍像(伝橘夫人念持仏)』

時間配分に注意

トーハクの展示会は、第1会場がメインで第2会場はサブ的な位置づけのことが多いのですが、今回は第2会場も大変充実した内容になっています。感染症予防のため90分程度で鑑賞するよう勧告されていますので、時間配分に注意して鑑賞してください。

実は私も第1会場に時間を割きすぎて、第2会場が少々駆け足となってしまいました。会期中にもう1度訪れたいです。

また鑑賞後は、ミュージアムショップもぜひ覗いてみてください。本展の展示作品をあしらった限定グッズや太子くん(聖徳太子のキャラクター)グッズ、雪丸(トーハクキャラクター)とのコラボグッズなど、多数用意されています。

ぜひ法隆寺宝物館や常設展も

さて、平成館の 特別展『聖徳太子と法隆寺』の後は、ぜひトーハク館内の「法隆寺宝物館」も観覧してください。正門を入って左手奥のほうにあり、こちらまで行く人は少ないのですが、静かに法隆寺の宝物を鑑賞できますのでおすすめです。特別展のチケットで観覧できますよ。

その他、本館の常設展や、特別展『国宝 聖林寺十一面観音―三輪山信仰のみほとけ』(こちらは別料金:9/12まで)、東洋館など見どころ満載ですので、時間に余裕をもっておでかけすると1日中楽しめます。

この日の装い

この日の装い

『聖徳太子と法隆寺』展にはシックな装いで。

生成に黒の絣模様の越後夏大島に、西陣・加納幸の夏袋帯をコーディネート。

帯締めは、道明の高麗組・嘱累品。何にでも合わせやすくポイントになるので大好きな帯締めです。帯揚げは渡敬、根付けは自作のものです。

それぞれの美術展の雰囲気を考え、美術作品を想いながら装いを考えるのも、きものでミュージアムの醍醐味ですね。

展覧会情報

特別展「聖徳太子と法隆寺」ポスタービジュアル
聖徳太子1400年遠忌記念 特別展『聖徳太子と法隆寺』ポスタービジュアル

特別展『聖徳太子と法隆寺』 東京国立博物館 平成館

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/

⽇時:2021年7⽉13⽇(⼟)〜2021年9⽉5⽇(⽇)
10:00〜17:00 (最終⼊館16:30)
休館日:⽕曜⽇

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

その他、おすすめの美術展

サーリネンとフィンランドの美しい建築展

サーリネンとフィンランドの美しい建築展

パナソニック汐留美術館
https://panasonic.co.jp/ls/museum/

日時:2021年7月3日(土)~9月20日(月)
10:00~18:00(最終⼊館16:30)
休館日:水曜日

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください
上村松園展ポスター

京都市京セラ美術館開館1周年記念展 上村松園

京都市京セラ美術館
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20210717-0912

日時:2021年7月17日(土)~2021年9月12日(日)
10:00〜18:00
休館日:月曜日

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください

◆ 読者プレゼント ◆

さて、ここでうれしいお知らせです。
特別展『聖徳太子と法隆寺』の招待券を抽選で3組6名の方にプレゼント!
ぜひ、きものでお出かけくださいね!

会期終了が迫っておりますので、2日間限定でのご応募受付です!チケット発送は8月末。9月頭にご都合がつく方、どうぞお見逃しなく!

チケットプレゼント

下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

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※応募期間:2021年8月29日(日)まで

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