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空蝉のごとき彼の羽織を抱きしめて――『たしかにあった幻』 「きもの de シネマ」vol.73

空蝉のごとき彼の羽織を抱きしめて――『たしかにあった幻』 「きもの de シネマ」vol.73

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銀幕に登場する数々の着物たちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だって着物で愉しみませんか。今回の注目作は、8年ぶりのオリジナル脚本で撮られた河瀨監督最新作『たしかにあった幻』です。

こちらも公開中!

2026.01.30

カルチャー

夏木マリさんが全編着物姿で“粋なおばあちゃん”を体現『ほどなく、お別れです』 「きもの de シネマ」vol.72

臓器移植医療×行方不明者問題から「命」を問う

立春を迎え、新たな年が始まりました。ごきげんよう、椿屋です。

2025年、河瀨直美監督には7本の記事にご登場いただきました。やっと、やっと!監督の映画を紹介することができます。

2月6日公開『たしかにあった幻』は、愛のカタチと命のつながりをモチーフに描かれる、珠玉の人間ドラマです。

©CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNANFILMS - 2025

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2025.01.02

インタビュー

「対話」を通して分断を超えたい― 映画作家 河瀨直美さん(前編)

主人公は、フランスから来日した医師のコリー(ヴィッキー・クリープス)。神戸にある臓器移植医療センターで働きながら、小児移植医療の促進に取り組んでいるものの、西欧とは異なる日本の死生観や倫理観の壁に阻まれ、現場の体制改善や意識改革に頭を悩ませる毎日を送っています。

そんな彼女の支えとなっているのは、屋久島で運命的な出逢いを得た恋人・迅(寛一郎)。ただ、彼は自身の誕生日でもある7月7日に突如として姿を消してしまうのです。

©CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNANFILMS - 2025

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※Instagramの画像から。https://www.instagram.com/p/DSeJm1lE8FA/?utm_source=ig_web_copy_lin k&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療と、年間約8万人にも上る行方不明者問題をテーマに掲げ、他者との関係性の中に存在する“愛”に目を向け、“生”の意味を問いかける本作。

第78回ロカルノ国際映画祭でのワールドプレミア上映にて、河瀨監督のマスターピース(傑作)と評された物語が、いよいよ日本でも公開です。

2025.04.13

インタビュー

和裁で日本から世界救う!と、本気で願う。 映画作家 河瀨直美さん(後編)

河瀨監督に聞く!迅の羽織に込めたメッセージ

――作中、迅の不在を象徴的に見せる羽織の存在感がとても印象的でした。あの羽織を重要なアイテムとして使おうと思いつかれたのは、どのタイミングだったのでしょうか。

河瀨直美監督(以下、監督):ヴィッキー・クリープスのオーディションを行った日です。パリの制作会社の一室にベルリンからやってきた彼女が身につけていました。

とにかく彼女のとても大切な人からの形見のようなものだと聞いて、迅を想うコリーとしてヴィッキーが存在するために作中に取り込もうと試みました。夏の神戸のコリーのアパートに存在したときに、とても印象的な柄行だと思いました。

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――映し出されていない羽織の背景など、撮影をするために監督が想定されていたことはありましたか?

監督:劇中では、コリーの両親が日本を大切に思っている文学者だという設定でした。なので、パリの実家にすでにそれがある様子も撮影しました。実際編集ではそのシーンを落としましたが、コリーの心情の中で日本は両親を想うと同時に、行ったことのない神秘のような存在でもありました。

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※Instagramの画像から。https://www.instagram.com/p/DRoE2Rqk9zr/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZ A==

――ヴィッキーさんの私物でもある羽織には、たくさんの思い出が詰まっているのですね。

監督:ヴィッキー・クリープスは、この作品に入る前に完成させた作品で共演者のギャスパー・ ウリエルさんをスキー事故で亡くしています。亡くなる直前にはパリで会って、戻ったらまた会おうといっていたのに、帰らぬ人となりました。

『Plus que Jamaisr』で共演したふたりは、とてもリアリティのある表現の中で、公私共に親しくなっていたと聞いています。そんな彼の形見の羽織は『たしかにあった幻』でも、ヴィッキーが想いを寄せるギャスパーが、コリーの想いを寄せる迅とかぶるシーンがたくさんありました。

私とヴィッキーは、撮影の合間に「ギャスパーが今、ここにいるね」というような話をたくさんしました。そんな想いを体現させるような、この素敵な羽織です。

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監督が語る!出演者たちの奇跡的な存在感

監督の作品に欠かせない役者といえば――誰もが、『萌の朱雀』(1997年/ビターズ・エンド)で鮮烈なデビューを果たした尾野真千子さんを思い浮かべるのではないでしょうか。

©CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNANFILMS - 2025

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「真千子がすごかったのは、亡くなった息子を思い出して『出口が見えないねん』と言って、『今日なぁ、あの子のな、命日やねん』と涙するところ」

と、監督は撮影を振り返ります。

「あのシーンは、本来はふたつのシーンとして別々のシチュエーションで撮るはずだった流れを、本番で真千子がひとつにしたんです。感情がそうなってしまったんですよね。あのときはスタッフもモニターを見ながらみんな泣いていました。私は撮影中に、これ!というシーンが3つ撮れたらこの映画は傑作になると言っていたんですけど、あのシーンがそのひとつめでした」

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そして、『あん』(2015年/エレファントハウス)での樹木希林さんとの共演も記憶に刻まれている永瀬正敏さんについては……。

今回、大きな仕事を断って数日だけのこちらの撮影に参加されたという永瀬さん。

「実は永瀬くんは、幼少の頃に実の弟さんを心臓病で亡くされています。その時のご両親の様子を想うとなんとも言えない気持ちになる中、今回そのご両親の想いを代弁するかのように、息子を亡くす父の役を引き受けてくださいました。永瀬君が息子のことを語るシーンは『これ』という二つ目のシーンとなりました。」

作中、永瀬さんは出身地でもある宮崎県・都城の方言で話しておられます。貴重なローカルでのセリフもぜひお聴き逃しなく!

ちなみに、余談ではありますが。2月27日公開の『木挽町のあだ討ち』出演者インタビューにて、当連載クルーで東京まで取材に行ってきました!

©CINÉFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNANFILMS - 2025

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本作にも出演されている北村一輝さんにお話をお伺いする機会を頂戴しましたので、そちらの様子は近日リリース予定です。どうぞご期待ください。

取材中、河瀨監督の座組についてお伺いすると、「河瀨監督は独特だから」と笑ってらした北村さん。独自の感性で“愛”と“命”に真正面から向き合い続ける河瀨監督の最新作は、ぜひ劇場で。

2025.02.11

インタビュー

【対談】映画作家 河瀨直美さん × 能楽師 田中春奈さん ―世界平和のため、家内安全を願う。

2025.07.17

インタビュー

【対談】映画作家 河瀨直美さん × 東大寺塔頭宝珠院住職夫人 着付士 佐保山素子さん ―語り尽くせぬ、奈良への愛。

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