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甘酸っぱい純愛☆令和の異類婚姻譚『鬼の花嫁』 「きもの de シネマ」vol.75

甘酸っぱい純愛☆令和の異類婚姻譚『鬼の花嫁』 「きもの de シネマ」vol.75

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銀幕に登場する数々の着物たちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だって着物で愉しみませんか。今回は、シリーズ累計650万部突破の大人気作品を実写映画化した『鬼の花嫁』のファンタジックな衣裳に注目します。

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2026.02.20

カルチャー

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乙女心を鷲掴み♡王道の和風恋愛ファンタジー

全国で桜の蕾が綻ぶ季節がやってきました。ごきげんよう、椿屋です。

可憐で、華やかで、ときに幻想的でもある桜花のような映画――『鬼の花嫁』が公開となりました。

本作は、あやかしと人間が共存する世界の物語。あやかしの頂点に立つ鬼の一族「鬼龍院家」の次期当主である玲夜(永瀬廉)と、平凡な女子大生・東雲柚子しののめゆず(吉川愛)の運命的な出逢いを描く究極のラブストーリーです。

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

”全角度国宝級”の異名を持つ永瀬さんの初の本格恋愛映画は、もう、とにかく心臓が跳ねまくる胸キュンの宝石箱のよう。幾度「くぅー!!甘酸っぺぇ!」と拳を握り締めたことでしょう。

ド直球なラブは照れるわ……という方もいらっしゃるでしょうが、「きものと」読者の皆さんにとって、本作は見逃せない一本!何しろ、それはもう美しい衣裳がファンタジーな世界観の構築に一役も二役も買っているのですから。

今回は、そんな素敵な衣裳を担当された須藤藍里さんに、制作の裏話と見どころをお聞きしました。

キャラ構築に欠かせない衣裳とヘアメイク

あやかしには様々な能力を持つ種族が存在し、そこには厳格なヒエラルキーが存在します。

名実共にその上位を占めるのが、「鬼」「妖狐」「烏天狗」の三大種族。中でも「鬼」の一族である鬼龍院家は、あやかしのトップの座に君臨しています。

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

それぞれの家には異なる色のイメージがあり、それを基調とする個性的な衣裳の数々に見入ってしまうこと必至。

「今回、キャラクターデザインでBabymixが入っており、衣装やヘアメイクに関するアイディアの多くはBabymixを中心につくり上げました。柚子の赤とクライマックスとなる舞踏会での玲夜の青は、赤鬼青鬼のイメージがひとつの着想になっています。

玲夜や使用人など鬼チームは基本的に黒ですが、襲名式や会合などの特別な場では、代々受け継がれている特別な青にしています。妖狐は稲荷神社のお稲荷様のイメージから白と赤。烏天狗は当初、暗いトーンで準備をしていたのですが、制作過程で『派手なまま没落した感じを出す』という方向に変えました。スパンコール素材や様々な柄の生地を身に纏っています」

と、須藤さん。

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

中でも一際見事な妖艶さを纏っているのが、狐雪家当主・狐雪撫子こせつなでしこを演じる尾野真千子さん。

「こんなに髪型やメイクが特殊なことも初めてで、自分でもとってもワクワクした挑戦でした」

とのご本人談にもあるように、まさかの顔に縄!これについては、

「お顔の縄は、着脱できるマスク型のものを専門の方に作っていただきました。芝居の邪魔をしないデザインにすることが工夫のひとつだったと思います。ドレスはBabymixのデザインを元にプロの方に一からお願いしたのですが、立体的な襟の表現と、着物の袘をドレスのデザインに落とし込んでいく工程が難しく、何度も調整を重ねながら仕上げていただきました」

とのこと。撫子が登場するシーンはどれも印象的ですので、とくと“縄マスクのオノマチ”をご堪能あれ。

和洋の区別なくつくり上げられた衣裳の魅力

作中、まず真っ先に目についたのは、玲夜が着用している和服・洋服に大きめの家紋が入っていること。

「家紋を入れるのは監督のアイディアです。ジャケットにも着物と同じ考えで家紋を入れました。今回はあやかしという設定があったため、家紋に関しても一般的なルールにとらわれず、“権力のある一族”ということがより伝わるよう大きくしました」

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

さらに、玲夜のゴールドでリンクさせたアクセサリーの類も、彼の魅力を一層引き立てています。

「前提として、この作品においては、和装/洋装という区別をしていませんでした。そのため、衣装の合わせ段階で、古典的な和装のものからデザイン性の強い現代的なものまで、幅広くアイテムを用意しました。それらを組み合わせて試していく中で、アクセサリーも含めてバランスを見て決定していきました」

という過程を踏まえたコーディネートをじっくりとご覧ください。

忘れてはならないヒロイン・柚子の舞踏会での装いも、大変なインパクトがあります。加えて、玲夜の元婚約者・鬼山桜子(白本彩奈)の出で立ちも目を引きます。

「舞踏会の柚子の衣装は、踊ったときに動きが出ることにこだわっています。着物の裾から出るスカートは、衣裳をリサーチしている中で見つけた鶴の柄の赤い襦袢をメインに、軽くて柔らかい生地を重ねています。動いた時に色や素材が重なって見えることで、華やかさが感じられるようになっています。

桜子は『登場人物の中で最も和装』という設定があったので、普通に振袖を着ているような印象は残しつつ、人間に見えてしまわないよう探っていった結果、衿元の重ねと羽織に行き着きました」

重ねの多い衿と透け感が絶妙な羽織にご注目を!

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

©2026「鬼の花嫁」製作委員会
妖狐一族の狐月瑶太(伊藤健太郎)とその花嫁に選ばれた、柚子の妹・東雲花梨(片岡凜)は幼い頃からの運命の番

ディテールまでつくり込まれた衣裳あってこそ

本作は、当たり前のようにあやかしがいる世界が舞台。だからこそ、その不思議な世界観の下支えをする重要な役目を衣裳が担っていると言っても過言ではありません。作品づくりにもたらす衣裳の力を、須藤さんはどのように考えているのでしょうか。

「照明や音響のような様々な役割があって作品全体の世界観やキャラクターはつくられていると思いますが、その中でも衣裳は観ている方の目に直接触れる部分なので、より直感的に伝わりやすい要素だと感じています」

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

最後に、衣裳的観点からの本作の見どころを教えていただきました。

「あやかし役の方はもちろん、パーティーシーンにおけるエキストラの皆さんにもそれぞれ衣裳に着替えていただき、ヘアメイクも含めて細かくつくり込んでいます。多種多様なキャラクターが登場しているので、細かいところまで注目していただけたら嬉しいです」

©2026「鬼の花嫁」製作委員会

©2026「鬼の花嫁」製作委員会
柚子とその妹・花梨は確執ある姉妹。鬼の花嫁という立場が彼女たちの関係に大きく関与している

本作は、キャラクターをつくり出す衣裳の力を目の当たりにできる作品です。ぜひ大きなスクリーンであやかしのいる世界に没入してください。

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