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留袖の重さは人生の節目の重さ「きものとわたしのエイジング」vol.11

留袖の重さは人生の節目の重さ「きものとわたしのエイジング」vol.11

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花嫁の母は夫の妹。結婚式場にて、綺麗に着付けをしていただいた初の黒留袖姿は、少し貫禄を帯び、娘さんを育て上げ、送り出す母親としての誇りなのか、眩しく輝いて見えました。

2023.10.14

よみもの

きものとメガネと老眼鏡 「きものとわたしのエイジング」vol.10

10年目の親族席

10月半ばの吉日、私はこの人生で初めて「留袖」(色留袖)を纏いました。

義姪(24歳)の結婚式に伯母という立場での参列でした。

色留袖姿の普子さん

10年前に、私の4人目となる夫の家族に一員として迎えられ、初めてのおめでたい親族席。

記憶の底に沈めていましたが、1回目の離婚の後、友人の結婚式に出席しようとした際に言われた「あなたが出るのは縁起が悪い」という言葉も、この時代となっては笑い話にしかならず……

普子さんと旦那さま

むしろ4回も結婚できたことはかえって縁起が良いのではないか、とすら思えるくらいに、細かった私の心も太くなりました。

装いに思いを重ねる

結婚式の日取りが決まり、式への参列と披露宴への出席を伝えてから、私たちの準備も少しずつ始まりました。

夫は礼服。問題は私です。

結婚式に出席する親族は、他の親族との打ち合わせが必要なもの。今回の場合、夫の妹(花嫁の母)へのお伺いと、義母や義妹とのバランスも考えなくてはなりませんでした。

花嫁の母は黒留袖。
義母と義妹は洋服、という間の格を考えて私は「一つ紋の色留袖」にしました。

2019.12.25

まなぶ

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色留袖の比翼仕立てには「祝いを重ねる」意味があり、半衿には菊の花の刺繍があしらわれたものを。

菊の刺繍が施された半襟

こちらも「不老不死、延命長寿、無病息災、邪気払い」などの意味がある吉祥文様です。

金銀と白をポイントにしたコーデの要は「2羽の鶴」のきもの。「夫婦鶴」は一度結ばれると、この先離れることなく、生涯連れ添うという夫婦円満をあらわすそうです。

3羽の鶴

あら!?よく見たら3羽いますね。

割り切れない奇数も縁起が良いので、花嫁が3人兄弟だからなのか、これから新しい家族が増えていく前触れという意味なのか……良きように解釈を。

松竹梅の帯

帯には松竹梅。

あまりにも古典的ではありますが、室町時代から続く吉祥文様ですね。

脈々と続いてきた自然の営みや、生命の輝きと力強さをあらわす模様は、やはりお祝いの席にはぴったりです。

2021.02.03

まなぶ

留袖とは?黒留袖と色留袖の違いや着用マナー、柄の選び方も解説!

半衿を縫い、小物を用意し、丁寧に荷造りをする間も「おめでとう」の思いが重なっていきます。

結婚式にきものという選択をしない場合、ここまでの準備はしないので、荷物も思いも、その重さは少し軽量化することでしょう。

髪型後ろ、水引
髪型後ろ、金銀箔

今回は、襟足の上がらないショートボブヘア、そしてグレイヘア移行中の微妙な髪色。

派手になりすぎずに華やかさをプラスするべく、綿密な計画の上、セルフヘアアレンジを頑張りました。

散りばめた金銀箔と水引き。
水引きにも、魔除けと、人を結ぶ、といった意味があるようです。

これで、頭のてっぺんからつま先まで「めでたい尽くし」が出来上がったわけです。

2020.03.04

まなぶ

【結婚式の着物の選び方完全ガイド】 親戚、友人、職場関係など,立場別にポイントを解説

花嫁の母と私

花嫁の母は夫の妹、彼女も黒留袖を着たのは初めて。

お互いそういう歳になったのだと実感しました。

娘さんと義妹さん

結婚式場にて綺麗に着付けていただいた義妹の黒留袖姿は少し貫禄を帯び、娘さんを育て上げ、送り出す母親としての誇りに輝いて見えました。

振袖を着た花嫁の妹も華やかで愛らしく、会場にきもの姿が親族の4人だけだったことがとても残念に思われました。

私は子どもは持ったものの親権を取らず(取れず)に生きてきましたので、黒留袖を着て晴れの姿を送り出すことは叶いませんでした。

それでも、今回初めて纏った色留袖のずっしりとした重さには、人生の節目のその重さが感じられ、同じ空で繋がっている私の家族の幸せを願わずにはいられませんでした。

結婚式ってほんと、いいですね。

2020.11.11

まなぶ

訪問着とは?よくある疑問にお答えします。

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