着物・和・京都に関する情報ならきものと

令和版ならではの説得力ある衣裳に注目『八つ墓村』 「きもの de シネマ」vol.81

令和版ならではの説得力ある衣裳に注目『八つ墓村』 「きもの de シネマ」vol.81

記事を共有する

銀幕に登場する数々の着物たちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だって着物で愉しみませんか。今月の注目作品は、ジャパニーズホラーの名手・清水崇監督が映像化したミステリーの金字塔『八つ墓村』です。

こちらも公開中!

2026.08.07

カルチャー

愛する人を胸に嫁ぐ、決意の晴れ着『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』 「きもの de シネマ」vol.80

不朽のミステリー小説『八つ墓村』、完全新作として映画化

ごきげんよう、椿屋です。今年の9-10月は、新作映画の公開が目白押しにて、いつもに増して劇場滞在時間が長くなりつつあります。みなさんも気になる作品がおありでしょうか。

本日には、当連載でもご紹介した『舞妓さんちのまかないさん』『阿修羅のごとく』を手掛けた是枝裕和監督最新作『ルックバック』(K2 Pictures)や、『野火』で知られる塚本晋也監督がベトナム戦争帰還兵アレン・ネルソンの体験を描いた『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』など話題作が公開する中、わたくしが注目したのは――横溝正史の名作!金田一耕助シリーズを映画化した『八つ墓村』です。

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

歴代様々な名優が演じてきた探偵・金田一耕助役に、歌舞伎以外には活躍の場を広げる尾上松也おのえまつやさんを迎え、金田一耕助登場80周年という節目に映像化に挑んだのは、『呪怨』シリーズをはじめとするJホラーの旗手として世界的にも有名な清水崇監督。

これまで幾度となくメディアミックスされてきた『八つ墓村』が、“怪奇幻想ロマン冒険譚”として再構築され、完全新作として甦りました。

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

舞台は、岡山県の山奥にある八つ墓村。

15年前に自分を捨てた母親が死んだというその地を訪れた大学生の井川辰弥いがわたつや(奥智哉)が、村の名家・田治見たじみ家において、因習に根差した忌まわしい“血の呪い”に巻き込まれます。

奇妙な探偵・金田一耕助(尾上松也)と共に、その不可解な連続殺人事件の謎を追う羽目に……。

原作&過去作を大胆アレンジ!令和版キャストの魅力

横溝正史が好んだ「謎の骨格に論理の肉付けをして、浪漫の衣を着せましょう」という文句のような作品を目指した本作は、基本設定や因習モノのエッセンスはそのままに、昭和初期から現代に時代を変更するなど、随所に令和の観客に向けた脚色が施されています。

例えば、金田一のキャラクター。

よれよれの着物と袴に丸いハット――原作やこれまでの映像作品でお馴染みのルックスは、シャツ&パンツ+中折れ帽にコート姿にブラッシュアップされ、“らしさ”を感じさせつつも、現代でも通じるオールドファッションが採用されています。

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

巻き込まれ型の主人公・辰弥とストーリーテラーである金田一探偵以外にも、呪われた物語にリアリティをもたらすのは、個性派揃いのキャストの面たち。

中でも、辰弥の兄・久弥ひさやとその父・要蔵ようぞうの2役を担った滝藤賢一たきとう けんいちさんの熱演たるや!それぞれの役どころを演じ切る上で、とくに、鬼神の如き存在となる要蔵の走りは必見です。

「狂気に駆られていく……心身ともたいへんな役でしたが、みごとに取り憑かれてくれました」

と、監督も大満足だったよう。

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

令和の時代にありながら、床に伏している際に浴衣を寝間着としているのも、閉鎖的な村の旧家の人間らしくて納得です。凶行に及ぶ要蔵のビジュアルと共々、ご注目あれ。

ちなみに、浴衣といえば……。深夜、辰弥と一緒に鍾乳洞へ行くシーンでは、浴衣の上にコート&ハットというスタイルの金田一探偵。歴代の名作に登場した金田一耕助へのオマージュらしきコーディネートを見せてくれています。

2025.04.07

ファッション

六代目尾上松助夫人・井上盛恵さん「歌舞伎俳優 ご夫人方の装い」vol.9  ―松助に松也、“松”にちなんだものを身に着けて

同じ衣裳と化粧で双子を演じ分ける、高島礼子の役者魂

さらに、「きものと」読者にぜひとも愉しんでいただきたいのは、「体育会系のノリで、怪しげな老婆に体当たりで臨んでくれた」と清水監督が絶賛する、高島礼子さんの一人二役。

辰弥の大叔母である田治見小竹・小梅姉妹を演じ分けておられます。

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

田治見家を仕切る双子を演じるにあたって、老けメイクを施した高島さんは、全く同じ装いに髪型という出で立ちです。見た目の違いは、簪の色(小竹が緑、小梅は紫)だけにも関わらず、表情や口調で見事に別々のキャラクターに。

もちろん、ふたりの共演シーンは合成。ロングショットではスタンドインを使って撮影されていますが、八つ墓明神の石段を降りるシーンでは小竹がフレームアウトした後、カメラの死角から階段を駆け上り、改めて小梅として降りてくるという抜群のフットワークを発揮!

障子の向こうから交互に顔を出す場面の早変わりもお見逃しなく。

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo seishi/KADOKAWA

ちなみに、1977年公開の野村芳太郎よしたろう監督版で殺される侍役を演じていた五頭岳夫ごずたけおさん(2024年Netflix『地面師たち』、NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』で遅咲きのブレイク!)が、死体を発見する農夫役に扮しているのも往年のコアなファンにはたまらないサプライズかと存じます。

2026.07.20

インタビュー

きもの、着てみませんか?

2026.03.29

ファッション

徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • マンスリー

HOT KEYWORDS急上昇キーワード

記事を共有する