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【Q11】太っていて、中古のきものを着られない「いまさんの着物お悩み相談室」

【Q11】太っていて、中古のきものを着られない「いまさんの着物お悩み相談室」

2023.11.18 （2023.11.22 更新）

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エッセイスト・イラストレーターきくちいまさんによる人気連載、”着物お悩み相談室”。Instagramにて実際にいただいたお悩みより……ふくよかさんの着物サイズについてご回答いただきます！

かつて子どもを宿したとき、臨月まで仕立て替えをせずにそのままきものを着ていました。

大きくせり出したお腹のせいで、多少前は開きやすくなりますが、家ではかっぽう着を着たり、出かけるときは長羽織を着たりしてごまかせばなんとかなるんです。

ところが年齢が50カラットになったら（50を過ぎると年齢の単位は歳ではなくカラットと呼ぶことを推奨中）、全体的に肉がついて、しかも落ちません。痩せて見えるインナーをつけて、痩せて見える着付けをして、なんとかしのいでいる状態です。

では、どうしたらいいのか。

中古のサイズ問題については、それがどのくらいの古さなのかにもよります。アンティークのきものは全体的に小さめのものが多く、布がダメージを受けているため、仕立て直しが不可能なものもあります。これに関しては、泣いてあきらめざるを得ません。

リサイクルのものでしたら、物によっては裄も丈も出せる場合があります。その場で店員さんに確認してもらうのがいいかと思います。

つまり、大事なのはマイサイズにできるかどうかなのです。ぴちぴちサイズではみだしながら着るよりも、マイサイズでゆったりきっちり着たほうが太って見えません。

胸が大きく襦袢の衿がうまく合わせられない場合は、長襦袢ではなく半襦袢にして、脇を大きくあける仕立てにすると胸を包むように衿を合わせられるようになり、前がはだけにくくなります。

きものの寸法も、かつては「女寸法」や「既定寸法」といって、後ろ幅7寸5分、前幅6寸で作られることがほとんどだったそうですが、実際はどちらも8寸まで出せます。とはいえ、バストもヒップも110ｃｍまでが目安と聞いたことがあります。それ以上になった場合は、胸をつぶすブラや腹肉を押さえ込むガードルなどが必要になってきそうですね。

きものの選び方にもコツがあります。さきほど寸法のところで出ましたが、一般的な訪問着や付下げは既定寸法で柄を付けられることが多いのです。

つまり、幅をいっぱいに出すと脇の柄がつながらなくなってしまう恐れがあります。

付下げを選ぶ際は、脇の柄がつながっていないものを。横にたなびいている柄はいいのですが、ななめになっているものは選ばないほうがよさそうです。

そういえば、タレントのIKKOさんはけっこう立派な体格をしていらっしゃいますが、着姿がとてもエレガントで美しいですよね。反物の幅も、かつてはキングサイズが珍しかったのに、今やそれが当たり前になりました。時代を追うごとに広くなってきているのです。

ちなみに有名なふくよかタレントさんのオーダーの場合は、広幅（きものの生地幅ではなく洋服の生地幅）で作るそうです。

すでに似合う洋服を見失って久しいのですが、先日親しい友人から「中年太りすると洋服が似合わなくなる！いまさんみたいにきものを着ているほうがおばさんっぽくなくていいよね」と言われました。

堂々ときものを着ていこうと思います！みなさんもぜひご一緒に～

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。