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筆や万年筆と過ごす、緩やかな時間 「ちょっとだけ、ていねいな暮らし」vol.8

筆や万年筆と過ごす、緩やかな時間 「ちょっとだけ、ていねいな暮らし」vol.8

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SNSやメールも活かしつつ、たとえ枚数は少なくても、その年に一番お世話になった方々や、好きな人たちへは、手書きの年賀状を送りたいと思うようになりました。

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十一月の声を聞くと、だんだん気忙しくなってきますが、年賀状の話題もそろそろ聞こえてくるころですね。

この数年、私には心に決めていることが一つあります。

それは、小筆で手書きの年賀状をしたためよう!というものです。

年賀状をしたためよう
年賀状や手紙をしたためる文具

ほんの数枚でもいいのです。あえて時間を作って小筆をとります。

というわけで、今回は年賀状や手紙をしたためる文具についてお話ししたいと思います。

暦はまだ十一月でも、すぐにやって来る年末に向かって、あくせくした気持ちで年賀状を準備することは私にもあります。

昨今は「年賀状をやめました」と公表し、SNSやメールなどで新年の挨拶を交わすのも普通になりましたが、これがかえって私には都合のいい時代になったようにも思えるのでした。

時間を作って小筆をとります

SNSやメールも活かしつつ、たとえ枚数は少なくても、その年に一番お世話になった方々や、好きな人たちへは、手書きの年賀状を送りたいと思うようになりました。

いまは紙の利用を少なくしようという時代でもありますが、そもそも和洋問わず画材や文具、紙そのものが大好きなので、それを使って便りを出したいというのが理由の一つです。

小中高校生時代には大の苦手だった書道や書き初め。

手書きの年賀状を送りたい

ですが、社会人になって、穏やかで良い先生に出会ったことから、書道とあらためて付き合ってみる気になりました。

初めは基礎の漢字や隷書など習いましたが、先生が変わるうちに仮名文字に行きつきました。

書道とあらためて付き合ってみる

仮名文字を書く時の文具にも惹かれました。小さな硯にわずかな水を垂らして墨を磨り、華奢な小筆で表情やさしげな紙に書く。

そんな小ぶりな文具一式は、私の暮らしにはちょうど扱いやすい大きさなのです。

忙しい合間に小筆をとって紙に向かう時間を作ると、不思議なことに、かえって気持ちに余裕が生まれるとでもいいますか、時間の持ち方に緩急をつけられる感じがします。

小ぶりな文具一式
墨から漂ってくるよい香り

墨から漂ってくるよい香りにも、気持ちを落ち着かせる効果があるのかもしれません。

年賀状も「絶対にやらねばならない」という縛りではなく、むしろ自分が書きたいからやるというスタンスでいる方が気楽です。

そう思うようになってから、暮れに投函できなくても気にしなくなりました。

年が明けてからゆっくり書いたり、さらに間に合わなかった時には、寒中見舞いを書くことにしています。

そうそう、毛筆とは別に、私が長いこと憧れている文具の一つは万年筆です。

パーカーの万年筆

高校生になったお祝いに祖父から贈られたパーカーの万年筆は忘れられない一本で、社会人になってからもインクを交換させながら愛用していましたが、仕事でもさまざまなペン類を触るうちに、いつしか万年筆から遠ざかってしまいました。

何も毛筆でなくても、人の手によく馴染んだ万年筆やペンで、サラッと書かれた年賀状や手紙を受けとったときのうれしさは、きっとどちらも同じ。

小さな硯箱

年賀状も、ほんの一言、手書きのメッセージが添えてあると、そこに目がいきます。

私も、手にした人の目にとまってくれたらうれしいなぁと、そんな気持ちで、今年も年賀状を書こうと思います。

手のひらに乗るサイズの小さな硯箱は、むかし京都土産に買ったもの。いつか旅先から、こんな文具で手紙をしたためることも夢見ています。

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