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『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』 東京都現代美術館「きものでミュージアム」vol.19

『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』 東京都現代美術館「きものでミュージアム」vol.19

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パリ、ロンドン、NYと世界を巡回してきた『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展が、東京都現代美術館で開催中。75年の歴史はもちろん、歴代のクリエイティブ ディレクターたちの作品が圧倒的に美しい空間となって!夢のような世界をぜひ。

2023.01.06

よみもの

『YUMING MUSEUM』 東京シティビュー 「きものでミュージアム」vol.18

クリスチャン・ディオールの回顧展、いよいよ開催

今回は、東京都現代美術館(MOT)で開催中の『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』をご紹介します。

※本コラム内の美術作品の写真につきまして、各美術館プレスより撮影および掲載の許諾を得て使用しております。

ポスタービジュアル

Photo © Yuriko Takagi

パリ、ロンドン、ニューヨークと世界を巡回してきた「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展がいよいよ日本で開催。フロランス・ミュラー氏のキュレーションにより、75年を超えるクリスチャン・ディオールの歴史から選び抜かれた作品の数々が展示されています。

世界的に活躍する建築家・重松象平氏が、日本文化へのオマージュとして新たな空間をデザイン。その空間演出がとにかくすばらしいのです!

写真家・高木由利子氏の写真とアーティスト・柴田あゆみ氏の切り絵作品も会場を飾り、さらには東京都現代美術館のコレクション作品も彩りを添えています。

クリスチャン・ディオール、そして後継者である6人の歴代のクリエイティブ ディレクターたち(イヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリ)の作品が、13のセクションで展開。

セクションごとに全く異なる演出にて構成されており、セクションを移動するたびに圧倒され、その美しさに言葉を失います。

ファッションに少しでも興味がある方は必見の展覧会です!

ディオールのはじまり「ニュールック」

メゾン『クリスチャン・ディオール』は、1946年にパリで創業しました。

創業者のクリスチャン・ディオール(1905-1957)は、それ以前にはギャラリーを経営し、ピカソ、ミロ、マティス、などの作品を展示していました。芸術家のセンスを持ってメゾンを創業したのです。

瞬く間に評判は高まり、ディオールは世界で展開するオートクチュールのメゾンとなりました。

“Bar(バー)"ドジャケット

手前左が“Bar(バー)"ジャケット
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

ディオール最初のコレクションは、「ニュールック」と評され、世界的に知られました。

最初の展示は、その象徴である“Bar(バー)"ジャケットをはじめ、6人の後継者たちが制作した「ニュールック」の新たな解釈のドレスが並びます。

“Bar(バー)

“Bar(バー)"ジャケット

1957年にディオールは亡くなりましたが、歴代の後継者であるクリエイティブ ディレクターたちがメゾンを引き継ぎ、現在に至ります。

「ニュールック」の新たな解釈のドレス

「ニュールック」の新たな解釈のドレス
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

ディオールと日本の関係

「ディオールと日本」のセクションには、日本の芸術と文化に影響された作品が並びます。

クリスチャン・ディオールは”日本びいき”として知られています。子ども時代を過ごした自宅は、歌麿や北斎の大きな日本画が壁を飾っていたそうです。

そしてディオールは、日本に最初に進出した西洋のファッションブランドでした。

1954年には、きもの好きのみなさまにはおなじみの龍村美術織物の生地を使用し、コートの"Rashomon(羅生門)”およびアンサンブル "Utamaro (歌麿)”、”Tokio (東京)”を制作しました。

左:"Rashomon(羅生門)”

左:"Rashomon(羅生門)”

さらに1959年、メゾンディオールは、明仁親王殿下(現・上皇陛下)と美智子さま(現・上皇后陛下)の結婚式用のドレス3着を制作するなど、皇室とも深い縁があります。

「皇室とディオール」

「皇室とディオール」の展示。6は龍村美術織物の生地を使用したコート

その後の歴代ディレクターたちもまた、日本文化に影響された作品を制作しています。
ジョン・ガリアーノの葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》に触発されたドレスは特に印象的です。

ジョン・ガリアーノの葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》に触発されたドレス

ジョン・ガリアーノの葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》に触発されたドレス

「ディオールと日本」展示風景

「ディオールと日本」展示風景

「ディオールと日本」展示風景

「ディオールと日本」展示風景

絞りや折り紙からインスパイアされたドレスも

絞りや折り紙からインスパイアされたドレスも

ディオールと6人の後継者たち

歴代のデザイナーごとの作品

「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

創業からわずか11年で、心臓発作にて急逝したクリスチャン・ディオール。

以後、6人のファッション界の鬼才たちがメゾンの指揮を執ります。

クリスチャン・ディオールの作品

クリスチャン・ディオールの作品

クリスチャン・ディオールの作品

クリスチャン・ディオールの作品

彼らはクリスチャン・ディオールが残したものに忠実でありながら、独自の創造性と解釈でメゾンを継承していきました。

このエリアには、歴代のデザイナーごとの作品が並びます。

ジャンフランコ・フェレの作品

ジャンフランコ・フェレの作品

ジョン・ガリアーノの作品

ジョン・ガリアーノの作品

マリア・グラツィア・キウリの作品

マリア・グラツィア・キウリの作品

白一色の世界!ディオールのアトリエ

トワルの並ぶセクション

トワルの並ぶセクション

コレクションの準備はデザイン画からはじまります。

デザイン画をもとに「トワル」と呼ばれるドレスの試作品がコットン生地で作られます。トワルはドレスの原型。それが80点以上並ぶさまは…美しく、息をのみます。

トワルを見上げる

幻想的なディオールの庭

こちらは日本庭園をイメージしたエリア。ディオールは花と庭園をとても愛していました。

切り絵が無数に天井から下がる

「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

藤の花や、さまざまな葉を表現した切り絵が天井から無数に下がります。これは、切り絵アーティスト 柴田あゆみさん制作によるもの。

それらが鏡の床に映り込み、えも言われぬ幻想的なムードを醸し出しています。そこに明るい色彩の華やかなドレスが並び、とても生命力にあふれていました。

切り絵が幻想的

切り絵が幻想的

ディオールの庭の展示風景

ディオールの庭の展示風景 
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

ミス・ディオールの展示を観る

ディオールの庭の一角にあるミス・ディオールの展示を観る

世界中のスターに愛されたディオール

ディオールは、世界中のスターたちから愛されました。

このセクションには、夜空に無数の星がきらめくかのような空間に、スターたちのために作ったドレスが並びます。

スターたちのドレスが並ぶ

中央の青いドレスはダイアナ妃のもの。その右の黒いドレスはマリリン・モンローが最後に着たドレスです。一角にはアンディー・ウォーホル《マリリン・モンロー》が飾られています。

アンディ・ウォーホル《マリリン・モンロー》

アンディ・ウォーホル《マリリン・モンロー》

そのほかには、シャーリーズ・セロン、ナタリー・ポートマン、日本の中谷美紀、水原希子などのドレスが並びます。

スターたちのドレス

スターたちのドレス 
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

クライマックスはディオールの夜会

アトリウムでは「ディオールの夜会」が展開されています。

空間デザインを担当した重松さんは、このアトリウムの大空間を無駄なく使いたいと考え、上から横から両面からの視点で構築したと語ります。

「ディオールの夜会」展示風景

「ディオールの夜会」展示風景
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

雛壇状にイブニングドレスをまとったマネキンが並び、そのまわりにはプロジェクションマッピングが投影されています。

壇の上部には鏡が斜めに取り付けられ、無限に空間が広がっているかのように。ここを下から、上から眺められるようになっています。

「ディオールの夜会」展示風景

「ディオールの夜会」展示風景

「ディオールの夜会」展示風景

「ディオールの夜会」展示風景

アトリウムは吹き抜けでとても高さのある展示スペースなのですが、これほど最大限に生かした展示を今まで観たことがありません!

圧倒され本当に言葉を失いました。これほどドラマティックでドレスを引き立てる演出があるでしょうか…ドレスがまるで踊りだすようでした!

その他のセクションもすばらしく

ミスディオールのバッグが並ぶエリア

ミスディオールのバッグが並ぶエリア 
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

ほかにも、「ミスディオールのバッグが並ぶエリア」「ディオールのドレスが表紙の雑誌のエリア」「色ごとに原寸大とミニチュアのドレスが並ぶエリア」など、印象深い展示があふれていました。

ディオールの洋服が表紙の雑誌のエリア

ディオールの洋服が表紙の雑誌のエリア
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

色とりどりの原寸大とミニチュアの衣装

色とりどりの原寸大とミニチュアのドレス
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO)

千枚のスカーフで作られた展示

千枚のスカーフで作られた展示
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

世界の衣装をもとにしたドレス

世界の衣装をもとにしたドレス
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

言葉にできない感動体験

何度声にならない歓声を上げたことでしょう…実際声がもれていたかもしれません。

展示風景

「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展示風景(2022年)東京都現代美術館 ©DAICI ANO

東京都現代美術館所蔵作品の数々やプロジェクションマッピング、光と闇、鏡、和紙などが随所かつ効果的に使われ、また高い天上のある空間をあますところなく縦横無尽に用いた、美術館の箱物としての可能性まで広げる…そんな展示でした。

どんな言葉を並べても、この展覧会のすばらしさをあらわすのには足りません!

圧倒的な――
夢のような――
煌びやかな――

百聞は一見にしかず。ぜひお出かけください!

美術館エントランス
美術館エントランス

美術館エントランス

この日の装い

今回は、クリスチャン・ディオールのドレスと並ぶのにふさわしいきものを選びました。

この日の装い

室染工の華やかな訪問着に『観世流水円環文』という銘がついた加納幸の袋帯をあわせて。

三分紐は道明。パールの帯留めを合わせています。

この日の装い 帯回り
この日の装い

この日の装い(内覧会当日のみの特別装飾の前で)

ディオール展に触発されて、洋服のおしゃれもしたくなりました。

今回ご紹介の展覧会情報

クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエポスター画像

ウイメンズ クリエイティブ ディレクターのマリア・グラツィア・キウリによる春夏 2020 オートクチュール コレクションよりLOOK#220のドレス  Photo © Yuriko Takagi

クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ

東京都現代美術館 企画展示室 1F / 地下2F
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Christian_Dior/ 

日 時:2022年12月21日(水)~2023年5月28日(日)
    10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)

休館日:月曜日

※本展は日時指定予約制です。

※詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。

その他、おすすめの美術展

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

「佐伯祐三 自画像としての風景

「佐伯祐三 自画像としての風景」

東京ステーションギャラリー
https://saeki2023.jp/

日 時:2023年1月21日(土)~4月2日(日)
    10:00~18:00(金曜日~20:00)
    ※最終入場は閉館時間の30分前

休館日:月曜日(3月27日は開館)

『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』ポスター

六本木クロッシング2022展:往来オーライ!

森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
https://www.mori.art.museum/jp/

日 時:2022年12月1日(木)~ 2023年3月26日(日)
    10:00~22:00 
    ※会期中の火曜日は17:00まで 
    ※ただし、3/21(火・祝)は22:00まで 
    ※最終入館は閉館時間の30分前まで
   
休館日:会期中無休

※詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。

◆ 読者プレゼント ◆

『佐伯祐三 自画像としての風景』
佐伯祐三 《郵便配達夫》

佐伯祐三 《郵便配達夫》 1928年 大阪中之島美術館

さて、今回は『佐伯祐三 自画像としての風景』東京ステーションギャラリーの招待券を5組10名の方にプレゼント!ぜひ、きものでお出かけくださいね!

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※応募期間:2023年2月5日(日)まで

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