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木綿着物とは?特徴や着こなし方をご紹介

木綿着物とは?特徴や着こなし方をご紹介

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お手入れが簡単な木綿着物は、カジュアルなおでかけやおうち着物用に一着ほしい、という方におすすめの着物。木綿着物の着用シーンやメリット、おすすめの着こなしをご紹介します。

2019.12.26

まなぶ

紬・浴衣とは?種類や帯・小物合わせ・木綿着物を解説!【着物の種類 基本中のき!カジュアル編③】

「着物を着てみたいけれど、お手入れや管理が大変そうだからチャレンジできない」

といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないのでしょうか。

そういった方におすすめなのが木綿着物です。今回は、数ある着物のなかでも初心者におすすめな、木綿着物の魅力や種類、着こなし方について解説いたします。

木綿着物とは?

「木綿着物」とは、その名の通り木綿で作られた着物のことです。

他の素材の着物と比較すると、木綿着物は着やすくお手入れが簡単で、多くの人の支持を集めています。まずは木綿着物の特徴や着用シーンを見ていきましょう。

1. 木綿着物の格

着物には大きく分けて4つの格があります。

格の高いものから順に、礼装着(第一礼装)、略礼装着(準礼装着)、外出着、普段着、です。

この4つの格において、木綿着物は「普段着」の着物にあたります。

木綿着物は浴衣と混同されることがありますが、木綿着物では一般的に長襦袢や半襦袢など半衿の上に着物を重ねて着る一方、浴衣は素肌や肌着の上にそのまま着物を着る違いがあります。

2. 木綿着物の着用季節とシーン

木綿着物は、地風や素材感にもよりますが、基本的には真夏以外のスリーシーズンに着用されることが多い着物です。

正絹の着物とは異なり、木綿着物は一般的には単衣仕立てで仕上げられます。単衣の時期にしか着られないのではと思う人がいるかもしれませんが、寒い季節は冬用の肌着などを利用すると、木綿着物でも暖かく過ごすことができます。

また着用シーンとしては、木綿着物は洋服でいうTシャツとデニムのような立ち位置のカジュアルな着物であるため、気軽なランチやお買い物などのちょっとした外出時の着用に適しています。その他、汚れてもすぐに洗えるなどお手入れが簡単なことから、ちょっとした普段着としても気軽に着ることができます。

一方で、結婚式やパーティーなどフォーマルシーンでの着用にはあまり適さないとされています。

3. 木綿着物のメリット

木綿着物のメリットは主に以下の5つです。

1. 着付けが簡単
2. 幅広いシーズンに活躍する
3. お手入れが簡単
4. 水分を良く吸収し、肌に優しい
5. 比較的安価で丈夫

1. 着付けが簡単

正絹や化繊の着物の場合、慣れないうちは着付けの途中で着物がズルズルとすべってしまい、うまく着付けられないことがあります。その点、木綿着物の生地はすべりづらいので、着付けがとても簡単で着崩れも起こりにくく、慣れていない初心者でも安心です。

2. 幅広いシーズンに活躍する

木綿着物は絹と比べると生地が重く厚いので、裏地がついていない単衣に仕立てるのが一般的ですが、袷でなくても真夏以外のスリーシーズンに着ることができます。
冬でも暖かい肌着を着用し寒さをカバーすれば着ることも可能です。

3. お手入れが簡単

木綿着物はクリーニングに出さなくても自宅でお手入れすることができるため、雨の日や汚れが気になる場所でも気軽に着ることができます。自宅で洗濯する場合は、生地が傷むのを防ぐため、手洗いされるか、おしゃれ着用洗剤&ドライコースで洗うのがおすすめです。

洗った後はしっかりシワを伸ばして陰干しをして、どうしてもシワが気になるときには、当て布をして軽くアイロンをかけると良いでしょう。注意点として、デニムなど色落ちしやすいものと一緒に洗ってしまうと、色移りの原因になることもあるので、極力着物は単体で洗うようにしてください。

4. 水分をよく吸収し、肌に優しい

木綿着物は綿花を原料とした天然繊維で作られており、繊維の一本一本に撚(よ)りがかかっているため、空気を含みやすくふっくらと柔らかい肌触りです。また、吸湿性・吸水性にも優れているので、汗をかいても蒸れにくく肌にも優しい特徴があります。

5. 比較的安価で丈夫

木綿着物は比較的安価で、素材的にも丈夫です。
安いものであればお手頃な価格で購入できることもあります。各地の染織を楽しみたい方は、さまざまな地域の木綿着物を着比べてみるのも楽しいかもしれませんね。

4. 木綿着物のデメリット

木綿着物は、初心者にとってメリットの多い着物ではありますが、デメリットもあります。

1. 着ていく場所に注意が必要
2. シワになりやすい
3. 洗濯で縮みやすい

1. 着ていく場所に注意が必要

木綿着物は一般的にはカジュアルなものとされており、正装で臨むシーンでの着用は控える方が多い着物です。木綿着物を着る際には、着用にふさわしいシーンであるかどうかの注意が必要となります。

2. シワになりやすい

木綿や麻などの天然繊維は、洗濯の際に水をつけると水分を吸収することで繊維が膨らみます。その後、脱水をかけて干すと、吸水して変形した繊維が元の状態に戻ることができずにシワができてしまいます(木綿着物を干す際には、生地を伸ばしてから干すとシワの量を抑えることができます。またシワがついてしまった場合にはアイロンをかけることもできますので実践してみてください)。

3. 洗濯で縮みやすい

シワになりやすいのと同様に、木綿や麻などの天然繊維は洗濯の際に水分を吸収して膨張し、乾燥の際に編み組織の「編み目」が詰まることで縮みやすい素材です。ですがこの縮みは一時的なものですので、着用することで徐々に伸びていきます。
もしも木綿着物が縮んでしまった際は、木綿着物を洗濯して干すときに、縮んでしまった方向とは逆の方向に引っ張りながら形を整えてみてください。

木綿着物の種類

木綿着物は各地域に産地があります。

厚手のものから薄手のものまで、産地の違いによって質感もさまざまであり、特徴も異なります。木綿着物の なかでも「絣」と呼ばれるものは一般的に、その制作工程から、より手の込んだ木綿着物とされています。

ここでは代表的な木綿着物を、詳しくご紹介します。

伊勢木綿(いせもめん)

伊勢木綿

江戸時代から続く歴史ある木綿着物で、三重県指定の伝統工芸品でもあります。

伊勢木綿は洗っていくうちに生地が柔らかくなっていくのも特徴のひとつ。着れば着るほどに風合いが増していきます。歴史の深い伊勢木綿ですが、現在は織り上げを行っている製造元も限られる貴重な木綿着物です。

会津木綿(あいづもめん)

会津木綿

福島県会津地方で織られている木綿着物で、縦縞模様と鮮やかな色が特徴です。

福島県の福島伝統工芸品のホームページによると“会津藩主加藤嘉明が会津に移った際、前領地の伊予松山から織師を招いて会津に伝えたのがその起源”と言われています。
(引用:福島伝統工芸品|福島県ホームページ

厚手で丈夫な生地で作られる会津木綿は、温かみのある着心地がその特長。農作業からおでかけまで、日常生活の幅広いシーンで使われてきました。手織りの雰囲気を存分に楽しめるうえ価格もお手頃なので人気です。

片貝木綿(かたがいもめん)

片貝木綿

新潟県小千谷市片貝町で織られている木綿着物です。

木綿着物はシワや縮みやすさが難点ですが、片貝木綿は裾さばきが良く、縮みやシワになりにくいことがその特徴。また表面に凹凸があるので、汗を吸っても肌触りもさらりとしていて心地よく着こなせます。手ごろな価格で購入できる機械織りの片貝木綿の着物もあります。

久留米絣(くるめがすり)

久留米絣

久留米絣は、福岡県久留米地方で織られている木綿着物で、国の重要無形文化財にも指定されています。藍染めの綿糸を丹念に織ってできた絣模様に素朴さと温かみがあります。

また「絣」とは、部分的に染め分けた糸で織った織物のことで、ところどころかすれたような模様が見られるのが久留米絣の特徴。肌触りがよいのも魅力で、洗えば洗うほど柔らかくなり絣の柄がくっきりしてきます。また、藍染の紺と白のコントラストが美しさをひきだしています。

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弓浜絣(ゆみはまがすり)

弓浜絣

鳥取県米子市・境港市で織られる木綿着物で、美保湾に面して弓なりに反った細長い砂浜地帯の弓浜の名称から「弓浜絣」と名づけられました。

砂地のため、農作物の栽培には適さない土地でも育成のできる綿を作り、地藍で染色して製織されていました。鳥、花などの動植物や日常生活に密着した絣模様が特徴で丈夫でしっかりした木綿着物です。

木綿着物を着こなそう!

木綿着物を着こなす際には、合わせる帯や小物の選び方も重要なポイントとなります。

木綿着物に合わせる帯には、もちろんお洒落の範疇ですのでどのようなものを選んでもルール違反ということはないのですが、帯にも格があるため一般的には、礼装用の袋帯など格の高い帯を木綿着物に合わせることはされません。

木綿着物には半幅帯を合わせることも多いですが、紬の着物に合わせる名古屋帯をお持ちの方は、それをお使いになることも可能です。

その他の長襦袢、帯揚げ、帯締め、半衿などの小物も特に決まったルールはなく、素材感や色のトーンがマッチするものから気軽に木綿着物コーディネートを楽しむことができます。

ここからは、木綿着物に合うおすすめの帯を5つご紹介します。ぜひ帯選びの参考にしてみてください。

【首里織】手織り道屯織半幅帯

手織り道屯織半幅帯「留紺間道」

【首里織】手織り道屯織半幅帯「留紺間道」

こちらは、琉球の伝統的工芸品「首里織」の半幅帯です。民芸的でありながらもシンプルな構図は、色の印象によって現代の感性ともとても良く似合います。

しっかりと織り成された木綿の留紺色の帯地に、珊瑚色、萱草色、青磁色、紅藤色の経糸を浮かして織り上げて、彩り豊かに仕上げています。

昔ながらの伝統表現を楽しむとともに、時代にあった感性で着こなせる帯として、ぜひ木綿着物に合わせて使ってみてはいかがでしょうか。

【博多織】正絹半幅帯(小袋帯)

正絹半幅帯(小袋帯)リバーシブルワンちゃんシルエット&かんざし

【博多織】正絹半幅帯(小袋帯)リバーシブル

こちらは、リバーシブルでお使いいただける正絹の博多織の半幅帯です。

かわいいワンちゃんのシルエットと、簪(かんざし)のデザインがそれぞれ両面に施されています。柄はかわいらしいですが、落ち着いた色合いで年齢問わず使いやすい帯ですね。

博多織ならではのキュキュッという絹の質感も楽しむこともできます。

【凪~NAGI~】コットン/リネン半幅帯

【凪~NAGI~】コットン/リネン半幅帯レトロフラワー

【凪~NAGI~】コットン/リネン半幅帯

こちらは珍しい、北欧テイストの半幅帯。

表面はシルバーグレーにポップな花柄、裏面はオリーブに幾何学的な文様が入っていて、その日の気分やお召しになるお着物によって、自由にコーディネートできます。

コットンとリネンを用いた柔らかい素材の帯は、カジュアルなお出かけにぴったり。洋服感覚でおしゃれを楽しむことができますよ。

【八重山ミンサー】手織り半幅帯

手織り半幅帯「花間道・赤色」

【八重山ミンサー】手織り半幅帯

こちらは、目に優しい自然の色彩に、彩り豊かな糸で丁寧に織り上げられた八重山ミンサーの半幅帯です。

「ミンサー」は、求婚された女性が「綿狭(みんさ)」を織り、「いつの世までも変わらぬ愛を」という返答を込めて求婚してくれた愛する男性に贈っていたことが起源と言われています。綿特有のあたたかさが魅力で、鮮やかな赤色を基調に紺色の間道に花のような幾何学模様が織り成されています。

木綿着物と合わせて、女性の想いを身にまとってみてはいかがでしょうか。

【八重山ミンサー】手織り八寸名古屋帯

【八重山ミンサー】手織り八寸名古屋帯「青/茶」

【八重山ミンサー】手織り八寸名古屋帯

こちらは、寒色ベースながらあたたかさを感じる八重山ミンサーの手織り八寸名古屋帯です。

シンプルな縞模様には、穏やかな青や青磁色、アイボリーが混ざり合う地に、茶色を用いた間道柄を織り成しました。

上品さと素朴さを兼ね備えたハイセンスな帯は、カジュアルなお出かけでおしゃれなコーディネートを楽しむことができます。

おしゃれさん必見の「デニム着物」にも注目!

木綿着物を着こなすときに知っておきたいのが「デニム着物」です。

その名の通り、デニム素材で織られる着物は遊び心があり、他の人とは差がつくおしゃれを楽しむことができます。綿100%のデニムは柔らかく、着れば着るほど馴染んで風合いも増します。そして丸洗いができるのでお手入れも簡単!カジュアルに着こなすことができるので、ちょっとしたお出かけや普段着にも取り入れやすいですよ。

まとめ

木綿着物は、カジュアルに着ることができる使い勝手の良い着物で、普段着やちょっとしたお出かけに気軽に着ていくことができます。

また木綿着物は、お手入れが簡単で幅広いシーズンに着用できるため、一着は持っておきたい着物とも言えましょう。

木綿着物を選ぶ際には、今回ご紹介した産地や着こなし方を参考に、自分好みの木綿着物スタイルをみつけてみてくださいね。

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