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彩られ色づく秋日 「光をはらむ、季節の着物コーディネート」vol.8

彩られ色づく秋日 「光をはらむ、季節の着物コーディネート」vol.8

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日に日に木々の葉が、色とりどりの赤や黄に染まっていく姿を目にすると、肌寒さを感じながらもとてもあたたかい気持ちになります。秋特有のほっこりとした色味は優しさや温もりを感じさせてくれます。着姿に美しい秋の彩りを反映させて、深まりつつある秋に溶け込むコーディネートを再現してみましょう。

色づく秋

肌を包む爽やかな空気感に少しずつ冷たさが加わり、目に入る木々の常盤色に徐々に黄や赤が含まれ、秋の深まりを、五感を通して知らされます。

日常生活においても夏には手にしなかった深い色のニットや濃い色のリップに目がいったり、ヘアカラーを変えたくなったりします。
またデパ地下やカフェのスウィーツにおいても、秋限定の栗、さつまいも、かぼちゃを目にし、甘い誘惑に引き寄せられます。
このような季節の変化のおかげで、行ってみよう、買ってみよう、食べてみよう、変えてみようなどの気持ちに自然となり色々な経験ができるので、四季があることに幸せを感じます。

もし年中同じ気候だったら、、、私たちの感覚も違っていたかもしれません。

四季がある日本だからこそ、百花繚乱に着物は発展を遂げ、今日目にすることができ、手にできているのかもしれません。そのおかげで私たちは究極の贅沢として、自由にコーディネートを楽しめています。(『香る余韻』参照)

今回「調和美」の中で、季節を愛でることに焦点をあててみます。
全身絹に纏われる心地よさやあたたかさは、特にこの時期に強く感じられます。
深まる秋の風景から、気になった色味やほっこりと温かみがあるような色をコーディネートに取り入れてみましょう。今回、木々の葉が変化する様子からイメージしてみました。

秋の葉の様子を表すコーディネートのコツ

葉が色づく様と聞くと、みなさまどのような景色が頭に浮かびますか。
過去から今まで、色々な場面で目にした紅葉シーンが記憶と共に蘇ります。
実際の紅葉狩りは少し先ですが、目にする木々の葉に日々色味の変化を感じます。
移りゆく葉の様子を細かく表現する言葉がさまざまあるようです。

「青紅葉」「初紅葉」「紅紅葉」「楓紅葉」「散紅葉」

さらに枯葉となって朽ちていく葉についても表現する言葉がさまざまあるようです。

「青朽葉」「黄朽葉」「赤朽葉」「濃朽葉」「中朽葉」「淡朽葉」

季節の先取りとして紅葉を感じられる色柄を取り入れるのも一つですが、今回は朽ちていく葉の色味を取り入れてみます。
葉の色味が変化し、葉が朽ちていくまでも美しい表現が存在しており、先人たちの情緒深さに感心せざるをえません。

青朽葉では クラシカルに粋を添えて 
赤朽葉では モードに華を添えて
朽葉では シックに雅を添えて

みなさま自由に想像して、楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート 青朽葉

青朽葉前後横

・抹茶色の江戸小紋
・紗綾形の袋帯
・黒の縮緬の帯揚げ
・金銀の帯留め(ブローチ)
・黒の三分紐

クラシカルに粋を添えて

着物コーディネート 赤朽葉

彩られ色づく秋日

・植物柄の小紋
・格子柄の袋帯
・亜麻色の縮緬の帯揚げ
・茶系グラデーションの貝の口の帯締め

モードに華を添えて

着物コーディネート 朽葉

・鎧柄の小紋
・菱柄の袋帯
・紺の縮緬の帯揚げ
・紺と金の帯締め

シックに雅を添えて

粋なお買い物

粋なお買い物

常日頃、わたしたちは物品やサービスを購入しています。
消費者として、いつ、何を、どこから(誰から)購入するかは考えていても、購入した先のことまでは、あまり考えが及ぶことはありません。

しかしコロナ禍の生活を送る中で、自分の購買欲以上に提供元や生産者に対して応援したいなどの気持ちが芽生えた方も多くいらっしゃると思います。きれいに言えば、資本主義社会における経済を回すということなのかもしれませんが、もっと身近に考える良い機会になったと感じています。

そんななか、私の尊敬する人生の先輩であり友人は、以前よりもっと先のことまで考えてお買い物をしており、今さらながら私もそうありたいと強く思っています。彼女は着物はもちろんのこと、陶器や絵画などにも造詣が深く、いつも学ばせてもらっています。陶器などは骨董品のイメージも強く、作家さんの遺作などをコレクションとして購入していると素人ながら思いきや、その全く逆です。

”今現役で活動している方の作品を買うようにしている” と

もちろん出会いがあれば。
なぜと聞いたところ、

”今の人たちを応援したいし、それが次に繋がるでしょ” と

今の人たちの作品を購入することによって、その利益が微力ながら次の作品への投資に繋がり、その継続が次の世代に繋がるかもしれないと。

”伝統文化の継承に貢献したい” と声高に言うのは簡単、しかし実際どうするかとなると、消費者の私たちができることは限られています。
しかし友人のように、日々の中で新しい品を購入し続けることが、微力ながら貢献できることなのかもとあらためて気づかされました。

彼女の着物は、少しづつ増え続けている。
感化された私は、それ以来自分ができ得る範囲で、買い続けている。
もちろん出会いがあったら。

 中古品や譲られ品を大切にするのもひとつ
 新品を取り入れるのもひとつ

伝統文化の継承に微力ながら貢献できますように。

センスを磨くには Part.11

センスを磨くには

以前(『口説かれ着物の纏い方』参照)センスを磨くにはの初回において、コツはないけれど、3つおすすめをしました。

1. 想像力を養うこと
2. 一般的な概念や型に囚われないこと
3. 自分を知ること

今回はその中で、1に関して「想像力を養うにはどうしたらいいか」具体的にお伝えします。
少し飛躍しますが、ぜひご参考になさってみてください。

・何事も経験、体感してみる

ネット社会な現代は、常に情報があふれています。すぐ情報通にもなれますし、擬似体験もたくさんできるようになりました。しかし実際の経験とは似て非なるものです。見て、触れて、感じる直接的な体験が増えれば増えるほど、感度は上がっていくと考えています。つまらないと思うことや気が進まないことを経験する必要はありませんが、気になったことは行ってみましょう。

・一旦共感してみる

他人の意見やコメントに対して、自分の考えや嗜好と異なっていたとしても、大らかにそうなんだな、そういう見方や考えもあるなと共感してみる。自分の思考に他者の思考が入ることで、自分の思考が変化したり進化することもあります。無理に同調したり同意する必要はありませんが、人の思考を冷静に感じてみましょう。

・こうなるだろう→こうしように変えてみる

想像は未来予測ではなく、自分が”どうしたいか”の構想と捉えてみる。今目の前に見えている現実や事実の延長線上で”どうなるか”を考えることも想像と言えますが、本来、想像はもっと自由で限界がありません。自分自身の意思表明のストーリーとして、心おもむくがまま今にとらわれず”こうしよう”と楽しく想像してみましょう。

アルベルト・アインシュタインも想像力の大切さを説いています。

”Imagination is more important than knowledge. Knowledge is limited. Imagination encircles the world.”

想像力は、知識よりも大切だ。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。

あなたの想像力も限界知らずです。

センスを磨くには:想像力を養うこと
センスを磨くには:一般的な概念や型に囚われないこと
センスを磨くには:自分を知ること

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