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晩夏つつむ涼風 「光をはらむ、季節の着物コーディネート」vol.6

見上げた空の色は淡く、肌に触れる風は涼しく、残暑に隠れて静かに去りゆく夏に少し切なくなります。弱くなるセミの声、元気よく飛び回るトンボの姿、もうそこまで秋は来ています。近づく秋を歓迎しながらも晩夏を楽しむとしたら、夏に秋らしさを取り入れてコーディネートしてみましょう。

晩夏の空

先日からようやく待ちに待った夏と思っていたら、黄色のまばゆい光からは鮮やかさが薄れ、暑さの中にすぅっと秋を感じることが多くなりました。

日が落ちていく夕方から夜にかけて、ふわりとした暑さの中に涼しい風を時折り感じながら、まだまだ終わらない夏が誘う高揚感が不思議と心地良くて大好きです。

7月から少しづつ外出や外食をしていますが、まだどこもどちらも人が少なくて、同じ場所にいるのに違う場所にいるような錯覚にとらわれることがあります。

人混みは苦手なのに、ある程度の人がいて活気があると、街が生きている動いているように感じ、ほっと安心します。一方で都会における殺風景は、美しいのになんて冷たい塊なんだろうと少し寂しくなります。

まだもう少しだけ、夏のこの空気感を満喫したいと思っています。
みなさまはどのような夏をお過ごしでしょうか。

今回「調和美」の中で、季節を愛でることに焦点をあててみます。
薄物の着用は9月9日の重陽の節句までと一般的に言われています。

晩夏は秋と隣合わせなので、コーディネートの中に秋をほんのり感じるシックさを色味や雰囲気で取り入れてみましょう。

秋のシックはどのような感じかというと、この時期発売される秋服や秋新色コスメなどを見てみますと、連想しやすいかもしれません。

濃く、深く、豊潤な色味のアイテムがあれば是非取り入れてみてください。
もしお手持ちでない場合は、秋色コスメでお化粧の雰囲気を変えてみられるのもおすすめです。

秋の訪れを歓迎しながら去りゆく夏にも感謝し、夏らしさも秋らしさも楽しむコーディネートを行ってみましょう。

夏の秋シックを表すコーディネートのコツ

シックは洋服においてよく耳にする言葉ですが、上品で落ち着いてるさまに使われています。

晩夏から秋にかけて、陽気な太陽の光、空の雲、空気感がだんだんと静かに穏やかに落ち着いてきます。その風景に自然となじむ感じを想像し、シックを今回のテーマにしました。

まだまだ名残惜しい夏の中にいたい気持ちもありますが、色味や雰囲気でシックな感じを取り入れて、少しづつ秋を満喫する準備を行っていきましょう。

ただ品よく落ち着いてるだけのシックではつまらないので、ご自身が夏らしさをほどよく感じるように、色味や小物も意識してコーディネートしてみましょう。

シック・ナチュラルでは 自然な落ち着きを  
シック・ゴージャスでは 華やかな落ち着きを
シック・リッチでは きらびやかな落ち着きを

みなさま自由に想像して、楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本(半幅帯1本)で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート シック・ナチュラル

シック・ナチュラル前後横

・有松鳴海絞りの麻の葉柄の浴衣
・黒地の水色ラインの半幅帯
・角八つ組の鼠と白の帯締め
・ガラスの帯留め

シックな中に自然体なさまを

着物コーディネート シック・ゴージャス

・絞りの浴衣
・マゼンダと黒の透け感のある夏用の袋帯
・白の透け網織の帯揚げ
・白に銀糸の三分紐
・ホワイトパールの帯留め

シックな中に華やかさを

着物コーディネート シック・リッチ

・植物柄の茶系の絽ちりめんの小紋
・菱形柄の透け感のある夏用の袋帯
・白の透け網織の帯揚げ
・茶鼠の冠組の帯締め

シックな中にきらびやかさを

モノもコトも

モノもコトも

ここ数年”モノ消費からコト消費へ”という言葉を記事やニュースで目にする機会がとても増えました。以前はモノを買う、所有するという物質的な豊かさが好まれていましたが、豊かになった現在ではコト(体験、経験)という精神的な充足感や豊かさが好まれているようです。

ここ数ヶ月、直接的な体感や実体験するということが極端に減ったせいか、確かにそうだなと納得しました。しかし結局は個人の価値観に依存するところであり、私自身はどちらがだけでもなく、どちらもという結論にいたりました。

なぜなら着物に関して、モノもコトもどちらも共存し満たしてくれると感じるからです。

日本が誇る伝統文化品を所有する という点で然り
伝統文化品を身に纏う という点で然り
身に纏ってお出かけする という点で然り

着物はただのお着物(置物)ではなく、身に纏って楽しめる衣装なのです。
価値ある楽しみ方ができるなら、価値ある物と時間になります。

高い希少価値があろうが、高額品の代物だろうが価値ある楽しみ方ができなければ、ただのモノでコトにはならないのです。
外出が今までのようにかなわないこともありますが、身に纏って色々お出かけして、一緒に価値ある楽しみ方をしていきましょう。

センスを磨くには Part.7

以前、センスを磨くにはの初回(”口説かれ着物の纏い方”参照)において、コツはないけれど、3つおすすめをしました。

1.想像力を養うこと
2.一般的な概念や型に囚われないこと
3.自分を知ること

今回はその中で、1において「お下がり着物の活かし方」についてご紹介したいと思います。

私が着付けをはじめたきっかけは伯母たちのお下がり着物です。
こちらでもお下がり着物や帯が登場しています。

これらのお下がり着物や帯は自分自身で購入したものと違い、コーディネートが難しく感じることがあります。お下がり着物と帯の組み合わせだと何故かレトロ感が全面に出てしまい、自分自身と調和がとれないことがあります。

しかし想像力を養うという点では、ご自身で購入されたものより、色々考えてみるにはとても良い逸品だと考えています。またお下がり着物を自分らしい美しい装いに転化できれば、譲ってくださった方々もとても喜ばれると思います。

私が現在行っている3つをお伝えします。もちろんレトロ感がお好きで自分自身とも調和が取れている場合は行う必要はありません。

◆1つ目は、自分寸法に仕立て直す

私自身が高身長かつ裄丈長めであることもありますが、出来る限り自分寸法に仕立て直ししてもらっています。一部は着付けで調整できますし、おはしょり無しや裄丈短めで着用するのは間違いではありません。しかし自分らしい美しい着姿を目指し、長く愛用したいのであれば仕立て直しをおすすめします。着付けもしやすくなり、着用したいと思う機会も多くなると思います。

◆2つ目は、お下がりアイテムに1つ以上新しいアイテムを加える

最近のお下がりアイテムですと、そのまま着物と帯セットでも素敵なものもあると思います。そうでない場合は、元々のセットコーデは避け、お下がり着物、お下がり帯は単品にし、他の最近のアイテムとの組み合わせをおすすめします。調和美を考えた際に、自分との調和も大切ですが、現代空間に合うことも大切な要素と考えています。

◆3つ目は、譲る(もしくは貰わない)

着物をお召しになる方と認識されると、親戚であるなしにかかわらず、もう着ないからということでいただくこともあるかと思います。非常にありがたいご厚意に感謝しつつ、どうしても自分自身が着こなせない、ちょっと違うと思った際には、他に似合いそうな方にお譲りするのもひとつです。もちろんお相手に失礼にならないように。少しでもドキドキわくわくがなければ、いくら価値あるものであっても、タンスの肥やしになってしまいます。

「素敵ね」と褒められて、「こちらお下がりなんです」という会話が生まれれば、もはやもうお下がりではありません。
あなたらしい美しい着姿を構成する大切なアイテムとして、長く愛用されることとなるでしょう。

シックをテーマに
自分らしさを感じるコーディネート

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