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長谷川普子さんが挑む!茶筅の糸かけ体験 「茶筅師の手しごと」vol.3

長谷川普子さんが挑む!茶筅の糸かけ体験 「茶筅師の手しごと」vol.3

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谷村家が営む和北堂では、一子相伝による茶筅づくりの技術を間近で見られる「茶筅製作見学」や、作業の最終段階である糸かけに挑戦できる「糸かけ体験」を随時開催中。台湾から一時帰国中だった長谷川普子さんに、茶筅づくりの現場を体感していただきました。

モノトーンな”着物ひろこスタイル”

外観

近鉄学研北生駒駅から車で10分ほどのところに、谷村家が営む「和北堂」はあります。

のれん

シンボルマークともいえる茶筅が染め抜かれた、抹茶を思わせる爽やかな緑の暖簾が出迎えてくれました。

この日、取材クルーにご同行願ったのは、台湾・台北で“着物を楽しむ生活”を送る長谷川普子さん

普子さん

着物は、茶席に相応しいようにと江戸小紋をセレクト。「小紋三役」のひとつ、角通しの黒というトラディショナルな一枚です。そこにグレースな幾何学模様の袋帯を合わせることで、小粋なコーディネートに。

江戸小紋をこんなに格好好く着られるとは!と唸る組み合わせに、スタッフ一同惚れ惚れしてしまいました。帯の柄が光の加減でシルバーぽく輝くのも印象的です。

まなぶ

「着物ひろこの着付けTIPs」

帯

帯締めは黒でシックに。端にあしらわれたシルバーがポイントとなり、帯揚げのターコイズを映えさせます。

差し色にターコイズを配するカラーセンスに脱帽……

レースの半衿で乙女感をプラスして、足元は安定感抜群のカレンブロッソ

黒の台にグレーの天、ロゴのシマウマがプリントされた鼻緒という取り合わせが、着物に合わせて誂えたよう。

安定感抜群のカレンブロッソ

2023.10.04

よみもの

草履の革命児 華麗なるカレンブロッソの秘密 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.19

道中着を手に

撮影は昨年秋。思った以上に昼間は暖かく、残念ながら出番のなかった道中着。黒×ターコイズのリバーシブルが最高にキュート!

床几

四季折々の草花が観賞できる美しい庭は、どこを切り取ってもフォトジェニック。風にのって金木犀の香りが届く

談笑するふたり

高台にある茶室から、庭で談笑するおふたりのようすもパチリ

初めての糸かけに、まさかの苦戦!

工房に招き入れられ、まずは丁寧に淹れられたお茶をいただきます。

「高山の”おかき”もぜひ!」という丹後さんの勧めもあってしばしのティータイム。参加者たちの空気が柔らかくなったところで、見学会のスタートです。

説明する丹後さん

作業スペースに腰を下ろした当主による高山茶筅についての説明に耳を傾け、実際の作業を間近で見る貴重な時間。

熱心に聞き入る見学者たちに、「もっと前へどうぞ」「こちらからの方がよく見えますよ」と随時声をかける丹後さん。その間、ずっと手は動いたまま

作業する丹後さんを見ている普子さん

「職人さんによっては作業中はしゃべりかけないでほしいとか、無口になるという方もいますが、私は大丈夫ですので」と笑いながら、質問もウェルカムという太っ腹さです。

見学後は、仕上げ前に行われる糸かけの作業を体験させてもらいました。

作業する丹後さんを見ている普子さん

すでに「下網み」という、外穂を引き上げるための一週目の糸はかかってあり、「上網み」と呼ばれる工程に挑戦します。

仕上げ前に行われる糸かけ

内穂と外穂を見分けながらリズミカルに糸をかけていく丹後さんの手元をじっと見ながら……やや不安そうな普子さん。

挑戦する普子さん

いざ!と茶筅を手にした途端「手元が見えにくい!」と目を細める彼女に、丹後さんが「茶筅の糸かけは、器用か不器用かじゃないんです。見えるか見えないか、です(笑)」と極意を教えてくれる一面も。

でっかい茶筅でにっこり

恐る恐る進めていくうちに、少しずつ慣れた様子で、終わる頃にはいつもの素敵な笑顔に。

茶筅師の手しごとに、しみじみ感じ入るひとときとなりました。

奥様のお点前にて、ほっこりタイム

庭越しの茶室

見学後、庭を通って茶室へと移動します。

築80年の茶室

「母が好きで、よく友人を招いてましたね」という築80年の茶室で出迎えてくれたのは、丹後さんの奥様。

自宅や工房が見下ろせる窓の向こうには色づく山がそびえ、なんとも牧歌的な気持ちに。

「敷地内にこんな空間があるなんて!」と、普子さんも感動しきりです。

お点前を頂戴する普子さん
床の間

素朴な鶏の掛け軸は、なんと若冲の作!

「60年前くらいに何かの支払いの代わりに頂いたのかな? 母は『トリの絵』って箱にメモを貼ってました(笑)」と、お茶目エピソードに一気に場が和みました。

主茶碗に選ばれたのは、パンキッシュな印象の「黒織部」

黒織部

中田英寿氏が主宰の『REVALUE NIPPON』プロジェクトの一環で、松岡正剛氏監修のもと、陶芸家・林恭介氏と作家の町田康氏が完成させた逸品です。

8個しかないうちの最後のひとつを譲ってもらったとか。

「一番良いものだからこそ、一番ヘビロテしてます」という言葉通り、道具は使ってなんぼ。茶器であっても、茶筅であっても。

茶室からの庭、当主と普子さん

明日からと言わず、今日からでも。「一日一服」生活、いかがですか?

まずは、お気に入りの茶筅をひとつ、みつけてみてください。

撮影/弥武江利子

よみもの

「きものとわたしのエイジング」(全12回)

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