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着物の着こなし(コーディネート)のコツ「ラグジュアリー、アクティブ、モード、タイプ別コーディネートのコツ」

口説かれ着物の纏い方 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」 vol.2

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少しずつ初夏の陽気を感じるようになってきました。暑くも寒くもなく湿度も低く、朝から晩までとても過ごしやすい季節の到来です。5月は袷の着物が着れる最後のシーズンとなります。外出自粛で制限ある生活であっても、想像や妄想は自由自在です。素敵な方と素敵な時間を過ごすコーディネートを思いっきり想像し再現してみましょう。

初夏のグリーン

柔らかな太陽の光を全身に浴び、心地の良い風にのった緑の香りをふわっと嗅ぐと、春は去り、夏が近づいていることを感じます。

数ヶ月前には想像もしていない生活を送り、日常が様変わりしている方も多くいらっしゃるかと思います。そんな中でも今までと変わらず自然の恵みを感じることができ、季節の移ろいにほっと癒されるのは四季がある日本で育った私たちの潜在的な感性でしょうか。

豊かなことに慣れてしまっている私たちは、当たり前のことを有り難く思えたり”足るを知る”機会を得れているのかもしれません。たとえゆっくりであっても、少しづつ難事は解決していきます。今は苦しい時期ですが、少しでも気持ち朗らかに、どなたにも自分にも優しい気持ちでおりましょう。

外出できずとも、外出する際の着物コーディネートを妄想することはできます。次回のお出かけを楽しみに、あれにしようかなこれにしようかと考えているとドキドキわくわくしてきませんか。せっかく着ようと思っていた着物や帯に妄想コーデでぜひ出番を与えてあげましょう。

今回調和美の中で、どなたとご一緒するかに焦点をあててみます。とてもユニークな方々を想定していますので、皆さんもぜひ私だったらとどんな感じで装うか思いっきり想像し、自由に妄想コーデしてみてください。

ご一緒するのは三者三様の男性です。イメージは3つの某雑誌から。タイトルでピンとくる方もいらっしゃるかと思われます。

 ”必要なのはお金じゃなくてセンスです” ラグジュアリーイケオジ
 ”いくつになっても冒険野郎” アクティブメンズ
 ”ストリート魂を忘れない男たちへ” モードメンズ

あなたは彼らとご一緒することになりました。さてどうしましょう。

ラグジュアリー、アクティブ、モードな男性別コーディネートのコツ

ラグジュアリーイケオジ、アクティブメンズ、モードメンズに共通していることは、年齢にとらわらず、仕事も遊びも好奇心旺盛で、省エネな時代にハイカロリーで生きていること。当然彼らにとって、ファッションはライフスタイルの一つ、しかし着物に関しては知る機会が少ない。

見慣れているのはパーティーや夜のクラブの女性陣の華やかな訪問着や付下げと冠婚葬祭時の礼装着のみ。正直着物はおしゃれという認識は一切ない。着物女性=素敵女性という方程式は通用しない。(あくまで私の妄想)

そんな彼らをハッと思わせるには、華やかな訪問着や付下げではなく、おしゃれ自由度が高い小紋でコーディネートしてみましょう。着物を着ている素敵女性もしくは着物を素敵に着ている女性と認識してくれれば=素敵女性の方程式が成り立つかもしれません。

彼らがどんな服装で登場するか分かりかねるので、彼らのファッションと調和するように、自己主張はしつつもカラフルにせず、パッと目に入る色味のトーンは統一しつつ、近くに寄り添ったときに絹の上質な質感を感じてもらえるように意識してみます。

ラグジュアリーイケオジには、上質だけれども愛嬌と可愛らしさの要素を
アクティブメンズには、素朴な感じだけれども都会的で陽気な要素を
モードメンズには、モダンな感じだけれどもクラシカルで洗練された要素を

こちらは皆さんの自由な妄想と想像力で楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート ラグジュアリー

ラグジュアリー前後横

・総絞りの白黒小紋
・花柄の箔の袋帯
・真白の帯揚げ
・ミントグリーンの冠組の帯締め

優雅でありながら大人可愛い

着物コーディネート アクティブ

アクティブ前後横

・花織の紬の小紋
・紹巴織の植物柄の袋帯
・青緑の帯揚げ
・縞の三分紐の帯締め
・青緑の陶器の帯留め

カジュアルでありながらハンサム綺麗

着物コーディネート モード

モード前後横

・白地にイチョウや扇面のような柄の小紋
・若松柄の袋帯
・利久茶色の帯揚げ
・薄茶色の帯締め

モダンでありながら品よく優美

着付けと着物コーディネートの関係

着付けと着物コーディネートの関係

着付けは着物の纏い方、着方、着る手順などです。
着物コーディネートは調和美を元に着物や帯、小物類などのコーディネートです。

これら2つは着物をお召しになる方にもこれからはじめる方にとっても、大切な要素であり、とても密で相乗効果のある関係です。着付けは”スキル”、着物コーディネートは”センス”であり、それぞれ異なる特徴を持っています。

着付けはスキルなので、教室、先生、頻度、期間など色々な選択肢はありますが、どなたでもある一定の期間学べば習得できます。習う先によっては認定証や資格をもらえますが、どちらの選択をしても美しい着姿を目指すという点では変わりません。

一方で着物コーディネートはセンスなので、着付けのように体系的に教わることはできません。着物コーディネートはこうすれば美しいですというマニュアルやルールはありません。一定のレベルを測る基準もないので認定証や資格もありません。調和美という概念(→「うららかな春の装い」参照)はお伝えできても、その先はご自身の好みでどう魅せたいかどうなりたいかだけです。

”センスがいい悪い”、”センスがある無い”なども言われますが、これは”好きか嫌い”もしくは”好みか好みではない”それだけの違いとも言えます。なぜならセンスは優劣も序列もなく、本来数値化できないからです。

野暮と言う言葉がありますが野暮にさえならなければ、自分が好きな感じ、好みであればいいと思っています。そう聞くと着物コーディネートは難しいように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、完璧や精緻ではなく、いい加減でいいのです(→「江戸の粋・不自由のなかの自由」参照)。

着付けのスキルが活きるのも、着物コーディネートのセンスがあってこそ。
着物コーディネートのセンスが活きるのも、着付けのスキルがあってこそ。
この性質の異なる密な関係を知っているだけでも、着物の纏い方の意識が変わってくるかもしれません。

センスを磨くには

センスを磨くには

着物コーディネートは”センス”であり、着付けは”スキル”とお伝えしました。
残念ながら着物コーディネートのセンスを磨くコツはありません。もし短期間に効率よく習得できるとしたら、それはセンスでなくただの知識です。では磨くにはどうしたらいいか、3つあると考えています。

1つ目は、想像力を養うこと

調和美(→「うららかな春の装い」参照)を活用して、着装するシーンを色々と想像しコーディネートを考えてみる。コーディネートは自由であり自己演出でもありますが、季節を愛でたり、相手を想ったり絶妙なバランスの上で成り立っています。どのようなシーンにおいても周りと調和した上で自分らしく美しく纏ってらっしゃる方は、センスがあるように感じませんか。

2つ目は、一般的な概念や型に囚われないこと

よく年齢や身長を理由に、最近ではパーソナルカラーで苦手な色柄と言われたのでと断念される方がいらっしゃいます。いいなと思ったら上記の理由でやめてしまうのはもったいないです。纏うご本人がドキドキわくわくしなければセンスも何もないのです。最初から選択肢を狭めるのではなく、いかにコーディネートしたら似合うかを考える方がとても楽しいですし、それがセンスを磨くことにつながると思っています。

3つ目は、自分を知ること

そのときそのときの自分の好みを知る。好きな感じと似合う感じが違うこともあるかもしれません。好みも似合う感じも変化します。常に一定じゃないのが面白いところです。そしてそのような皆さんの千差万別の気持ちを十分に反映することができるのは着物ならではです。

形は同一であれど色柄デザインの豊富さが他の衣装に比べて充実していると思いませんか。
好みを知るには他の方のコーディネートを参考にすることもできますし、纏いたい印象から探ることもできます(粋:かっこいい、優美:きれい、可憐:かわいいなど)

センスを磨くことに終わりはありませんが、それが醍醐味ではないでしょうか。
美しい装いは1日にしてならず。

形は同一であれど色柄デザインが豊富
粋(かっこいい)、優美(きれい)、可憐(かわいい)
千差万別の気持ちを十分に反映することができる着物

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