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日まばゆい大暑 「光をはらむ、季節の着物コーディネート」vol.5

日まばゆい大暑 「光をはらむ、季節の着物コーディネート」vol.5

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すっかりこの暑さにも慣れた頃、せみの声を耳にし、子供たちのはしゃぐ姿を目にすると、夏祭りや花火、海と楽しい記憶が色鮮やかに蘇ります。また風鈴や団扇などを見かけると、昔ながらの涼のとり方に情緒を感じます。夏をより豊かに楽しむとしたら、大人ヘルシーを着姿に反映してみましょう。

夏空

日に日に暑さが増し明るい時間が長くなるにつれて、夏の誘惑は一層強くなります。そんな陽気な夏の魅力に誘われ、決まった予定はなくとも、外に出かけたくなったり、旅行に行きたくなる気持ちにさえなります。

また夜中の空も明るいせいなのか、終日の予定を楽しんでもまた夜更かしまでしたくなるということもあり、真夏の不思議な引力を感じます。

昨年のように、どこへでも、自由に外出できるような環境下ではなくなってしまったからこそ、よりそんな誘惑が心地よく感じるのかもしれません。

SNSやオンラインツールは普及し、あえて会わずとも事足りることも多くなりました。
ソーシャルディスタンスも保たねばならず、人と人の距離も広くなりました。

当たり前だと思っていた直接人に会い、深く関わることがどれだけ貴重で尊いことなのだと思い知らされているようです。人の纏う空気感や雰囲気を感じるのは、あえて会ってこそ伝わるものだと思っています。

今回「調和美」の中で、季節を愛でることに焦点をあててみます。

夏の陽気な空気感とまばゆい光を味方につけ、朝から晩まで時間を優雅に楽しめるよう、そしてあえて会いたいと思わせるコーディネートを行ってみましょう。

子供の時の夏休みのような気分でありながら、品よく大人ヘルシーなイメージです。
ヘルシーをキーワードに、夏の風情や行事のシーンを思い浮かべ、どなたとご一緒するかも想像しながらコーディネートしてみましょう。

大人ヘルシーをあらわすコーディネートのコツ

照らされる日の光は強く、気温も高いせいか、夏は季節の中で太陽のエネルギーを一番強く感じます。涼をいくらとっても素材が夏素材とは言え、やはり暑く常に涼やかな表情でいるのはとても大変です。

まばゆい太陽光のもと着物を纏うなら、涼しい感じを見せるのもひとつですが、今回ははつらつさや健康的な感じを意識してみます。そしてナチュラルより一歩先の洗練された大人ヘルシーな雰囲気をコーディネートで再現してみましょう。

のびやかで動きを感じるような柄の着物があれば、おすすめです。
また軽快な半幅帯なども活用してみましょう。

レディでは エレガントなヘルシーに
ムーディーでは クールなヘルシーに
ヌーディーでは カジュアルなヘルシーに

みなさん自由に想像して、楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本(半幅帯2本)で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート レディ

レディコーデ前後横

・松柄の絽の小紋
・菱形柄の透け感のある夏用の袋帯
・透け網織の帯揚げ
・細冠組の白銀色の帯締め

エレガント・ヘルシー

着物コーディネート ムーディー

ムーディーコーデ前後横

・芭蕉柄の紗紬
・黒地に青緑の1本独鈷柄の半幅帯
・絽麻の深川鼠色の帯揚げ
・黒の三分紐
・トンボ玉の帯留め

クール・ヘルシー

着物コーディネート ヌーディー

ヌーディーコーデ前後横

・植物文様の夏塩澤
・芭蕉布の半幅帯
・芥子色の三分紐
・ベッコウ風のガラスの帯留め

カジュアル・ヘルシー

小紋の魅力

洋服が普段着の私にとって、着物自体おしゃれ着のひとつだと認識しています。よって紬や小紋は着物の中でカジュアル、普段着と定義されていますが、私にとってはそうではありません。そんな私にとって一番好きなのは小紋です。今までコーディネートをご覧いただいた方々はお気づきかもしれません。

着物を楽しいと思ったきっかけを与えてくれたのが小紋でした。それまで淡い色や花柄のイメージが強かった着物の印象をがらりと変えてくれました。

洋服の方とお出かけする際にも仰々しくなく、現代空間にも違和感なく溶け込める感じがとても気にいってます。そしてなんといっても、コーディネートがとても楽しいです。毎回コーディネートをひとつでも変えてみようと実践して楽しんでいます。
訪問着や付下げを否定するわけではなく、それが小紋の最大の魅力だと思っています。

同じ小紋であっても、纏う方の個性によって、また帯や小物の合わせ方次第で、様々なコーディネートに仕上がります。もし帯や小物の合わせ方が一緒だとしても、最終的には纏う方の個性によって異なる雰囲気に仕上がるため、とても興味深く面白く感じています。

どんな小紋がおすすめかと質問をいただきますが、個々の纏う雰囲気も異なり、好みも千差万別なので一概には言えません。ただ以前お伝えした中で、2点意識していただくとより納得してお求めになれると考えています。

以前の記事(『湿感と戯れる』参照)でセンスを磨くにあたり、購入する際の具体的な事例を3つ挙げました。その中で2番目のような感覚になれたら、そちらは間違いなくおすすめです。

1.たくさん見る触れる
2.自分しか似合わないような幻想を抱く
3.着装シーンや他アイテムとのコーデを考える

また自分にとって無難であるか、有難であるか(『陽満ちる向暑』参照)ふと考えてもらうのも、自分らしい美しい装いにとって大切な要素であると考えています。

さらなる素敵な小紋と出会いがありますように。

センスを磨くには Part.5

センスを磨くには

”好き”と”似合う”に関して、みなさんはどういう印象をお持ちでしょうか。
ファッションにおいて永遠のテーマであるかもしれません。

以前の記事(『口説かれ着物の纏い方』参照)で着物コーディネートは”センス”であるとお伝えし、3つのポイントをお伝えしました。その3番目の中で、自分の好みを知る、好きな感じと似合う感じが違うこともある、好みも似合う感じも変化するとお伝えしました。

1.想像力を養うこと
2.一般的な概念や型に囚われないこと
3.自分を知ること

最近おしゃれだな、素敵だな、センスある方だなと感じるのは、その方の好きと周りから見て似合うが調和していて、見ていて心地良いからなのではと思いました。

そのような方は自分が好きなものを知り尽くしていて、何を纏っていても、その人らしさという佇まいは良い意味で変わらないんだなと。これが着こなしているということなのかもしれません。

以前ルミネの広告で”好きは片想い、似合うは両想い”というキャッチコピーがあったのを思い出しました。シンプルに書かれていますが、深いなと今でも感じます。

なかなか自分の好きなものを知り尽くすことは難しいですが、自分を知る延長でそのような意識を持っていると、そのうち好きと似合うが一致することが増え、気づいた時にはあたりまえになっているのだと。それがその人なりのスタイルや佇まいになるのだと考えています。私もまだまだ道半ばです。

センスを磨くことは1日にしてならず。

その方の好きと周りから見て似合うが調和
好きと似合うが一致することが増える
それがその人なりのスタイルや佇まいになる

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