滅びの夢の、その先の 〜小説の中の着物〜 久世光彦『雛の家』「徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー」第二十二夜
小説を読んでいて、自然と脳裏にその映像が浮かぶような描写に触れると、登場人物がよりリアルな肉付きを持って存在し、生き生きと動き出す。今宵の一冊は、久世光彦著『雛の家』。昭和初期、凪いだ時代の終わり。ひたひたと忍び寄る戦争の足音を聞きながら、日本橋の老舗人形屋《津の国屋》の三姉妹が織りなす、それぞれの恋愛模様。散りゆく桜もまた然り、人は何故、滅びゆくものや破滅へ向かうもの、罪の匂いに惹かれてしまうのでしょうか。
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