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江戸の職人が愛した郷土料理 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.10

江戸の職人が愛した郷土料理 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.10

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待ってました!都留さんの食レポ、今回は”東京の郷土料理” 深川めしです。ぶらりおひとりさまでも、こんな着物歩きはいかがでしょうか?

2023.01.05

よみもの

江戸の町にタイムスリップ!? 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.9

みなさんこんにちは!都留詩織です。

「都留詩織の きもので下町おでかけ帖」深川編第2弾、今回は江戸の職人が愛した東京の郷土料理「深川めし」をご紹介します!

”東京の郷土料理”、深川めし

深川宿本店前

深川といえば有名なのが、「深川めし」。

東京にお住まいの方なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。埼玉の忠七めし、大阪のかやくめし、岐阜のさよりめし、島根のうずめめしとともに、日本五大銘飯のひとつとして数えられているそうで、農林水産省郷土料理100選のひとつにも選ばれている”東京の郷土料理”です。

江戸時代、深川の佐賀、永代あたりは深川浦と呼ばれ、潮が引けば砂州が広がっていました。そこでは江戸前のアサリや海苔、ハマグリやカキ、アオヤギなどの貝類がよく獲れたようで、江戸時代の名産を記した『続江戸砂子』にもそのように記されています。

そんな深川の漁師たちが仕事の合間に食べた賄い飯が「深川めし」です。

深川には深川めしを出すお店が20軒ほどありますが、今回ご紹介するのは老舗『深川宿本店』。深川江戸資料館の向かいにあります。

深川宿店内1

店内に入るとまず囲炉裏が目に入りました。座敷席もあり、親戚のお家にお邪魔したかのような、なんだかほっとする空間です。

江戸の職人気分で「いただきます!」

深川宿店内2

注文したのは、一番人気の辰巳好み(税込み2,365円)。

辰巳好み

野菜の炊合せや自家製のくずきりとともに、

・漁師さんが食べたという味噌仕立ての「ぶっかけ」
・大工さんが食べたという醤油仕立ての「炊き込み」

の2種類がいただけます。

深川めしをいただく

一説には、「ぶっかけ」は船上で海水を真水で薄めて沸かし、アサリや長ネギ、豆腐を煮た澄まし汁を冷ご飯にかけて食べたのが始まりと言われています。

そのうち屋台や一膳飯屋でも出されるようになり、町民の手軽なファーストフードのようなものとなったよう。確かに、汁気のあるこのご飯なら仕事の合間にかきこむことができそうです。

熱々の甘じょっぱい味噌のつゆと一緒にご飯をいただきます。あさりのだしの香りと、アクセントのしゃきしゃきとしたネギの食感がよく合います。

深川めしをいただく2

一方、醤油仕立ての「炊き込み」は、汁気のない炊き込みご飯。こちらも口の中でだしとアサリの風味がふわりと広がります。ごまの香ばしさや青のりの香りもよく合い。なんとも甲乙つけがたい!

浜松風の炊き込みご飯の深川めし

後世に伝えたい!東京ルーツの味

「『深川めし』は郷土料理ですから、正解はないんです。それぞれの家庭で受け継がれてきた、いわばおふくろの味。当店の『深川めし』も、初代が深川のお宅で食べさせてもらったものに感激し、いろいろな深川めしを食べて研究を重ね、完成した味なのですよ」

とスタッフの日東寺さん。

深川めしの説明を受ける

「素朴ですが、東京のルーツのような料理なので、今を生きる人にも知ってもらい、つないでいってもらいたいと思いながら、日々お客様にお出ししています」

一皿の料理が伝える、その土地の昔の風土や受け継がれてきた文化、人々の精神性。大切に残していきたい”東京の郷土料理”がここにありました。

お土産を購入

深川にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてくださいね!
最後に自宅で楽しめる深川めしの素をお土産に購入!お店をあとにしました。

次回は深川編、最終回です!

いかがでしたか?

次回は深川の伝統工芸を集めたギャラリー、名物マスターのいるハードボイルドな雰囲気の喫茶店をご紹介します。お楽しみに!

撮影/YUTAKA SATO
ヘアメイク/MIKU SHIGEYAMA

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