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どうしても締めたかった帯で『山本亭』へ 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.5

どうしても締めたかった帯で『山本亭』へ 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.5

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前回、着物で”矢切の渡し”に乗船したモデル・都留詩織さん。今回は、葛飾区の登録有形文化財『山本亭』にて、ちょっと大人な心安らぐひとときを。帯まわりのコーディネートにもご注目ください♪

扉写真

前回に引き続き、葛飾柴又編の到着です!TVCMやさまざまな広告にもひっぱりだこのモデル・都留詩織さんが、江戸時代初期から続く渡し船「矢切の渡し」に乗船。きもので船遊び?!ちょっとしたアドバイスもありますよ。装い紹介もお見逃しなく♪

みなさんこんにちは!都留詩織です。

柴又編最終回の今回は、近代和風建築と日本庭園が調和する葛飾区の登録有形文化財『山本亭』へ。この建物でどうしても締めたかった帯もご紹介します。

ゆらめくガラス戸に着物姿を

柴又駅から徒歩8分ほど、”矢切の渡し”発着場のほど近くにある山本亭へやってきました。

山本亭入口

ここは大正時代に、合資会社山本工場の創立者、故・山本栄之助氏の住居として建てられた建築。葛飾区の登録有形文化財に指定されています。

窓辺

母家は書院造り風ですが、大正15年から昭和5年まで重ねられた増改築により洋風建築を取り入れた和洋折衷の様式が特徴です。

波打ったガラス戸

この波打ったガラス戸も、当時富裕層の間で住居に取り入れるのが流行したものだそう。ゆらめく景色を眺めながら、この場所で過ごした人々の心に思いを馳せます。

庭を眺める1

庭園に安らぐひととき…

縁側にて

庭園は純和風。奥に小さな滝があり、手前の池には鯉が優雅に泳いでいます。

やわらかに降り注ぐ木漏れ日に、流れる水の音。時々聞こえる鳥のさえずりも耳に心地よく、ゆったりとした時間が流れ、心が落ち着く贅沢な空間です。

室内

そして山本亭では喫茶のサービスも!お庭を眺めながら、冷たいお抹茶をいただきました。

お抹茶をいただく1
お抹茶をいただく2

訪問先にちなんだコーデ!

帯周り正面

そして、山本亭でどうしても締めたかったのが、この帯。

なぜかというと…

菖蒲の絵の前で1

玄関の間に、大きな花菖蒲の絵があるのです!これは葛飾区在住の日本画家、福田千恵氏による作品です。

モネの抽象画のような図案に一目惚れして購入したのは、アンティークの昼夜帯。

山本亭にあるこの絵のことを知った時、パッと、この帯を使ったコーディネートが頭に浮かびました。

菖蒲の絵の前で3
菖蒲の絵の前で2

きものには”先取りの美学”があるので、よく「桜の時期に桜の帯は無粋」と耳にします。きものを始めたばかりの頃は気にしていたのですが、この頃はそんな遊び心があってもいいのでは?とも思うようになりました。

その季節や場所にちなんだコーディネートには、きものを着ない方でも「おや?」と関心を持ってくれるかもしれないし、例えば美術展などでも、展示品にちなんだコーディネートをされている方には思わず話しかけたくなってしまうものです。

帯周りヨリ

ちなみにこの帯の絵、厳密には杜若(かきつばた)ではないかと思っています。花びらの付け根を見た時に網目状の模様があればあやめ、黄色い模様があれば花菖蒲、白い筋があれば杜若なのだそう。

あやめは陸地で育ちますが、花菖蒲や杜若は水辺で育ちます。そのため、帯留めは水辺や梅雨をイメージした透明のガラスのものを選びました。帯揚げは新緑をイメージした若草色を差し色に。

全身

シャンパンゴールドの単の色無地には、よく見ると抽象柄のモダンな地紋が織り出されています。

絹地に艶があるので、帯次第でドレッシーな着こなしにも。幅広い場面で活躍してくれる、お気に入りのきものです。

さてさて、3回にわたってお届けした柴又編、いかがでしたでしょうか。

撮影を通して知った、たくさんの柴又の魅力が伝わるといいなと思います。そして柴又はきものがとても似合う場所!ぜひきもので訪れていただきたいです。

次回はどこでどんな出会いがあるのか、私自身ワクワクしています!どうぞお楽しみに!

屋外

撮影協力/葛飾区観光フィルムコミッション
撮影/YUTAKA SATO
ヘアメイク/MIKU SHIGEYAMA

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