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谷中銀座をぶらりお散歩「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.12

谷中銀座をぶらりお散歩「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.12

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お久しぶりの都留さん、谷中銀座へおでかけです。定番フォトスポット『夕やけやけだんだん』やセンス光る和の器のお店など、お散歩気分でご一緒に♪

2023.03.23

よみもの

ハードボイルドなカフェで日本刀を握る!? 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.11

みなさんこんにちは!都留詩織です。

下町の風情が大好きな私。今回は東京都台東区の谷中銀座商店街を訪ねます。プライベートでも何度も訪れている、大好きな街です。

どこかなつかしい、谷中銀座商店街へ

JR日暮里駅西口から徒歩6分ほど、谷中銀座商店街にやってきました!

ここは1950年代から続く、昔ながらの商店街。約60軒の飲食店や商店が軒を連ねます。

商店街を散策

食べ歩きをしながら珍しそうに店先を眺める外国人観光客の方々もたくさんいらっしゃいますが、地元の方と店主の立ち話が聞こえてきたり、「野菜が安いよ!」といった掛け声が飛び込んできたり、おいしそうな揚げたてコロッケの匂いが漂ってきたり……

都内とは思えないほどに時間がゆったりと流れていて、どこかなつかしい雰囲気を感じます。なんだか『サザエさん』の世界に迷い込んだかのようで、ほっとしますね。

夕やけだんだん

夕やけだんだん

JR日暮里駅と商店街の間の『夕やけだんだん』と呼ばれるこの階段は、フォトスポットとして人気の場所。ドラマや駅のポスターなどで見たことのある方も多いのではないでしょうか?

『夕やけだんだん』という名前は一般公募で選ばれたそうですが、風情があってぴったりなネーミングですよね。付近には『富士見坂』という坂もあり、昔はこのあたりから富士山が見えたのだとか。

猫の町としても有名な谷中。

この日は猫ちゃんには出会えませんでしたが、町のあちらこちらに猫モチーフのアートやイラスト、お土産などがありましたよ。

商店街にいた猫のオブジェと

店主のセンスが光る『器や韋駄天』へ

さて、『夕やけだんだん』から朝倉彫朔館の前を通り、商店街の賑やかな雰囲気からは少し離れた通りへやってきました。

個人店やお寺などが点在するなかにたたずむのが『器や韋駄天』。

出迎えてくださったのは、店主の福田さんです。ご自身もきもの好きなのだそう!

店主の福田さん

「谷中のなかでも朝倉彫塑館の通りは京都寺町や鎌倉のような雰囲気で、私の作りたいお店のイメージと合うと思いました」

と福田さん。

韋駄天店内

その言葉通り、店内に足を踏み入れると、やわらかな自然光が差し込み、静かで洗練された和の空間が広がります。

爽やかな風が吹き込み、鳥のさえずる声が聴こえます。

窓からのぞく柿の実

撮影は昨秋。開け放たれた窓からは、裏のお寺の庭のかわいらしい柿の実がのぞいていました

美しい器の数々

器を手に取る

店内は、ギャラリーのように器がゆったりと配置されていて、一つ一つの器をじっくり手にとって眺めてみたくなります。

これらはすべて、福田さんが全国の作家のもとに足を運び、選んできたものだそう。

お皿1

料理を引き立てる自然な風合いながらも、柄付けや形、色が洗練されていて、作家さんの繊細な美意識や情熱が伝わる器ばかり。

お皿2

「作家が作るものは手作りですから一つずつ違います。やはり目で見て、この手で触って選びたいですね。それに作家さんと一年に一度、会ってコミュニケーションを取るのも楽しみなんです」(福田さん)

器が置かれている店内のテーブルも、アンティークのもの。

アンティークのテーブル

きもので訪れてゆっくりと”お気に入り”を探す時間の、なんて豊かなこと!大切にしたいひとときです。

器を眺める

日常にこそよいものを

窓際の器

美しい器を日常に取り入れたいと思いつつも、割ってしまうのではないかという心配から、なかなか実践できない私。

福田さんがこうアドバイスしてくださいました。

お皿3

「小さなお子さんがいらっしゃっても、よいものを使うことをおすすめします。

それはよいものを見る目を養うことと、物を大事に使うことを学べるから。やはり安いものはどこか『また買えばいい』と雑に使います。するとやはり生活も雑になりますよね。若い人たちにも、よいものを大事に使う丁寧な生活を目指してほしいですね」

韋駄天店内2

日常にこそよいものを使う。よいものを使うからこそ大事にする。

そんな視点は新鮮で、そっと背中を押されたような気持ちになりました。

あたたかな日差しに映えるお散歩コーデ

全身コーデ

そんな谷中銀座商店街をお散歩する日のために選んだのは、サーモンピンクの結城紬に、半幅帯。

気軽でカジュアルなコーディネートです。

パーソナルカラーで「スプリング」と診断されてから、洋服もメイクも明るい色に挑戦するようになり、きものも明るい色を選ぶことが増えました。

洋服に比べて布の面積の大きいきものは、地色によって顔の印象も大きく変わり、それもまたおもしろいところです。

赤紫の帯

半幅帯をお太鼓風に結んで

半幅帯は、錆朱の紬地に黄色い花が織り出されたものを。一目惚れして求めた大好きな帯です。しっかりと柄があるので、帯締めや帯留めがなくても寂しく感じません。

半幅帯といえば可愛らしい文庫結びやリボン結びが一般的ですが、今回は”お太鼓風”に結んでいます。こんなふうに、大人っぽいのに簡単な結び方があると知って、半幅帯の楽しみの奥深さに気付いたこのごろです。

帯締めや帯揚げ、帯枕がないぶん締め付けが少なく、着物を着るハードルも下がりますね。

羽織

シースルーの羽織は、オフホワイトの水玉柄。上品さとポップさが絶妙なバランスで惹かれました。

きものや帯の着付けの”アラ”も隠してくれる、心強い存在です。

葡萄のツルで編まれたカゴ

ネイルは帯の柄に合わせたレモンイエローに

バッグは山葡萄のツルで編まれたカゴ。きもの好きには定番ですね。

商店街をお散歩ということで『サザエさん』が買い物のときに持っているカゴのイメージで組み合わせてみました。

2021.05.18

よみもの

買うなら今!そしてずっと一緒のカゴバッグ 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.28

使い込むほどに色と艶が深くなり、一生ものと言われる山葡萄のカゴバッグ。まだ手に入れて日が浅いですが、これからどんなふうに変化していくのか……エイジングも楽しみです。

カレンブロッソの草履

草履はおなじみ、カレンブロッソ。ちょうどカゴバッグの色とも調和しました。

2023.10.04

よみもの

草履の革命児 華麗なるカレンブロッソの秘密 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.19

2021.09.12

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この夏、褒められまくったアバカの籠バッグ 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.2

また、今回のヘアスタイルのポイントは、くるんとふたつ作ったカールの前髪!右左どちらからでも見えるように工夫されています。

ヘアメイク

きものに負けないよう、スタイリング剤をしっかりつけてヘアに質感を出しています。とはいえカジュアルなきものなので、前髪以外はシンプルにひとつにまとめて。

メイクは作り込みすぎず、さりげなくアイラインやチーク、リップを帯の色に合わせた色味にして統一感を出しています。アイラインも黒ではなく、くすんだ赤を使っているんですよ!

夕やけだんだんで

谷中銀座編、いかがでしたか?

次回はワインも扱うおすすめの花屋さんや、谷中に来たらぜひ訪れてほしいこだわり食材を使ったランチのお店を紹介します!お楽しみに!

撮影/YUTAKA SATO
ヘアメイク/MIKU SHIGEYAMA

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