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不思議なカフェに迷い込んで 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.8

不思議なカフェに迷い込んで 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.8

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きもの姿の都留詩織さんが築地でふらりとたどり着いたのは… たくさんの植物が覆い繁った不思議なカフェ。お気に入りコーデでの一日なら、おひとりさまでもちょっとした冒険気分で飛び込めます。築地編最終回、どうぞお楽しみください!

2022.09.06

よみもの

おひとりさまもんじゃ@月島! 「都留詩織のきもので下町おでかけ帖」vol.7

みなさんこんにちは!都留詩織です。

「都留詩織の きもので下町おでかけ帖」、築地編最後の今回は、ユニークなものがたくさん祭られた波除(なみよけ)神社や、植物いっぱいの不思議なカフェへ。築地にちなんだこの日のコーデも紹介します!

築地の仕事人の氏神様、波除神社へ

波除神社前

築地場外市場の端までやってくると、だんだんと道が広くなって、ゆったりとした開放的な雰囲気に。隅田川河口部に突き当たり、時折風に乗って海の香りがします。

「築地」という地名にある通り、築地は埋め立てられて新たにつくられた土地。1657年、明暦の大火後の復興計画によって開発されてできた場所です。

波除神社にお参り

築地海面の工事は、堤防を築いても築いても激波にさらわれてしまい、困難を極めたようです。

ところがある夜、光りを放って海面を流れてきた稲荷大神の御神体を祀ったところ、波が静まり工事がはかどった、という由来を持つのがここ波除稲荷神社。1659年の建立以来、築地一円の氏神様となっているそう。

厄除天井大獅子頭

神社に入ると目を引くのが、高さ2.4m、幅3.3mの大きな「厄除天井大獅子」!厄除け・災難除けの象徴です。

江戸末期に焼失したものの、平成2年に樹齢3000年の黒檜の原木を用いて、獅子頭職人である名工・ 知田清雲氏の手によって再び造られたものだそう。

現在、獅子殿の改修工事中で安置されている場所は一時的に変わっているものの、この大きな獅子頭は見ることができますよ!

卵塚

築地ならではだな…と思ったのはこの「卵塚」。

築地には寿司屋さんに卸すため厚焼き卵のお店がたくさんありますが、使用した卵の供養のため建立されたのだそう。

他にも、活魚塚、鮟鱇(あんこう)塚、海老塚、すし塚、昆布塚など、いろいろな食べ物の供養のための塚があるのです!

海の恵みを享受し生業としてきた築地の仕事人の、命をいただくことへの感謝や覚悟が感じられました。

緑が茂る、不思議なカフェへ

國助カフェ前

波除神社のすぐ前に、たくさんの植物が覆い繁った、不思議なお店を発見!

入ってみると…

國助カフェ店内1

思わず歓声をあげてしまうような、植物に囲まれたステキな空間が広がっていました!

國助カフェ店内2
國助カフェ店内3

出迎えてくれたのは『國助カフェ』店主の谷口さん。

谷さん

「植物が好きな僕のために、仲間が持ってきてくれたものがどんどん増えていって。お店の前だけじゃなく、ビルの屋上でも育てているので、世話をするのが大変なんですよ(笑)」

内装もシックです!

「仕事で内装も手がけるので、自分たちの手でやりました。築地は外国からの観光客も多いので、和と洋の要素を取り入れています」

店内で談笑
アイスコーヒー

コーヒーは全てスペシャルコーヒーで、焙煎士の方と相談して季節に合うものを仕入れているのだとか。

いただいたこだわりのアイスコーヒーの、苦味と香りがかわいた体に染み渡るよう。

國助カフェ店内3

そして夜はなんとバータイムに。

こんな絵になる空間で、きもの姿でお酒を飲んでみたいものです。

國助カフェ外観

築地にちなんだコーデをご紹介!

さてさて、恒例、今回のコーディネートをご紹介しますね。

撮影は夏の盛りの7月。
実は浴衣なのですが、変わり縞の柄ゆきが遠目に紬きものっぽくもあり、綿きものとしてコーディネートしてみました。

全身

帯締めは『OKANO』。表が鮮やかなブルーですが、裏がごく薄いピンク色で、結び目やちらりと見える裏面が立体的で明るい印象です。そのピンクとトーンを合わせて、帯揚げは少しだけ赤みがかった白の絽のものを選びました。

白の帯揚げは万能ですが、同じ白でも雪のように明るい真っ白なものや、クリームがかったオフホワイトのもの、青味がかったものや、赤みがかったものなど、よくよくみると実にバリエーションに富んでいることがわかります。さらに光沢や質感でも印象は大きく変わるので、注意深く選びたい色だなぁと思っています。

バッグはラフにL.L.Beanのミニトートを合わせて。自分の名前の刺繍入りです。

帯後ろ

帯は築地の海産物にちなんで、網干と貝の刺繍の紗紬の夏帯を。夏帯ですが、潮干狩りが始まる頃から楽しんでいます。

少しだけ入ったクリーム色が明るい印象で、お気に入りです。

この帯には、カモメのような鳥が描かれたアンティークの七宝焼の帯留めを合わせることも。

三部紐は水平線や波の泡のイメージ。鳥が上空から魚を狙うかのようで…ストーリーを描く楽しみがありますね!

帯正面
足元

今回の撮影では、お寺や神社、お店などにお邪魔したので麻の足袋を履いていました。でも草履は菱屋カレンブロッソの「花緒サンダル」シリーズのもので、下駄のように素足でも違和感なく履けるデザイン。赤のネイルをそのまま見せても映えます。

手元はライムグリーンのネイル。目元もグリーンのアイシャドウでリンクさせて、ゴールドのピアスもつけてみました。普段より思い切り遊べるのも、カジュアルな浴衣の魅力ですね。

築地編も最終回

3回にわたってお送りした築地編、いかがでしたでしょうか。

今回感じたのは、築地の人々の、仕事への熱い想い。

情熱やこだわりが、ご紹介した食べ物の味にあらわれているんです。それらをきもの姿で味わって、同時にパワーをいただいた気がします。

分野は違えど、私も頑張ろう!と思えるような、パワフルな人々との出会いいっぱいの取材でした。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!

撮影協力/築地食のまちづくり協議会
撮影/YUTAKA SATO
ヘアメイク/MIKU SHIGEYAMA

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