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”浴衣×ハット”で夏の都会へ feat. 刺繍作家・小菅くみ「きもの、着てみませんか?」 vol.1-1

元”浅草振袖さん”の着物スタイリスト、薬真寺 香さんのスタイリング新連載第一弾!ユーモラスなモチーフの作品で人気の刺繍作家・小菅くみさんをお招きし、夏の都会によく似合う、涼やかでチャーミングな浴衣コーディネートを提案しました。

元”浅草振袖さん”スタイリストの想い

着物スタイリストの薬真寺香さん。

日本髪の鬘(かつら)、白塗りのお化粧、艶やかな振袖姿―
華やかな装いと踊りによって宴席を彩り、おもてなしする”浅草振袖さん”。

着物スタイリストの薬真寺 香(やくしんじかおり)さんは、20代の頃、この”浅草振袖さん”として活動されていました。

「もともとアパレル志望だった私が”振袖さん”を知ったのは、たまたま観ていたテレビ番組。可愛らしいのにかっこいい、朗らかなのに凛としている、そんな佇まいに胸を打たれました。その場でテレビ局に電話して連絡先を聞き、面談を経てめでたく採用されました。今思うと信じられないのですが」

と、薬真寺さん。

振袖さんの世界に飛び込んでからは、毎朝何枚も着物を畳み、着付けを習い、言葉遣いにお辞儀の仕方、畳の上での足運びなど基礎をみっちり教わったそう。

そして踊りやお茶、長唄、三味線の稽古にいそしみながら、日本髪の鬘に白塗りの化粧、振袖姿で年間二百数十日、五年半ほどを過ごします。

そんな生活を経て、着物は切っても切れない、大好きな存在に。
次は「誰かが着物を着るお手伝いをしたい」と、現在では、雑誌やCM・映像作品のスタイリングから、成人式・七五三の着付けまで幅広く活躍されています。

きもの、着てみませんか?

「ずっと考えているのは、潜在的に着物が好きな方や、着物に興味はあるけれどはじめの一歩が踏み出せない方に届けるにはどうしたら良いのか?ということ。
自分が着物を好きになればなるほど、着物が好きで普段から着ている人と、興味はあるけれど着物を着ていない人との間に大きな隔たりがあることが気になりはじめました」

たしかに、着物は着るきっかけがない、着ていく場所がない、なんだか難しいし大変そう…という印象を持たれがちです。

「でも『着物、好きですか?』と尋ねると、嫌いっていう方はなかなかいないんですよね。着てみたい、と思っている方のほうが多い。”じゃあ、着てみませんか?”ということが今回の企画に繋がりました」

薬真寺さんのこのアイデアをもとにはじまった本連載では、着物や和とは異なる分野で活躍されている方をゲストにお招きして全身をスタイリング。続くインタビュー編では、ゲストのお話も深く伺っていきます。

「普段はなかなか着物姿を見ることができないゲストの新鮮な着こなしやスタイリングで、新たな着物の良さをお伝えできたらと思っています。
また、お招きするのは、ご自身の道を独自のやり方で切り拓いていらっしゃる方々ばかり。そんなゲストの言葉によって、ホッと一息ついたり、明日も頑張ろうと思えたり…今を生きるヒントを見つけていただけたらうれしいです」

刺繍作家・小菅くみさん ― 遊び心のぞく浴衣姿

さて、第一回目のゲストには、刺繍作家の小菅くみさんをお招きしました。
小菅さんは、2021年7月16日に初の書籍『小菅くみの刺繍 どうぶつ・たべもの・ひと』(文藝春秋)を出版されたばかり。お忙しい中、撮影に臨んでくださいました。

人気刺繍作家・小菅くみさんが大人かわいい浴衣姿をお披露目。

展覧会やネットで作品を販売すると即完売になる、人気刺繍作家の小菅さん。
巧みな技術はもちろん、作品からあふれ出す「対象への愛情とユーモア」が多くの人の心をつかんでいます。

小菅さんの刺繍作品。リアルな目玉焼き。
小菅くみ『ベーコンエッグ』
小菅さんの刺繍作品。「パンが無いなら、、」。
小菅くみ『パンが無いなら、、』

スタイリングのポイント

ここからは薬真寺さんに、今回の浴衣コーディネートのポイントやこだわりをお伺いします。

スタイリスト薬真寺 香が提案する、”大人の遊び心覗く浴衣スタイル”

「小菅さんは一見するとイノセントで柔らかな印象ですが、作品やお人柄から伝わるのはユーモラスな部分や力強さも。”かわいい”で終わらない凄みや深みを感じます。
気が遠くなるような作業にたった一人で立ち向かう職人的気質も含め、いろんな表情が入り混じって素敵だな、と思わせる像を結んでいる。

そんな多面的な魅力を表現できるよう、浴衣と帯はごくシンプルに、合わせる小物でアクセントを加えるスタイリングを提案しました」

浴衣でプールサイドに

浴衣は『着物 中や』のオリジナルで、”麻の葉”という古典の柄をモチーフにしたもの。

「浴衣も帯もモノトーンですが、どちらもさりげないグラデーションが効いていて、繊細で大人っぽい表情に。一筋縄では行かない洒落みと可愛らしさが、小菅さんのイメージにぴったりです。
単色の古典柄は、飽きがこず長く使える”ずっとスタメン”の浴衣になりますよ」

『着物 中や』オリジナルの浴衣・飽きのこない色柄とデザイン

デザインなどの見た目だけではなく着た時の肌馴染みの良さは、こだわりの”紅梅織り(※)の生地が生み出すもの。

※紅梅織り(こうばいおり)、綿紅梅(めんこうばい)
薄手の木綿地に太めの綿糸を格子状に織り上げた生地。格子を織り込むことで生地に凹凸ができるため肌につきにくく、サラリと爽やかに着ることができます。

ほどよい抜け感の出る、”こなれ浴衣”。

ファースト浴衣から大人の女性が着る浴衣としても、ヘアメイクや小物あわせ次第で可能性は無限大です。

『着物 中や』オリジナルの浴衣・こだわりの紅梅織り

浴衣に合わせるチャーミングな小物たち

『Sarava(サラヴァ』のハットと浴衣のコーディネート

・ハット

今回のスタイリングで目を引くのが、ストローハット。

帽子デザイナー兼帽子職人、坂口直顕さんのオリジナルブランド『Saravah(サラヴァ)』の商品で、”BEBE”というかわいい名前がつけられています。

一点一点繊細な手仕事で形作られたクラシカルな雰囲気のハットは、存在感を示しながらも浴衣にもよく合います。

ハットの編み目の隙間から光が透ける様も綺麗

「浴衣や帯を決め、小物を探しはじめた時に真っ先に思い浮かんだのがこのハットでした。
とにかくデザインが小菅さんに似合いそう、と思ったのが第一の理由ですが、もう一点、ブランド名の『Saravah』はポルトガル語で”祝福”を意味するのだと、以前坂口さんから伺ったのを思い出して。
小菅さんにとって初の書籍刊行をお祝いするにも、これ以上にふさわしいものはないと思い、スタイリングのキーポイントにしました」

リボン付きハットは頭に載せず背中に落としてもかわいい

「リボンは当初別の色だったのですが、浴衣との相性を考慮して変えていただきました。ブルーグレーの落ち着いた色味で、全体に爽やかさと知的なムードを添えてくれています」

「パナマ素材など、ストロー(天然草)で作られたハットは、浴衣コーディネートを一瞬でイメージチェンジしてくれる便利なアイテム。

大人っぽく仕上げるには、シンプルで上質なものを選ぶのがおすすめです。ぜひチャレンジしてみてください」

後ろ姿はスクール風な雰囲気も醸し出すストローハット
静かに訴えかける詩的な美しさ。ガラス作家・福士遥さんの帯留。

・帯留め

ガラス作家・福士遥さんの作品。
主に「パート・ド・ヴェール」という技法で作品づくりをされています。

「パート・ド・ヴェール」とは、型の中にガラスの粒を入れて型ごと焼成し、型を壊してガラスを取り出す…という大変手間の掛かる技法。
古くは日本でも、勾玉の製作に使われていたとも言われています。
かわいい、綺麗、だけではなく、ガラスと空気と光が結晶となったような、詩的な美しさをたたえています。

帯留を重ね付けすることでチャーミングでユーモラスな雰囲気に。

「帯留めは一つで使うことが多いものですが、今回は形の異なる三つを重ね付けしました。どことなく和菓子を思わせるようなコロンとした色と形、涼やかな質感。コーディネートに、チャーミングでユーモラスな雰囲気をもたらしてくれています」

・うちわ

画家・絵本作家 ヒグチユウコさんデザインの『猫風神雷神図』。
猫好きとしても知られる小菅さんに寄せてセレクト。

ヒグチユウコさんデザインのうちわ。裏表それぞれに猫の風神雷神が描かれている。*スタイリスト私物
うちわ『猫風神雷神図』(スタイリスト私物)
昔ながらの夏の風物詩”うちわ”は浴衣の定番小物。
バッグは下北沢のヴィンテージストア『BIG TIME』で見つけたもの。*スタイリスト私物
バッグ(スタイリスト私物)

・バッグ

下北沢のヴィンテージストア『BIG TIME』でみつけたバッグ。
和服用に作られているもの以外にも目を向けると、安価で使い勝手の良い小物に出会えることが多いそうです。

ヴィンテージのバッグを合わせた浴衣コーディネート。

軽やかでほんのり女性らしい、浴衣ヘアメイク

浴衣におすすめの軽やかで大人かわいいヘアメイク

コンサバティブになりすぎない、浴衣姿にぴったりなヘアメイクのコツも教えていただきました。

・ヘアスタイル

全体をアイロンでミックスに巻いたあと、左右の耳下でまとめる。毛束を分けてツイストし、ほぐしてニュアンスを出す。
ナチュラルな動きのあるスタイルで、浴衣+ハットのコーディネートにおすすめのアレンジ。

・メイクアップ

赤味オレンジ系のチークにイエローを重ね、ヘルシーで夏らしい雰囲気を演出。
目尻にピンクがかった紫をアイラインのように細めに入れ、柔らかさとアクセントをプラス。
浴衣に合うよう軽やかに、でもほんのり女性らしさを纏った表情に。

気取らないけどお洒落な浴衣コーディネート

シンプルな古典柄の浴衣に、チャーミングな小物たちを合わせたスタイル。
気取らないけれどお洒落、遊びごころあふれる小菅さんの雰囲気に、とてもよく似合う浴衣スタイリングとなりました。

次回は、インタビュー前編。小菅くみさんの刺繍作品とご本人の魅力により深く迫っていきます。
8月上旬公開予定。どうぞお楽しみに!

◆ 読者プレゼント ◆

さて、ここで楽しいお知らせが…
ゲスト・小菅くみさんの初の書籍『小菅くみの刺繍 どうぶつ・たべもの・ひと』(文藝春秋)を、抽選で2名の方にプレゼント!

小菅くみの刺繍

下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

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※応募期間:2021年8月25日(水)まで

浴衣
『着物 中や』
kimono_nakaya

ハット
『Saravah』
帽子デザイナー兼帽子職人・坂口直顕さんによる、2013年にスタートした日本のハットブランド。クラシカルでいて瑞々しく、マニッシュでありながら女性らしい柔らかさが漂う。美しいフォルムと厳選された素材、流行り廃りに左右されない確かな魅力で支持されている。
saravah_hat

帯留め
ガラス作家 福士遥さん
茨城県出身、武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 卒業。その後同大学 ガラス研究室 助手を勤め、現在は東京で制作を行う。個展や合同展を多数開催。主にパート・ド・ヴェールという技法を使い、くらしや壁面をいろどるガラス作品を制作。
fukushiharuka

※三分紐、下駄、うちわ、バッグはスタイリスト私物

構成・文/青葉鈴 greenery_aoba
撮影/坂本陽 minami.camera 

京都きもの市場 浴衣一覧
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