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光に包まれて 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.10

光に包まれて 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.10

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清々しいひんやりとした空気の中、神聖で柔らかな日差しを浴びながら初詣を終えると、すっきりと心落ち着きます。毎年繰り返しのようで、毎年新鮮な気分で迎え過ごす1月は、やはり特別感があります。そんな清らかな空気感の中、気品に包まれるよう着物を纏うとしたら…大人エレガンスを着物コーディネートで再現してみましょう。

光に包まれて

柔らかで清らかな神聖な光に包まれて、新しい年がはじまりました。
今年は人類共通の願いが込められているように感じています。平和で安全で穏やかな日常が戻ってきますように、より良い1年になりますようにと。歴史に残る1ページに、わたしたちはともに立ち会えているのかもしれません。

新しい生活スタイルには、慣れたようでふと以前と比較してしまう瞬間があり、窮屈に感じられることもあります。自身の柔軟性を高める機会とプラスに捉えて、この世の中の変化に柔らかに、しなやかに対応したいと思っています。

例年賑やかな街中はとても静かでさみしく感じる一方、デパートやスーパーの食品売り場に行きますと、変わらず熱く活気に満ちていてほっといたします。

昨年はイベントや行事が予定通りにいかず、何もできない時期もあったので、今年は今の環境とうまく共生して、少しでも有効な時間の過ごし方をしたいと思っています。
あえて出かけず、直接会わずともできることがたくさんあると気づかされたと同時に、やはり直接経験したり体感したり交流することの素晴らしさを実感できました。

今年も、直接見て・触れて・味わって・交流するような機会を、厳選した上でたくさん作りたいです。
みなさまは今年1年いかがでしょう。

2021年への想いを心に抱きつつ、新年特有の神々しい空気と光に包まれながら、そしてその光までをも味方につけて、気品纏う大人エレガンスなコーディネートを再現してみましょう。

大人のエレガンスコーディネートのコツ

エレガンスと聞くと、みなさまどのような印象をお持ちになりますか。
エレガンス(Elegance)は「優雅・上品」という意味で知られていますが、元はラテン語のエルグレ(Eligere)=「厳選する・精選する」という「選ぶ」ことが語源のようです。

大衆の流行りでもなく、他の誰かでもなく…
自分の感性で選んだ結果が、真のエレガンスになると解釈できます。
”自分らしい美しい装い”と同様で、やはりエレガンスも画一的な答えはないようです。

気品があってこそ、エレガンスは存在します。気品はその人がその人なりに纏う空気感なので変えられませんが、コーディネートにおいては華やかでも華美過ぎず、シンプルでも野暮にならず自身と調和する感じをお召しになりたい着物や帯等の選択で再現できると良いかもしれません。

清らかで柔らかな光を味方にして、纏いたい着物や帯で大人のエレガンスを再現してみましょう。

今回訪問着、色無地、小紋を品良く纏うイメージでコーディネートしました。

華やかエレガンスでは、型染めの訪問着とともに
淑やか(しとやか)エレガンスでは、桐竹鳳凰柄の色無地とともに
嫋やか(たおやか)エレガンスでは、花柄の小紋とともに

みなさま自由に想像して、楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート 華やかエレガンス

華やかエレガンス前後横

・型染めの訪問着
・老松柄の袋帯
・ベージュと白のグラデーションの瓦柄の帯揚げ
・左右色違いの冠組の帯締め

品よく華やかに

着物コーディネート 淑やかエレガンス

淑やかエレガンス前後横

・桐竹鳳凰柄の紫の色無地
・型染めの袋帯
・中抜きの紫の疋田絞りの帯揚げ
・紺鼠の冠組の帯締め

品よく淑やかに

着物コーディネート 嫋やかエレガンス

嫋やかエレガンス前後横

・グレーの琳派の牡丹柄の型染めの小紋
・菱柄の袋帯
・淡藤色の帯揚げ
・左右色違いの丸組の帯締め

品よく嫋やかに

究極のエレガンス

究極のエレガンス

先にエレガンス(Elegance)の語源はラテン語のエルグレ(Eligere)であり、「選ぶ」という意味からきているとお伝えしました。

大衆の流行りでもなく、他の誰かでもなく、自分の感性に従い選択する。
それが自身にとって究極のエレガンス。

かのココ・シャネルの美に関する名言においても、自分自身が起点と説いています。

” Beauty begins the moment you decided to be yourself “
美は自分自身になることを決めた瞬間から始まる。

端的に優雅をあらわすおしゃれな言葉だと思っていたら、その語源の深さを知ってから、特に好きな言葉のひとつとなりました。そして歳を重ねるごとに、よりそうありたいと心から望んでいます。

自分の感性に従うことが、エレガンスを纏うことになると言われても、少々飛躍しているように感じられると思われます。よって私なりの解釈で3つポイントを挙げさせていただきます。街中を歩いていて、すれ違い様にはっと感じさせる方々や、私の周りのエレガンスな方々を参考にしています。

エレガンスは気品が存在してこそ纏える雰囲気だと思っており、気品を感じさせる感覚的要素と捉えてみてください。

質感、忍ばせ感・空気感

「質感」とは、何か質的に感じさせること。
量が多い少ない、値段が高い安い、ブランド・ノーブランドなどの分かりやすい目安ではなくまた頭で考えるのでもなく、「直感的に良いと感じさせる要素」です。

「忍ばせ感」とは、何か奥に秘めたものを感じさせること。
あからさまの派手さではなく、とても華やかであっても、また一見華やかさはなくても、「内面に知的さや誠実さなどを感じさせる要素」です。

「空気感」とは、前者2つの要素があってこその掛け算であり「その人だけが纏う雰囲気」のことです。よって空気感は、質感も忍ばせ感も包含しているとも言えます。

自分の感性を信頼し、纏う雰囲気で周囲をはっとさせられたら…
ご自身なりの究極のエレガンスの域に達していることでしょう。

”自分らしいエレガンス”を。

センスを磨くには Part.16

センスを磨くには

以前(『口説かれ着物の纏い方』参照)センスを磨くにはの初回において、コツはないけれど、3つおすすめをしました。

1.想像力を養うこと
2.一般的な概念や型に囚われないこと
3.自分を知ること

今回2に関して、2年前にお目にかかった横笛奏者・福原一閒(ふくはらいっかん)先生の言葉とお話が思い出されたのでご紹介します。

静寂の中、はじめて直接耳にする横笛の音色はとても美しく、時に力強い響きと大胆なリズムに吸い込まれ、耳で聞いているのに身体まで震えるようでした。

演奏後、福原先生がおっしゃったことがとても印象的でした。

「美しすぎるのは悪いことではない、何事も極めることが大切である」

“〜すぎる”と言えるのは、限界を設けず突き抜けることができたから。
“突き抜ける”ことができたのは、”続ける”ことができたから。
お話からこう解釈しつつ、確かにそうだなと伺っていました。

しかし”極める”ことに関して、文字面だけで全く理解できていませんでした。
何かを極めるとしたら、その対象を深く理解するため、特化し、狭め、限定し、他は閉じると思っていましたが、全くの逆で、より一層広い視野で、より開かれた心で、360度対応が必要なのだと気付かされました。

確かに何かに秀でる方々が、全くそれとは異なる分野でも素晴らしく驚かされることはよくあるので、とても腑に落ちました。

限らず、狭めず、閉じず

大きく、広く、開く

そんな感じでしょうか。

効率的かと言えば、非効率かもしれません。しかし極めるということは、良いとこどりをすることではないので、非効率でよいのかもしれません。
感性やセンスを磨くにあたっても、全く同様だと思っています。

以前(『口説かれ着物の纏い方』参照)、着付けは”スキル”、着物コーディネートは”センス”であり、着物コーディネートはマニュアルもルールもないとお伝えしました。

着物コーディネートのセンスを磨きたいと思ったら、着物に特化せず、今までと変わらずいろいろなことに興味や関心を持ち続け、その中のひとつが着物である、くらいがちょうど良いのかもしれません。

”自分らしい美しい装い”を突き抜けて、”自分らしい美しすぎる装い”へ…

”自分らしい美しい装い”を突き抜けて
”自分らしい美しすぎる装い”へ
大きく、広く、開く

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