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美しい襟足は

美しい襟足は”抱き合わせ”で決まる 「セルフ和髪のいろは~一髪二化粧三衣装」vol.3

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今回は、和髪の「抱き合わせ」を解説いたします。和髪のメインディテールといえばこの「抱き合わせ」。下から上に向かって襟足の髪で毛タボを包んでいくため少々コツが必要ですが、ふっくらとしたシルエットが抜いた衣紋に映えて、ぐっと雰囲気が良くなりますよ。

立春を過ぎ暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続きますね。
「きものと」をご覧のみなさまはいかがお過ごしでしょうか。

さて今回は、和髪の「抱き合わせ」部分の作り方を解説いたします。
和髪のメインディテールといえば、この抱き合わせです。
下から上に向かって襟足の髪で毛タボを包んでいくため少々コツが必要ですが、ふっくらとしたシルエットが抜いた衣紋に映えて、ぐっと雰囲気が良くなりますよ。

画像や動画を交えて解説していきます。
※動画はすべて無音です。

スタンダードな抱き合わせ

【1】ブロッキング

髪をパーツに分けるためにブロッキングします。
下図のように取り分けてください。

最初はブロッキング
両親指で分ける

【2】土台をつくる

土台用の髪をまとめます(前回コラムvol.2の【2】参照)。
もちろん前回同様、やりにくければ先にゴムで束ねてから三つ編みをしても良いですし、三つ編みが苦手な方はきつくねじってまとめても OK です。
できる限り平たくなるようにまとめましょう。

【3】毛タボをのせる

作った土台の左右に沿わせるようにして毛タボをのせます。
これくらいのボリュームの毛タボのかたまりを2つ作ってください。

できましたら土台の左右に置き、ずれないようにUピン(大)で固定します。
※土台に届かなくても大丈夫です。なんとなく止まっていれば OK。

土台の高さと高低差が大きい場合は土台の上にも毛タボを乗せてください。

★毛タボを置いた際、土台の高さと高低差が大きい場合は、図のように土台の上にも毛タボを乗せて補正してください。

【4】髪で毛タボを包む

毛タボが固定できたら、ブロッキングで取り分けたBとCの髪で包んでいきます。
(動画ではBの部分からはじめていますが、どちらからでも大丈夫です。)

コームで毛束の絡みをほどき先にスプレーを吹きかけたら、乾いてしまわないうちにコームで櫛目を通して「面」の状態にします。
毛タボがずれないよう手で押さえながら包み、面が丸みに沿うよう何度も手やコームでなでつけていきます。
毛先をこめかみの後ろあたりにヘアピンで固定します。
平たいままピンでとめても良いですが、毛先を少しねじり気味にするととめやすくなります。

左右同様にできたら合わせ鏡で後れ毛などがないかチェックします。

左右同様にできたら、合わせ鏡で後れ毛などがないかチェックします。
仕上げのスプレーをふきかけたらできあがりです。

上部も仕上げますと、この手法でのシルエットはこちらの写真のようになります。

シルエットはこのようになります。

スタンダードな「抱き合わせ」スタイルとしては以上のようになりますが、 例えば、ふくらみの下辺の位置を下げたい時は以下のようなやり方が良いでしょう。

抱き合わせの下辺を下げるやり方

【1】ブロッキング

ブロッキングの際、襟足部分の髪を一束(下図のD)取り分けておきます。

襟足部分の髪を一束取り分けておきます。

【2】土台をつくる

「スタンダードな抱き合わせ」同様に、土台用の髪をまとめます(前回コラムvol.2の【2】参照)。

【3】毛タボをのせる

重心を下げるときの毛タボの形はこちらのようなU字型が良いです。

重心を下げるときの毛タボの形はこちらのような U 字型が良いです。

U字の谷部分の幅を広げれば広げるほど抱き合わせの下辺は下がっていくことになります。

土台に沿わせるようにしてUピン(大)で固定します。
(先ほど同様、土台と毛タボに高低差が大きい場合は補正をします。)

重心を下げるときの毛タボの形はこちらのような U 字型が良いです。

【4】髪で毛タボを包む

毛タボの形をU字にしたので、先ほどのように左右の髪だけで包もうとするとちょうど境目になる部分が割れやすく、毛タボが見えてしまいます。
それを防ぐために、先にブロッキングの時取り分けたDの毛束を面の状態にして上げてしまいます。

そこから先は、先述のやり方と同じようにして左右の髪の面で包み込んでください。
面が整ったら、毛先を少しねじってヘアピンでとめます。

できましたらスプレーを吹きかけて、櫛目を再度通して仕上げます。

同じようにして左右の髪の面で包み込んでください。

上部も仕上げますと、このようなシルエットとなります。

スプレーを吹きかけて、櫛目を再度通して仕上げます

ふくらみの位置が下がっていること、お分かりになりますでしょうか。
ぐっと粋な雰囲気になりますね。

襟足をぐっと下げた着物ヘアスタイル

こちらはかなり下辺を下げたスタイル。
これくらい下げる場合は、後ろ首や衿に髪が擦れて崩れやすくなるので、 仕上げの際、ヘアネットをかぶせておくと良いですよ。

雰囲気を似せて作る

さてここまでは、「抱き合わせ」という左右の髪の面で毛タボをつつむ手法をご紹介しました。
後ろ手で作業をするので、慣れないうちは難しく感じることでしょう。
もし雰囲気だけ似せて作る場合には、こんな方法もあります。
下半分の髪をブロッキングし分けて包んでいくのではなく、すべてを一度にまとめあげてしまう方法です。

すべてを一度にまとめあげてしまう方法です。

この時の毛タボの形も、やはりU字型が良いでしょう。
毛タボの固定ができたら手のひら全体で下半分の髪を持ち上げ、櫛と手でなでつけて、毛先をねじってピンで固定します。

この写真はこちらの作り方で結ったものです。

どの方法においても、大切なのは面のツヤ!

ぜひ、髪質やお好みに応じて変えてみてくださいね。

面のツヤを念入りに整えて

どの方法においても、大切なのは面のツヤ!
美しく通った櫛目が質感やクオリティに繋がるので、ぜひ念入りに整えることを意識してみてください。

ふっくらと仕上がった襟足は、きれいに抜いた衣紋との相性抜群です!
首の細さが強調されて、柔和で女らしいうなじを演出してくれますよ。
みなさまの着姿がさらにステキなものになりますように。

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