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ハマると危険!? 着物沼の一端に触れて タレント・清水ミチコさん(インタビュー後編)「きもの、着てみませんか?」 vol.9-3

ハマると危険!? 着物沼の一端に触れて タレント・清水ミチコさん(インタビュー後編)「きもの、着てみませんか?」 vol.9-3

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インタビュー前編では、ものまねのネタ作りや、清水さんと着物についての関わりなど、たくさん語っていただきました。後編では、ハマると怖い着物沼について、そして結婚・出産を経ても第一線で活躍し続ける秘訣を伺いました。

2025.04.08

インタビュー

ピアノも着物も、骨盤が要。 タレント・清水ミチコさん(インタビュー前編)「きもの、着てみませんか?」 vol.9-2

デビューと結婚が同じ年。慌ただしかったあの頃

●●●を纏って。タレント・清水ミチコさん

薬真寺香(以下、薬真寺):清水さんはたしか、デビューして1年で『笑っていいとも!』のレギュラーになられたそうですが、その後すぐにご結婚、ご懐妊され、わずか1年でレギュラーをお辞めになられたんですよね。

清水ミチコさん(以下、清水さん):そうそう、結婚とデビューが両方一気に来たから、すごく忙しかった。今、考えても不思議な1年でしたね。

薬真寺:これから……という時期に家庭に入られることに対しては、まったく躊躇はありませんでしたか?

清水さん:全然なかったなあ……プロデューサーさんも「迷惑だな〜」って口ではいいながら、私みたいにデビューしてすぐに産休に入る人なんて珍しいから、結構喜んでいたみたい。「アナタ、ちょっと面白いし、オイシイ存在なんじゃない?」って。

清水さん:当時、タモリさんがテレフォンショッキングのゲストの方に、安産祈願のイラストを描くネタをされていて。私も描いてもらったな。それ自体が不思議な感覚で。今、思えば、産休に入るいいタイミングだったのかも。

自宅に黒柳徹子さんがやって来た!

薬真寺:私は、清水さんのご自宅に黒柳徹子さんがいらしたときのお話が大好きで……(笑)。

清水さん:そう、黒柳さんが自宅にいらしたから、私も「高級な料理を作らなきゃ」と思って、アワビを買ったの。それでバターソテーにしようとしたんだけど、自宅でアワビ料理なんて作ったことがないから、念のため、黒柳さんに聞いたんですよ。「何分ぐらい炒めたらいいか知ってますか?」って。

結城紬を纏って。タレント・清水ミチコさん

清水さん:そうしたらキッチンの私の隣にニコニコしてやってきて、「私、アワビ大好きなのよ」とだけいうの。

多分、素直に「わからない」っていえなくてね(笑)。もうね、黒柳さんは本当に可愛くて面白い人だと思う。

薬真寺:今のご自宅のお話もそうですが、清水さんは表舞台に出られるときも、オフのときもトーンが変わらない感じですよね。オンとオフを切り替えないのは、昔からですか?

清水さん:それは意識していますね。昔からそうするようにしています。最初の頃は、オンとオフの切り替えをしていたんですよ。でも、そうすると、何だか不自然だなと思っちゃって。だから「武道館であろうと、自宅であろうと、いつも同じようにいるんだ」というイメージトレーニングをしています。

ハイテンションな人間って、端で見ている人も疲れるものなんですよ。だから、そうならないように気を付けています。

結城紬を纏って。タレント・清水ミチコさん

ハマってみたい! でも怖い、着物沼

清水さん「自分で着られない国民服」って、日本人だけだといいますよね。それは着物のお仕事を何年していても感じますか? やっぱり着物を着ることって、難しいものですよね?

タレント・清水ミチコさん

薬真寺:着付けそのものは慣れてしまえばそれほどでもないのですが、まずは慣れるほど着る回数・機会を設けることが難しいように思います。着た後のお手入れや収納などへの不安も含めて、着物に興味がある、着てみたい、でも最初の一歩が踏み出せない、というご相談をいただくことはすごく多いです。

タレント・清水ミチコさん

清水さん着たいは着たいんだよね? 成人式に、あれだけ多くの若い人が着物を喜んで着ているんだから。

それにしてもこの長襦袢、すごく軽くて、今まで着たものと肌触りが全然違う! コレって、質がよいものですか?

薬真寺:はい、絹の襦袢です。長襦袢の着心地は、着物を着たときの気分に深く関わっているなと常々感じているので、肌触りを楽しんでいただけて嬉しいです。

薬真寺:長襦袢のお洒落って本当に楽しいんですよね。袖口からチラリと覗く色柄で季節感をあらわしたり、スタイリングのポイントにしたり。

着物好きが加速すると、長襦袢にこだわりたくなる。ここが着物沼の楽しいところでもあり、怖いところでもあります(笑)。

清水さん:そこが着物沼の怖いところか……(笑)。そういえば、昔、林真理子さんのエッセイに「着物の世界に近寄るとまずい」って書いてあって。林さんの書きぶりも、それはそれは幸せそうなんだけど、京都などに行くと、とにかく大枚をはたきたくなっちゃうみたいで。

「女性のおしゃれは、女に見せる」って言葉があって。男に見せるのではなくてね。多分、男性は女性のちょっとしたおしゃれに気が付かないんだと思う。でも相手が女の人だとわかってもらえるから、たしかにそうだなと思って。

タレント・清水ミチコさん

清水さん私も、一度はそういう沼におぼれてみたいなあ。多分ハマるとキリがないんでしょうね。だけど、沼は怖い……! 私もハマったら、どうしよう……(笑)。

着物を着る時間を大事に味わいたい

薬真寺:”習うより慣れろ”という言葉の通りで、着物がお好きで、着て、出かけて、失敗も後悔もたくさん経験して……という方の言葉にはやっぱりすごく説得力があります

清水さん:やっぱり、そうなんだ!

薬真寺:着物が出てくるエッセイや小説などが好きでよく読むんですが、散々見て、買って、散々着ていらっしゃる方の文章にはぐぐっと引き込まれます。

清水さん肌で感じる、実感のある言葉なんだね……

清水さん薬真寺さん、今日の着付けは市川崑監督の『細雪』を観て、参考にしてくださったっていっていたけど、そこまで突き詰めたら、着物の世界は本当にキリがないでしょう?

薬真寺:本当に、終わりがなくて(笑)。映画を見ていて着付けやスタイリングのヒントを得ることはたくさんあるんですが、思いついたアイデアを実現すること自体が目的になってはいないか? 独りよがりになってはいないか? など、常に意識しています。

清水さん仕事や撮影で観ていると、やっぱり着物が欲しくなります?

薬真寺:はい、なります(笑)。買っちゃいますね。

清水さんうわ〜、買っちゃうんだ。ミイラ取りだ。仕事をするたびに、沼にハマるんだ(笑)。あと最近は、着物を簡単に着られるようになってると聞くけど?

薬真寺着付けの便利グッズのおかげでしょうか。戦後に着付け教室が生まれてから、たくさん開発されはじめたそうです。

ただ私は、もともと浅草で「振袖さん」と呼ばれる舞妓さんのような仕事をしていて、着付けも先輩から伝言ゲームのような習い方をしました。それもあって昔ながらのシンプルな道具のほうがしっくりくるんですが、撮影では内容にあわせて便利グッズも取り入れています。

清水さん:え〜? 薬真寺さんは着物を素早く着る経験をされていた方なんですね。

薬真寺:はい。当時は、急な依頼にもすぐに対応できるよう、最短何分でできるか、ストップウォッチ片手に計ったりもしていました。繰り返し練習をすればある程度までは時間短縮できるんですけど、今は、「時短」ばかりを求めなくても良いのでは、と個人的には感じています。

どれだけ着付け時間を短縮したとしても、ワンピース1枚羽織るスピードにはかなわないので。

だから、着るのに時間がかかること自体を楽しんで、”自分と向き合う時間”とか、清水さんが今日言ってくださったように”贅沢な時間”というふうに捉えられたらどうかなと思っています。

清水さん:たしかに。着物を着てライブに来てくださったら、やっぱり「この方は、自分のために時間をかけてくれたんだ」って思うものね?

薬真寺以前拝見した清水さんのライブ、実は着物で伺ったんですよ!

清水さん:そうだったんだ……! そのときに、私、薬真寺さんにお会いしたかったなあ。

清水ミチコさん

構成・文/横山由希路 yukijinsky
撮影/坂本陽 minami.camera
ディレクション・スタイリング・着付け・ヘアメイク/薬真寺 香 ___mameka_

※半衿、帯揚げ、帯締めはスタイリスト私物

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