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涼風が呼ぶ団扇の思い出 「ちょっとだけ、ていねいな暮らし」vol.4

涼風が呼ぶ団扇の思い出 「ちょっとだけ、ていねいな暮らし」vol.4

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いつだったか昭和の映画で見たように、京都の芸舞妓さんらが用いる団扇を人にお願いして一本手に入れ、あおいでみましたらとても心地よい風がおきました。

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暑中お見舞い申し上げます。
厳しい暑さが続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

団扇の思い出

水分と塩分の補給は欠かせませんが、夏場に活躍する雑貨で欠かせないものとして、扇子や団扇といった涼風を起こす小物がありますね。

四六時中意識するのは無理ですが、ふとしたときに楽しむ「ちょっとだけていねいな暮らし」。もしもご興味がございましたら、どうぞお付き合いくださいませ。

半幅帯の背中に、団扇の長い枝を差して

夏になると各地で盛んに催される花火大会。
若いときには私もさかんに浴衣を着て、毎年のように大きな花火大会へ出かけていました。

文庫に結んだ半幅帯の背中に、団扇の長い枝を差して行ったときの弾んだ気持ちは忘れられません。

けれど、人混みの中で小さな団扇を一所懸命にあおいでも、あまり涼しいという感じはしませんでした。

いつだったか昭和の映画で見たように、京都の芸舞妓さんらが用いる団扇を人にお願いして一本手に入れ、あおいでみましたらとても心地よい風がおきました。

京都の芸舞妓さんらが用いる団扇

なるほど、お客さまにそっと涼風を送る夏着物の芸舞妓の姿には、こういう涼やかさと風情があるのかと、あおいでもらった経験もなしに一人勝手に納得したものでした。

夏がはじまるころ、我が家では扇風機よりも先に団扇を出します。

素朴でおおらかな型絵の団扇

民芸品店で購入した染色工芸作家・柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)さんの、素朴でおおらかな型絵の団扇は大ぶりで軽く、少しあおぐだけで、湯上がりの火照った顔や襟もとにフワリとあたる心地よい風を楽しんでいます。

祖母の部屋に入ってはあおいで遊んだものでした

団扇の思い出でいえば、他にも、祖母が仏壇で使っていた蝋燭の灯り消しの小団扇や、山水の描かれた絹を丸い枠に張った団扇も好きで、勝手に祖母の部屋に入ってはあおいで遊んだものでした。

さらにもうひとつ。台所用にも一本用意して、茹でたての枝豆や酢飯を早く冷ます時などに使います。

さすがに七輪で魚を焼くとか、虫を追い払うような団扇の出番は、私の暮らしからはとうに失くなってしまいました。

台所用にも一本団扇を用意して

団扇のほかに涼風をおこす小物といえば、扇子がありますね。団扇と違ってこちらは細く折り畳めて携帯するのも楽です。

芸事や礼装、茶事に用いるものもありますが、ここでは普段使いの扇子についてお話しましょう。

涼風をおこす小物といえば、扇子がありますね

面に描かれる文様も、骨の数や、張られる素材も多種多様で、帯に差して収まりの良い江戸扇子、骨の数も多くてあおぎやすい扇子などがありますね。

夏のお出かけのときには必携する扇子ですが、いつだったか、銀座で、夏着物をお召しのご婦人が、扇子を広げて目上にかざし、眩しい日差しを遮っていた姿がとても素敵で、そういう使い方もあるのかと、日傘を忘れてしまった時に真似てみたこともありました。

扇子を広げて目上にかざす
口もとで扇子をちょっとかざす

劇場などで隣の友人とひそひそ話をする時にも、口もとで扇子をちょっとかざすと、周りのお客さまの邪魔にならないという使い方も。

また、切符代など小封筒に入ったお金のやり取りのさいに、扇子を半分ほど開いた上に乗せてお渡しするという使い方も洒落ていて、いつかそんな使い方が自然にできるようになったらいいなあと憧れています。

扇子を半分ほど開いた上に乗せて

先日、とある撮影のため久しぶりにメイクしていただいたのですが、初めてハンディファンなる携帯型扇風機を借りて使ってみましたら、なるほど、やっぱり多くの人が持つだけの効果を感じました。

ハンディファン

今やクーラーなしには夏は過ごせない時代ですが、手でも機械でも、風を上手に取り入れて、少しでも快適に過ごしたいものですね。

暑さはまだまだ続きます。どなた様もご自愛いただき、どうぞ健やかに夏をお過ごしください。

まなぶ

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