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美しさと実用、”名古屋扇子”『末廣堂』を訪ねて。「きもので巡る名古屋」vol.3

美しさと実用、”名古屋扇子”『末廣堂』を訪ねて。「きもので巡る名古屋」vol.3

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思わずドキッとするお写真が美しい… vol.3ですーこさんが訪ねましたのは、”名古屋扇子”の『末廣堂』さん。いつもは名脇役の「扇子」が、今回の主役です!もちろんのこと、いつも通りの美しい和髪とコーディネートも必見。読者プレゼントのご案内はコラム最後をご覧くださいませ!

静かな夏が過ぎ、もうすぐ秋がやってこようとしています。「きものと」をご覧のみなさまはいかがお過ごしでしょうか。
気温に合わせて絞りや縮、絽…私も手持ちの浴衣や夏の着物とにらめっこしながら快適に過ごせるコーディネートを日々試行錯誤しています。

家で過ごす時間が多くなり、余暇の過ごし方が少し上手になったかしら?と思いながら、今年は初めてプランターでのプチトマトの栽培にチャレンジしてみました。
毎日鈴なりにできるトマトを収穫して鮮やかな赤色を見ながら、あぁあの浴衣にこんな色の珊瑚の帯留を合わせたいなぁ…なんて。
なんでも着物に結びつけて考えてしまうのは悪い癖か、良い癖か…。

名古屋扇子の専門店『末廣堂』さんへ

名古屋扇子の専門店、末廣堂さん

さて、今回訪れたのは名古屋駅から少し北、西区新道にある『末廣堂』さんです。

名古屋で扇子と言えばここ!知る人ぞ知る名古屋扇子の専門店です。

実は名古屋も扇子の産地

扇子の産地というと京都を思い浮かべる方も多いですが、実は名古屋も産地のひとつ。

京都と並び二大産地として、主に贈答用から、男性ものの25間・35間(骨の本数)を主軸に、日常使いの扇子が生産されています。

名古屋扇子とは?

名古屋扇子の起こりは、その昔、宝暦年間(1751-1764)に京都から移住してきた井上勘造親子が作りはじめたこととされています。

移住地の西区幅下はこの末廣堂さんのある区画とほど近く、この界隈一帯に名古屋扇子の製造卸会社が集まっています。

名古屋扇子は井上勘造親子が作り始めたのが始まり。

末廣堂さんはその中で、小売りも行う唯一のお店。

「末広」マークの入った朱赤の暖簾が鮮やかな軒先が印象的です。
大正元年の創業以来、現在まで変わらずこの地で扇子を商っていらっしゃるそうです。

末広マークの入った暖簾が鮮やかな軒先
男性らしい渋カッコいい扇子もあります。

入店して目に飛び込んでくる扇子の数々。
気軽に日常使いできそうなさっぱりとした絵柄のものから、男性らしい渋カッコいいもの、ユニークな絵柄のものまで様々あり、思わず目移りしてしまいます。

思わず目移りしてしまう扇子の数々

きものコーディネートに欠かせない「扇子」

扇子の扱いを知っていると、気持ちが変わってきます。

扇子の使い道として、まずは仰ぐことが主ではありますが、その他にも、お手紙などちょっとしたものを手渡しする際、お盆の代わりに扇子に乗せてお渡ししたり、座敷でご挨拶する際、膝前に置くことでお相手の方と自分との境い目を作り、一段遜る結界の役割を持たせることもあります。

お茶や舞踊を習われている方にはおなじみの所作ですね。
現代ではそのようなシーンも珍しくなりましたので、普段にすると大仰に感じることもあるかもしれませんが、知っているだけで扇子を扱う気持ちが変わってくる気がします。

扇子はコーディネートに欠かせない存在。

扇子は、私のコーディネートに欠かせない存在でもあります。

お気に入りの帯を締め、扇子をスッと挿すとそれだけでぐっと雰囲気が決まるのです。
普段の着物に金銀の祝儀扇を挿すわけにはまいりませんから、アクセサリー感覚で使える気軽な扇子を、その日のコーディネート合わせて使っています。

絵柄はなるべく季節に沿ったものを。たとえその日一日広げることがなかったとしても、見えないお洒落のひとつとして楽しむことにしています。

本日のコーディネートとヘアスタイル

今日のコーディネート

藤鼠色の絽の無地の長着に、桔梗と女郎花が刺繍されたアンティークの帯。
綾竹桧垣の帯締めに瑪瑙(めのう)の帯留を合わせました。

藤鼠色の絽の無地の長着
桔梗と女郎花が刺繍されたアンティークの帯。

ヘアスタイルは、過去のコラム「セルフ和髪のいろは vol.4」で紹介した、私にとってのスタンダードスタイルにセルロイドのアンティーク簪を挿しています。

セルロイドのアンティーク簪
マイスタンダードな着物ヘア 「セルフ和髪のいろは~一髪二化粧三衣装」vol.4

シンプルすぎず、毛流れの向きで凝ったつくりに見えるスタイル。エレガントなスタイルを好む私にとっての、万能和髪です。和髪がきれいに結えた日は、ぜひ衣紋をぐっと多めに抜いて。着なれた雰囲気を演出いたしましょう。

扇子は、現代のビジネスパーソンにもおすすめ

末廣堂さんには男性のお客様も多いのだとか

着物の時は帯に挿すことが多い扇子ですが、もちろん洋服の時に持ち歩くのが習慣な方もいらっしゃいますね。
特に名古屋扇子においては男物がメインということもあり、末廣堂さんには男性の方、サラリーマンのお客様も多いのだとか。

ビジネスバッグやスーツのポケットからスッと取り出し仰ぐ姿…懐かしさというよりも、むしろ都会的でスマートな印象を持ちますね。

末廣堂さんでは企業からの進物も取り扱っており、売り上げの6割を占めるそう。
「保険屋さんとかからのご依頼も多いですよ」とお聞きして、ピン!とくるものが。

企業からの売り上げが6割を占めるそう。

名古屋の骨董市などで見かける扇子の山で、確かに多いのです。
保険屋さんの名入りの扇子が!
思いもかけずつながった自分の記憶に、いかに名古屋扇子が自分の身近にあるか実感しました。

扇子と扇子袋への名入れもしてもらえます。

末廣堂さんの扇子はすべて手作業で作られていることもあり、扇子への名入れはもちろん、扇子袋への名入れもしてもらえます。

チャレンジしたい!ワークショップも

そして、オリジナルの扇子を作るワークショップも毎日開催。
ジャバラ折りになった紙に好きな絵を書いて、扇子に仕立てるまでを体験できます。

要予約の上、お値段は1,000円から。1~2時間程度でできるそうですよ!

先月には名古屋黒紋付染とのコラボレーション扇子をリターンアイテムに、クラウドファンディングにも挑戦、見事達成されています。

名古屋の伝統工芸で構成されたグループ「わざもん衆」のメンバーとして東海地区最大級のアート&ハンドメイドの祭典クリエイターズマーケットに出店するなど、とても精力的に活動されており、とても勢いを感じるお店でした。

名古屋駅からはひと駅、浅間町駅が最寄りです。徒歩5分ほどで行けますので名古屋へお越しの際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

読者プレゼントの扇子

◆ 読者プレゼント ◆

末廣堂さんの扇子を抽選で2名様にプレゼントいたします。下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。

①藤 ②桔梗 ※お柄おまかせ

◆Facebook
https://www.facebook.com/kimonoichiba/
◆インスタグラム
https://www.instagram.com/kimonoichiba/
◆Twitter
https://twitter.com/Kimono_ichiba/

※応募期間:2021年8月31日(水)まで

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