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着物出社で叶えた“見えないルール”からの脱却 藤田陽子さん(前編)【YouTube連動】 「着物沼Interview」vol.8

着物出社で叶えた“見えないルール”からの脱却 藤田陽子さん(前編)【YouTube連動】 「着物沼Interview」vol.8

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着物沼に住まう人々に着物への想いを語っていただく、YouTube連動連載「着物沼Interview」。今回のゲストは、職場に着物で出社する「オフィスできもの」を実践する藤田陽子さん。約2年間の着物出社を経て叶った“見えないルール”からの脱却とは?

2025.11.16

ライフスタイル

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「着物で働く」という選択の自由

藤田陽子さんは、国内大手製薬会社でファシリティマネジメント部門を統括する女性管理職として業務に取り組む傍ら、着物で出社する「オフィスできもの」を実践されています。

「着物は自由」をモットーとし、リアルクローズとしての着物の可能性を拡げ続けています。

オフィスで働く皆さんが心地よく仕事を進められる空間をつくり、環境を整えることが藤田さんの役割。そんな彼女が「オフィスできもの」を始めたのは、「日本発祥の会社だからこそ、日本の伝統的な民族衣装である着物を着用するのもアリなのでは?」と思い立ったから。

「どこの会社にも服装規定はあると思いますが、実は着物って禁止されていないことが多いんですよね。ルールにないことは承認取りにいかないのがポリシーなので(笑)。2024年1月から着物での出社をスタートしました」

海外籍の上司と

人事部でDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)をリードする海外籍の上司と共に
提供/藤田陽子

週に1回の着物デーを長らく続ける中で、最近では「周りも慣れたので(苦笑)、週1に限らず、着たいときに着ています」とのこと。

「初日は本当に緊張しましたし、慣れるまではちょっと変な感じもしましたが……いまとなっては私にとって着物はワードローブのひとつ。そのとき着たいものが着物であれば、着物で出社する。以前に比べると、日常の延長線上に着物があります」

上司とのツーショット

着物出社に理解を示してくれたエグゼクティブと
提供/藤田陽子

覚悟をもって挑んだ「オフィスできもの」

「オフィスできもの」を始めた頃は、驚かれたり、これまで交流のなかった他部署の人たちから声をかけられたり。

それが、社員の皆さんの間で段々と当たり前になり、いまでは洋服のときに「あれ?今日は着物じゃないんですね」「着物の方がいいんじゃない?」なんて、ポジティブなフィードバックが増えたといいます。

職場の仲間たちと

職場の仲間たちと
提供/藤田陽子

「チームのメンバーは、『あの着物を着てるのが上司だよね?』と言われたりしているらしいです(笑)」

と、朗らかな笑顔で場を和ませてくれる藤田さん。ネガティブなコメントについて訊いてみると――

「着物で仕事なんてできるの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の耳にはあまり入ってこないですね。それよりも、着物でも仕事ってできるんだ!という気づきを得てくださっているのでは、と思います」

社内での一枚

着物で初出社した日の装い。辰年の始まりを祝う気持ちを、登り龍に込めて
提供/藤田陽子

「本当に着ていいものだろうか?とか、やっぱり難しいよね……と、“できる/できない”で判断していては何事も変えられないので、“やるか/やらないか”。覚悟を決めて、やるしかないです」

という力強い言葉に垣間見られるキリリとした姿勢が、着姿にも表れています。

2025.07.08

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「うちでは難しいかも」
「やってみたいけどやれない……」

といった声を聞くこともある藤田さん曰く、

「皆さん、そんなに気にしてないです(笑)」

仕事風景

仕事中、袂を留めるクリップはPC作業の必需品!
提供/藤田陽子

クリップ

パールがあしらわれたシンプルなデザイン。「どんな着物にも寄り添いやすいので愛用しています」(藤田さん)

「着物って、他人に対して失礼にあたるものではないですよね。考えることはいろいろあっても、迷ってる方や躊躇っている方は、ぜひ思い切ってやってみてほしいです。意外と皆さん、やわらかく受け止めてくださいますよ」

「オフィスできもの」デビューにはどんな装いがいいのかと助言を求めてみれば――。

「とってもお気に入りの一軍よりは、譲られ着物くらい難易度を落としてスタートしてみては。馴染んできたら自分が好きなものを選べばいいと思います。

最初の頃は、トーンや色味、彩度を気にしてたけれど、最近ではアクセサリやバッグを主役にコーデを組み立てたり、その日の気分で合わせたり。洋服と同じようにナチュラルに選んでいます」

オンラインミーティング風景

取引先との打ち合わせにも着物で参加
提供/藤田陽子

「着物は自由なもの。そう思えると、制限やハードルがなくなります。私自身、始めた頃は見えないルールをつくっていたように思います。でもそれって、等身大じゃない。以前は、休日におめかししてお出かけするのが着物の役割だと思ってたけど、日常的に着物を着るようになるとそういう意識も変化しました」

社内でのひとコマ

「戦闘服じゃないけれど、『着物は武器』っていう考え方もあるし、私自身にもそういう時期があったけど、それだと疲れちゃって長く続けられない。髪の毛も、ロングのときは気合い入れてセットして、アップにした襟足が一番美しいと思っていたけれど、ショートで着物もいいんだなって気づいてからは、こけしになってキノコになって、モンチッチまで、段々と短くなってます(笑)」

「本当は、着物ってもっと自由!」

「ルールがあって、手間がかかって……面倒や窮屈に感じることが多いですが、本当は着物ってもっと自由なんだよ!と体現するために『オフィスできもの』を始めたので、穏やかに、やわらかく、ゆるく、着物を選択肢として選べるようになりたい」

社内イベントでの一枚

社内イベントも着物で登壇
提供/藤田陽子

そう語る藤田さんは、いまを「ショートで着物もいいんだな、オフィスで着物もいいんだな、と一つひとつ制限を解いているような感じ」だと分析します。

――なんと頼もしい!

「効率化・デジタル化とか生成AIとか、いまの世の中は物事のスピードがすごく速い。着物ってその真逆にあるものだと思います。時間をかけて人の手ででつくられているものだし、すぐに着たいと思っても着付けに時間がかかる。でも、その手間一つひとつが愛おしい」

社内スタッフと

共にキャリアを積み重ねてきたスタッフとのひととき
提供/藤田陽子

「着ていると気持ちが集中できて、癒しにもなる着物は、気軽じゃない分、自分と向き合ったり、つくり手に想いを寄せたりする時間を通して、伝統文化を身近に感じられます。着物は私に自信や勇気を与えてくれるものです」

2023.08.07

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ファシリティチームには自装できるメンバーもいるため、

「一緒に合わせて着物で出社するなど、少しずつ輪が広がっているのを実感しています」

と微笑む藤田さん。今後の目標を問えば、「日本ならではの“進化系クールビズ”をやりたい!」とのこと。

イベント登壇

ファシリティチームの仲間と着物でイベントに登壇
提供/藤田陽子

「7~8月には全社員で浴衣を着て、古来からの日本らしい涼の取り方を一緒に実践するなど、オフィスでの新たな取り組みが実現できたら。そういうイベントを通じて、着物をいまより近しく感じたり、着物に興味をもつきっかけになったりしたら、本当に嬉しいですね!」

部下との記念撮

ファシリティマネジメント部門のメンバーと
提供/藤田陽子

勇気を出して着物を着て出社してみたら、自分自身も「着物を特別視しすぎていた」と気づいた藤田さん。

何かのきっかけさえあれば選択の幅が広がり、それが心地よさに繋がることがあると肌で感じたからこそ、ファーストペンギンのごとく“好きな装いで日々を楽しむ姿”を体現しています。

「究極の贅沢とは、選択できる自由があること」

――そう、彼女は考えているのです。

動画撮影中のひとコマ
自撮りカット

会社の化粧室は、自撮りの定番スポット
提供/藤田陽子

自撮りカット

通勤中、車窓に映った姿をパシャリ
提供/藤田陽子

文章/椿屋
撮影/五十川満

2025.12.02

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